愛してやまない日々
それからは毎日のように会い狂ったようにお互い何度も求め続け愛し合った。
政司はなんの取り柄もないが真由美にとって政司が恋人としていてくれるから
どんなに辛くても苦しくても頑張っていけた
彼は裏切らないどんなことがあっても絶対手を離さないと信じて・・・
2月はバレンタインやらどうでもいい恵方巻きやらイベントはいつも一緒で
たまに連休がとれたら旅行にも出かけたり
3月には政司と出会って初めて迎える真由美の誕生日だった
真由美 40歳
スイートまではいかないけどお洒落なホテルでふたりで過ごした
ただそれだけで良かったのに冴えない誕生日プレゼントを用意していた
どんな物でもよかったのにただちゃんと選んで買ってくれたらいいのに
ちゃんとした包みもリボンもなくダンボールでいかにもネットで買われたことにちょっと不快な思いをしていた
春になったら初めての花見に行こう
真由美がお弁当を持っていこうと言い出しおかずは真由美、おにぎりは政司
と役割分担をした当日、政司がなかなか迎えに来ないから連絡するとまだ寝ていたので政司のマンションへ行って一緒にお弁当を完成させて家の近くで
花見をした
政司が子供の頃住んでいた家の近くだと言って周辺も一緒に散策した
政司は当時、貧乏でここに住んでいたと真由美に見せた
真由美はそんな話聞きたくも見たくもなかった
真由美も子供の頃は貧乏で父親は毎日大酒喰らいで母親に容赦なく
暴力をふるっては夜になると女の家に帰っていくという子供の頃は
夜になるとどこに行くのだろう?くらいな不可思議な父親にしか思ってなかったがなんとなく
居心地の悪い家だということは認識していてただ早く温かい自分の家庭が
ほしかったのだ
だからろくに恋愛も経験せずにすぐに結婚してしまい
子供まで作ってしまったが恋愛と結婚の違いがようやく分かり始めたのが
すでに離婚して十数年も経ってしまったうえでの結論だった
もちろん、当初は若さゆえやり直しが十分にきく歳でもあり
自分のわがままと勢いで辛抱の足りなさから苦労はしたが
今に至っていると思っている
だから貧乏話は自分に重なりこれから一緒に生きていこうと思ってる人から
聞きたくはなかった
ただ両親の話も語りだした
お酒が大好きな父親ときれい好きで心配性で温厚な母親なのに
一度離婚をしていた、という話を聞かされた
離婚した当時、政司は父親とふたり暮らしで本人は二年間引きこもりだったというがひとりになった母親は小料理屋を営んでて政司が寂しそうにしている
父親と再び引き合わしてまた再婚して今一緒にいる
引きこもりがなんの原因かは語らず聞けずでただ愛情深い息子であり
愛情いっぱいで育ったのかな、くらいでますます一緒に生きていける、
過去のことは何も知らなくていいとすら思っていた
知らなさ過ぎた、知ろうとしなかった真由美。
もっと沢山きくべきだったに過ぎない
そして引きこもりから救ってくれたのは友人、洋だという。
そんな彼も真由美と同じ誕生月だったので
真由美は洋が既婚者だとは知らずひとりじゃ寂しいだろうから一緒に誕生日を
祝ってあげよう、と計画した
何も知らずに・・・
セッティングなどは真由美が仕切り支払いも真由美が済ませた
残念ながら店の対応がいまいちで盛り上がりにはかけたが
のちに忘れられない三人で写った最初で最後の一枚の写真になる
ただ二軒目に連れて行ったバーは後にも洋がお気に入りになってたようで
安心したがそのときは。
四月になり洋がお礼も兼ねて政司の誕生日と真由美も含め合わせて
前回連れて行った二軒目のバーでお祝いをしようと言ってくれて
今度は洋が全て
セッティングをしてくれていた。とても楽しい夜だった
洋は帰り二人になって真由美は初めて政司を家に招待した
以前から政司は真由美の住むアパート付近はあまり寄り付きたくなかったみたいだった。
母子家庭なのでエレベーターのない古い団地に住んでいたがそのことよりも
いわゆるその周辺は部落地帯で彼女もそうなのではないのかと
最初思っていたそうだ
土地柄や部屋の間取りなんて選べない、そんなものなのだ
そこの土地に慣れるまでは入った当初は親子でよく嫌がらせを受けながらも
歯を食いしばって頑張っていたのだった
