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悩む日々…

「甲状腺ホルモンの異常」…それはいったいなんなのだろう…と私は思った。


ネットで調べてみると、自分と同じ症状の記述があった。

病名は


「橋本病」


聞きなれない言葉である。


よく読んでみると「パセドー病」の逆だとわかった。


パセドー病というと、去年だったか歌手の「絢香」さんが引退した原因の病気である。

あんなに才能がおありなのにお気の毒だなぁ…と思っていた。だが素敵なご主人にも恵まれ、うらやましくもあった。これで彼女が歌手として復帰できれば、同じ病気の人にもっと希望を持たせることができるだろうな…なんて他人事のように思っていた。


ただ「パセドー病」は、食べても食べても太らない病気で、ずっと全力疾走しているようなもんだから、いつも体は疲労困憊しているような症状だそうだ。

対して「橋本病」は、人と同じ量を食べると過度に太り、食事制限しても太ってしまうもののようだ。燃料が常に足りない状態なので、頭がぼーっとしたり、常に体がだるかったり、仕事でのミスが多くなる。そのため、本人も周りも「怠けているだけ」と思い、病気に気づかないし、気づいてもらえないのだ。


更年期障害にも似ている。私が、知り合いの女性に症状を伝えると「ああ、それも私もよ!」と言った。

彼女の場合は、目の前に黒い点が増えたり、いきなり卒倒したりしたという。


「それくらいのことは、誰にもあることよ。気にしない気にしない!」


そう言われ「皆、大変なんだ。」と私は、背筋が伸びる思いがした。

…しかし、しただけでミスはなくならない。焦れば焦るほど、どうしても自分が思い込んだものに物が見えてしまう。これには、本当に困っていた。


また、家事は…とくに掃除は苦手だったのが、更にひどくなった。

仕事は夜中までなので、帰ったらすぐに寝ればいいのだが、朝起きるのがまた辛い。

前の晩に子どもが食べ散らかしたゴミなども片づける気力がなく、子どもが自分でご飯を作り「行ってきます」と言って出て行くのを見送る。そして自分は何も食べずに、風呂に入ってから(これも面倒だが入らないわけにはいかない)仕事に行く。


食事は朝ごはん代わりに、コンビニで買った豆腐を食べる。あるいは豆乳を飲む。お昼は298円の小さなコンビニ弁当1つ。そしておやつの3時にチーズの入ったパンを1つ。(時々、ミスしなかったご褒美に、グレープフルーツジュースを飲むこともある。)そして、夜に働く職場に入り、また小さなコンビニ弁当を1つ。どれか1つやめれば、一層頭が働かなくなるような気がして、これ以上の食事制限は無理だと思っている。

普通の人なら、これでぶくぶく太ることはないだろう。だが、私はぶくぶく太っていく。そしてある程度になると下痢が起こり、少し痩せたようになるが体重は劇的に落ちない。そして太っていく。前にも書いたが、運動不足かと、8時間の立ち仕事(2時間ごとに15分の休憩はあるが)をしても、痩せることはなかった。それどころか疲れが溜まる一方で、ミスが増えるだけだった。その仕事は半年で辞めた。


「橋本病なのかな…」


私はそう思った。それなら、周りにも言い訳が立つな…なんて思った。


…だが、ある掲示板で橋本病で苦しんでいる方たちのレスを読んで、ぞっとした。


橋本病と診断されても、家族からすらも理解されない人がたくさんいる。「おまえは怠けているだけだ。なんでも病気のせいにするな。」と身近な人に言われ、傷ついている人がたくさんいた。


…それは、自分が10年ほど前「うつ病」になった時に似ていた。その時は、どんなにしんどくて落ち込んでいても仕事だけはやらなきゃいけないと、家事をほとんどやらずに外へ出ようとする私に、主人が「俺だって、やりたいことだけやりたいんだ!」と怒鳴った。周りからも「精神的なものは、気力で何とかなるものだよ。」と言われた。


…しかし「橋本病」になった人たちは、精神的ではない病気にも関わらず理解してもらえていない。

処方される薬も、すぐには合わないようだ。またそれに苦しんでいるのに、周りからは冷たい言葉を浴びせられる…。


…結果は3日後に出る。私はそれを知るのが怖くなってきた…。


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