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未来世紀から異世界へ!  作者: 桂木けい


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第01話 イントロダクション

 未来世紀6969年。


挿絵(By みてみん)


 オレはアンドロメダ大星雲から押し寄せる侵略者(アグレッサー)どもと戦う地球統合軍J隊所属の宇宙自衛官だ。だが今は火星宙域防衛作戦において瀕死の重傷を負ってしまい、月面基地へと救急搬送された負傷兵の一人だったりする……。


「おい、聞こえてるか? 貴官は体内器官の大部分に回復不可能な重篤なダメージを負っており、この状態ではもう兵士として戦場へ戻るどころかその生存すら危うい。だが安心して欲しい、君にはまだ二つの選択肢が残されている。

 一つは機能を失った内蔵を全て摘出し人工臓器を移植して軍を去り、戦場から遠くにある、まだ我が軍の支配星域にある惑星で余生を過ごす事だ。

 そして、もう一つは脳と臓器のうち最小限の生体機能のみを残し、それら以外の全ての臓器を軍事用装備に換装して、再びあの地獄へと舞い戻るという事だが、貴官はどちらを希望するだろうか?

 幸いな事に、この月面にあるJ隊ベースには我が軍の最先端技術を生み出す兵器開発部門があり、そこから提供される様々な装備とサイコーにイカレた医師たちによって、成功率100パーセントを誇るオペレーションの施術が可能だ」


 遥か昔はどうか知らないが今世紀を生きるオレたちに取って、故郷という概念は失われて久しい。


 サーバーに登録された遺伝子情報を元に、最適な組み合わせの精子と卵子が選ばれて人工子宮へと移され、そこから新たな生命体として、この世に生を受けるのが一般的なこの時代。

 オレたちみたいに直接的な親を持たない人類が、家とか家庭への帰属意識など持ちようもないが、それでもまだ最低限の地球人類として最低限の自覚はあった。


 だから、こんな状況でオレが辺鄙な惑星で余生を送るなどと言う選択肢を選ぶはずは無く、残りの身体全てを兵器に造り変えてでも戦友(とも)たちが待つ、あの愛しくも忌々しい地獄へ再び舞い戻れるなら、何を犠牲にしても構わなかった。


「貴君の選択に神の祝福があらん事を祈るよ」


 そう言って送り出してくれた医療事務官に見守られながら、オレが横たわるストレッチャーが音を立てて廊下の扉を押し開き、勢い良く手術室の中へと搬入される。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「ようこそ勇者どの! 自身の全てを軍に捧げると言う貴官の尊い決断に対して、我々オノゴロ・ラボは持てる限りの技術と叡智の全てを結集し、必ずや貴君を人類最強の最終人型決戦兵器に生まれ変わらせてみせようぞ!!」


 おい、ちょっと待て……確かに何を犠牲にしても構わないとは言ったが、それは機能を失った生体器官を人工臓器に置き換えて再び兵士として戦場へ戻れると言う事では無かったのだろうか?


 オレが戦場へ戻りたいのは、物心がついた頃から育ててくれたJ隊の第3護衛艦隊であって、あの場所こそがオレの故郷だと認識しているからだが、もしオレが人の姿を失って完全に別物の決戦兵器に変わり果てたとしても、あの仲間たちは以前と変わらずに接してくれるだろうか? 


 でも面白そうだから、ちょっとだけ想像してみる……。


 オレがもし大型機動兵器の一つとなり、そのコックピットに部隊のアイドルと称されるアイナ1尉隊長殿が座られるのであれば、確かにそれは悪くないどころかウェルカムな話かも知れない。


 あのスレンダーなのにムチムチボディの腰から下のやわらかな体重が、オレの身体の一部となったパイロットシートに密着する未来がオレを待ってるなんて、これはどう考えても幸せな未来でしかない。

 それに、あのたわわに実った二つのメロンをクロス式四点ベルトで締め付けて、そこから零れ落ちそうな柔らかさを高感度センサーで堪能出来るのなら、オレの頭脳と人格はその衝撃的事実を前にどうなってしまうのか想像がつかない。

 それに彼女がオレのスティックを両手で握りしめて上下左右にグリグリ動かして、そのうえ親指や人差し指で色んなトコロを押すなど、うん……どう考えてもご褒美でしかないな。


 そう考えた途端、オレには全身を大型機動兵器に改造される未来がバラ色にしか見えなくなり、白衣を纏った黒髪黒目でメガネロリの医者にOKの意思を示した。


「勇者どの、何も心配など要らないぞ。貴官には我輩がこれまで個人的に開発したものの、軍上層部のバカどもが人道上の理由で絶対に許可しなかった最強装備の数々を、余すところなく全搭載(ゼンノセ)してやるからな。だから我を信じて眠るが良いのじゃ。がははははw」


 ここまで聞けばオレとしても全く不安が無い訳では無いが……それでも額から冷たい汗が滴り落ちて来るのを感じて『これは、さすがにやり過ぎたか?』と、後悔の念が押し寄せて来ない訳では無い。だが既に全身麻酔を施された状況では、もう何を思っても全てが遅かった。


 真っ黒な深い闇へと沈み行くオレの意識レベルが低下し、もう覚醒状態を保てなくなる。




 こうしてオレは月面基地の兵器開発部門による最終人形決戦兵器へと改造されるのだが、その手術が完了し新たに搭載された各種兵装を起動試験している最中に、運悪く事故が発生してしまう。


「キャリブレーション開始、ゼロ・モーメント・ポイント設定、マイクロブラックホールの回転始動を確認、ダークシェル制御モジュール接続! ワールドネットワーク再接続及び各種運動パラメータ更新! フィールド制御センサー起動及び伝達関数の更新! 運動ルーチン接続! システム、オンライン! 起動シークエンスを開始します!」


 その事故とは、オレに移植されたダークシェル・リアクター・マイクロ・ドライブ(DRNドライブ)が起動して、各種の初期設定を元に身体各所の機能が有効化されてゆく最中の事だった。


 それはDRNドライブと言う人類初のエネルギー供給炉から、ほぼ無限に出力されるエネルギーを利用し、空間に歪みを生じさせてエネルギー兵器や実弾兵器を無効化する『イージス・フィールド』を発生させる試験中に起こった。


 その原因はただのヒューマンエラーで、研究員の助手が初期設定の値を大きく間違えて入力していたらしく、徐々に出力を上げる必要があったにも関わらず、最初からフルパワーでの起動となっていたのが原因だったとか……。


「だ、だ、誰でも良い、早く、早くコレを止めるのじゃ~~!」


「ダークシェル内部のエネルギーコアが暴走を開始しました! 総員退避! 繰り返します! 総員退避です、博士もお早くこの基地から退避して下さい!!」




 こうしてオレ、地球防衛軍J艦隊・第3護衛隊所属の宇宙士3曹である九條戒世(くじょう かいせ)は、この事故によりMIA(作戦行動中行方不明者)と認定されたのだった……南無。


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