センチメンタルジャーニー
現実から逃げ出したくてひとり旅にでかけた真由美
何もかも忘れたい
遠く離れても気持ちは置き去りだった
元旦。
政司は実家に帰ってきている・・・おばさんも一緒かもしれない、
どうせ会えないのだったら近くにすらいたくない。
苦しくて気乗りしない旅行の日を迎え
現地到着時間が夕刻だったので機内から綺麗な夕日が見えた
綺麗だと思えるくらいになれたんだ
少し心が洗われるようだった
きっと来てよかったんだ・・・
ホテルに到着して部屋に案内されると最上階の無駄に広すぎるツイン部屋。
なんでだ・・もうひとつのベッドは丸々大きなスーツケースを広げた
夕食はスペシャルディナーだ
少し楽しみつつも真由美はあの日以来、摂食障害で何も食べれなかった
それでもレストランに向かうと店内はカップル、ファミリーで溢れかえる中
(竹山 様)とボードに書かれたひとりぼっちのテーブルに案内され急に
苦しくなりどうせ食べれないわけだし、具合が悪くなったと言って
キャンセルしてワインだけを頼み部屋に戻った
何してるんだろう・・・
来たばかりなのに帰りたくなった
結局、どこに行ってもまた眠れない
広い部屋の中、酔っ払って床に転がっていた
一日目がようやく終わりなんとか朝を迎えられた
なぜか窓の外が暗い・・まだ夜なんだろうか・・
カーテンを開けると土砂降りだった
南の島に来たのに
神様はどうして私を苦しめるのだろう
次の日も次の日も雨だった・・・
食事も取らずホテルの部屋から一歩も出ることはなかった
家にいる時と変わらなかった
来るんじゃなかった
まだ早すぎた
滞在中、友人と霊能力者にずっと電話していた
結局、帰る日まで雨は止むことはなかった。
旅行に来てまで毎日泣いていた
帰ればまた地獄の日々を思うといっそのこと飛行機が墜ちてくれないかと
願っていたが何事もなく無事に着いた。
家に帰る前にいつも行く神社にお参りした
十円投げて
「恨みます」と一言。
願いなど言わなかった
もう何も信じられない
傷心旅行のつもりできていたが何も変わらなかった
パワースポットも効力なし。
「1月11日」
初めて結ばれた日。
あのおばさんに出会っていなかったら今日で4年目の記念日だった
日曜日だった
足が自然と政司の家へ向かっていた
部屋の明かりが点いている!
懐かしかった・・・普通に通っていた家なのに今はもう行けないなんて。
メールだけでも、
-今日は(1(わん)月1(わん)1(わん)日)だね。
懐かしいね
出会ってから4年の月日が流れたんだね-
当然、返事はなかった
返せないよね・・・おもかったかな・・・
もうここに来るのは二度とやめよう
いつかまた政司は必ずおばさんのいる所へ行ってしまう
毎日の長い道のりの通勤も疲れてくる頃だ
そんな気がしてならなかった
それまではここにいてほしい
あの頃は隣町すら遠くに思っていたのに
もっと遠くへ行ってしまう・・・
行かないで・・・置いていかないで
もう戻ってこないの?
政司の心は今はなくともせめて体だけは、そう心の中で叫んでいた
(政司・・いつ戻ってくるの?)
おいてかないで・・・