意地で生きている
その友人は見るも無残な姿になっていた。
私が知る姿と比べれば。
『自分は才能がある』
『自分は天才なのだ』
『一生自分は作品を生み出せる』
過去、友人はそのように語っていた。
友人は創作者だった。
それも、傲慢な。
あの耳が腐り落ちるような自分語りが真実であったとは当時からとても思えない。
はっきりと言ってしまえば、友人は多くの創作者と同じようにその内に心が折られ、その傲慢さを恥じ、やがて創作と関係しないところで生きていくのだろうと思っていた。
多くの創作者の結末と同じように。
その友人は。
見るも無残な姿となっていた。
すっかりと心が折られた姿。
しかし、それを頑なに認めない。
意地で必死に生きている。
いや、しがみついている。
本来ならば見るに堪えない愚かな姿。
しかし、愚かであっても自らを貫く一種の気高ささえある姿。
――そうなれたはずなのに。
あるいは本人はそう思っていたのかもしれないが。
『仮にもこの業界のはしくれとして言わせてもらうけれど〜』
その友人は今や、よく知りもしない相手に絡んでいる。
事情さえも知らないのに。
炎上し、皆から叩かれ、最早逆転がありえない状態の人間を見つけ出しては。
『創作者としてどうなのか?』
そう語る。
そんな友人の周りには多くの人間が集まる。
異口同音。
きっと、あの中に居るのはさぞ心地良いのだろう。
私が想起するのはそう。
例えるならば。
モルヒネ。
どうか、あのあまりにも無残な方々が。
せめて、心安らかな日々を生きることを願う。
ガラスがちらりと私を映した。