母子家庭・・・それが現実だから。
それでも気づけば10年住んでいてようやく認めてもらえるようにもなっていた。
子供が寝ている隙に政司を入れる
なんだか不倫でもしているような感覚だった
翌朝、子供よりも早めに起き一緒に寝ている姿は見られないようにしたが
いつもより一人分多い朝食に気付いた子供が「誰?」と聞かれたが政司自身、
子供に挨拶もしなかったので敢えて紹介はしなかった
・・・そう、この先どうなるかまだわからないし。
真由美も政司の家で同じことをしていたのに自分のこととなると守りに
入ったのだった
それからはお互いの家をよく行き来していた。
ただ真由美は自分の家に来るのは楽だけれどどうしても女でいられない
母親の顔をしなくてはいけない現実に嫌気がさしていた
政司の家に行けばもう紹介はされていたのでたまに夕食を一緒にご馳走になったりでずっとひとりの女でいられたので楽だった
政司は元々あまり出かけるのが嫌みたいで貧乏性なせいかただお金を使うのが
嫌だったのかあまりマメな性格でもなくプレゼントやサプライズ的なことは
ほとんどなかったがそれでも私が提案していろんなところに沢山出かけた
管理職だし給与もいいはずなのになぜお金がないと言うのだろうか
マンションのローンも含め他に離婚したときに養育費とは別に何やらあるのか、
そこまでは聞いてはいけないような気がして聞かなかった
いったい何に使ってるのだろうか・・・
あまりお金のかからないデートにしようと思いながら政司の家に行く頻度が増えていた。まったりしていた
夏を迎えた頃、相変わらずふたりは会う度必ず激しく求め合うという繰り返しだった
中年のくせして盛りが止まらなかった。中年だからか?
ただ一度だけ政司は本能のままに避妊をし忘れた
真由美もなすがままで終わったあと慌てたが政司は一言
「大丈夫。俺、薄いからできにくいよ」となんの根拠でそう言ってるのか
分からずでこの一回が真由美の心に変化がきた
そう、このたった一回が妊娠していたのだった
真由美は子供がいない政司の子供を産みたかった
しかし今、ではない
もっと政司と恋愛していたい
自分の仕事は?自分の子供は?貯金もわずかながらしかない
先も見えずどうしたらいいのか分からなかった
政司に言ったらなんと言うだろう
きっと彼もお金はないだろう・・・そのせいで別れ話になったらどうしよう・・
それ以前に政司の口から堕胎してほしいなんて絶対聞きたくない
でも今は絶対無理。嫌いになりたくない、失いたくない
あと3年もすればきっと産んでいい時が来るから今はふたりに亀裂が
入らないように黙ってよう。そしてこのことは墓場まで持っていこうと決めた。
真由美は政司に告げずにひとりで解決した。
せっかく授かったのに失った悲しみと何も知らずに相変わらず求めてくる政司
の行為が嫌だった
忘れるようにその日を境に仕事により一層打ち込んだ
忙しさでなんとか気は紛れ何もなかったかのように思えてきてた
行為そのものに拒絶はしなかったけど自分からは求めなくなっていった
それでも2年間変わらずあほなくらいずっとラブラブでい続けられた。
い続けたかった・・・
真由美は政司が大好きだった
政司も真由美が大好きだった
あと少しでずっと一緒にいられる・・・
そう思っていたのにただそれだけでよかったはずなのに
真由美はいろんなことを考え始めていた
もし一緒になるとしたら政司名義のマンションなのだから両親と同居になるのか、同居イコール介護も頭にいれておかなければならない
親から縁を切られている真由美にとって同居は差し支えないが
仕事はどうするのか
政司の家からの通勤は遠いし何をするにも田舎すぎるし不便だ。
自分が転職すればいいのか政司に野心は見受けられないし年齢からしてこれ
以上昇進はなさそうだし普通のサラリーマンて歳を重ねればただ定年を待つだけなのか・・・子供を授かったら仕事は休めるのか・・・経済的にはどうなのか・・・とか途方もなくふたりには難題だらけだった。
中年の恋は複雑だ・・・。
秘密をかかえてしまった真由美
何も知らない政司はただずっと一緒にいられたらいい
くらいにしか思っていなかった
そんな政司に対して不満と焦りが何かを変えていった