第六章 悪魔の甘噛みと、蘇る記憶
それから幾日かして、教会の裏庭は荒れ果てた土地の中で、ひときわ生気あふれる一角となっていた。丹念に耕された畑には緑の野菜の苗が整然と並び、ルシウスは廃墟から集めた資材でアザゼルのために小さな花壇さえ作っていた。
「良い子だ」
菜園にしゃがみ込んだルシウスが、柔らかな緑の芽を指先でなでながら呟く。
「役に立つ情報をたくさん教えてくれたな」
顔を上げると、アンジェの毛繕いを手伝うアザゼルが目に入った。彼女は今日、修道服の袖を肘まくり、細かな黒灰色の毛で覆われた小腕を露わにしている。その動作は、壊れ物を扱うように優しく、陽光がその毛並みに柔らかな光を宿していた。
「昼飯、何がいい?」
ルシウスの声は自然と柔らかくなる。
アザゼルが顔を上げると、琥珀の瞳に陽光がきらめいた。わざとらしく首をかしげ、胸元の銀髪を指で弄びながら、彼女は言う。
「やっと、あなたの小さなシスターにお腹を満たすことを思い出したんですか、神父様?」
その口調は甘えたように、少しだけ気取っている。
「私も少し野菜を植えたんだ」
ルシウスは、彼女の心情を露わにする尾を見ないふりをして、新緑を指さした。
「倉庫から種を仕入れてな。もちろん、まだ芽が出たばかりだが」
「うん…」
アザゼルはアンジェの温もる金色の毛に顔を埋めた。声はぼんやりとして、少し鼻にかかっている。
「まだお腹空いてないから…わかんない」
こっそりとまぶたを上げ、ルシウスの表情を一瞥すると、声を潜めて、語尾を伸ばして付け加えた。
「でも、昨日のスープは…まあまあだったわ。また作ってくれない?」
その時、彼女の腕の中のアンジェが動いた。軽やかに地面に降りると、優雅に菜園の傍まで歩いていく。小猫は普段のように揺れる草葉に飛びつくでもなく、一際緑濃い苗の前に座り、小さな頭を傾けて、エメラルドの瞳をぱちりともさせずに見つめた。
「アンジェ?」
ルシウスは少し驚いた。この子は草木に元々興味がなかったのだ。
さらに驚くべきことが起きた。アンジェがピンクの爪を伸ばし、ごく優しく苗の先端に触れたのである。爪先が触れた瞬間、苗は生命の泉を注がれたかのように、目に見えて新しい枝を伸ばし、柔らかな葉を広げた。陽光の下で、それは半透明と言えるほどに透き通り、潤いのある光沢を放ち、葉脈には微かな金色の流光が走った。
アザゼルは驚いて口を押さえ、尾さえ硬直した。
「これ…これは…」
アンジェ自身も驚いたようで、困惑して自分の爪を見つめ、またルシウスを見上げた。エメラルドの猫眼には、かつてない人間味のある清明さが一瞬浮かんだ。彼女は輕輕と「にゃ」と鳴いた。声は柔らかくふわふわしていた。
その一声が、ルシウスに雷撃が走らせた。――その口調、わずかに上がった語尾は、小雪が幼い頃、彼の脚に抱きついて飴をねだる時の甘え声にそっくりだった!
心脏が狂ったように鼓動し、胸を張り裂かんばかりだ。だが、彼は湧き上がる感情を強引に押さえ込み、さりげなく話題をそらした。声にはかすかな嗄れさえ滲んでいる。
「周囲に…市場なんかは本当にないのか?物資を補充する必要があって」
まだ驚きの中のアザゼルは、無意識に答えた。
「悪魔の市場なら…」
彼女ははっと我に返り、目を輝かせた。
「一つ知ってる!黒石要塞の所属だけど、隠れていて、下級悪魔や辺境の魔物が雑貨や情報を取引する場所よ…」
進んでルシウスに近づき、修道服の襟元がわずかに開いて、精巧な鎖骨の一端を覗かせる。
「東の方で、枯れ果てた林を抜けたところに幻影に隠された峡谷があって、毎月満月の夜に開かれるの…」
わざと近づき、温かく、かすかなスミレの香りのする息をルシウスの耳元に吹きかけ、声を潜めて秘密を共有するように囁く。
「私が案内してあげるなら…神父様、ちゃんとご褒美をくれない?」
目前の狡知に満ちた笑顔を見つめ、ルシウスはそっと彼女の柔らかな頬を摘んだ。手触りは温かく滑らかな毛皮だ。
「では、出発の準備だ」
「悪い神父様…」
アザゼルは流れに乗って彼の腕を抱き、全身を預けるようにし、頬を彼の荒い掌に擦り寄せた。
「勝手に私の頬を触らないで…本当に嫌だわ」
口では嫌だと言いながら、瞳はキラキラと輝いている。
「触るなら…私の許可を取ってからよ!いじめないで、ちゃんと可愛がってくれなきゃ」
声は甘ったるく、眼差しは魚を盗み出すのに成功した狐のようだ。ルシウスは彼女の様子を見て、仕方なく首を振ったが、腕を抱かれたままにしている。
「知り合ってまだ数日なのに、もうそんなに甘えるんだな?」
「だって…」
アザゼルは突然つま先立ちになり、湿った唇がほとんど彼の耳に触れんばかりに、息を殺してささやく。
「神父様、実は…こういうの、お好きでしょ?」
彼女は軽く笑い、成功したという得意げな表情を浮かべて、くるりと背を向けて走り去る。修道服のスカートが陽光に優美な弧を描いた。
その時、アンジェが突然ルシウスのズボンの裾をくわえ、菜園の方へ強く引っ張った。あの奇妙な苗の傍らの柔らかい土の上には、いくつか歪んでいても、はっきりと識別できる引っかき傷――「爺」という文字が刻まれていた。
ルシウスはばったりとしゃがみ込み、衝撃で眩暈さえ覚え、声は抑えきれぬ震えを帯びていた。
「小雪…?お前か、小雪!」
アンジェのエメラルドの瞳には瞬時に涙が滲んだ。力強く、何度も何度も頷き、喉を鳴らすような声をあげる。だがすぐに、目に見えない針に刺されたかのように、苦しそうに両前足で頭を抱え、体を丸めた。
アザゼルの笑顔は一瞬で消えた。速足でアンジェの傍らに歩み寄り、しゃがみ込み、声はかつてない優しさで包まれた。
「怖がらないで、私に任せて」
手のひらをそっとアンジェの額に当て、柔らかな白い光が掌から溢れ、温かな流水のように小猫の震える体を包み込む。
「彼女の魂はまだ不安定で、記憶の衝撃が強すぎる…すぐに回復させることはできないが、少なくとも苦しみは和らげられるわ」
心安らぐ光の中で、アンジェは次第に震えを止め、落ち着いていった。顔を上げ、ルシウスを見つめるその眼差しは複雑で、慣れ親しんだ依存と、小雪に属する、失われてまた得られた清明さが混ざり合っている。彼女は輕輕と、慕わしげに一声鳴いた。
「にゃ…」
今度は、誰もがその一声に込められた、生死を超えた思いと慕情を聞き取れた。
ルシウスはもう耐えられず、アンジェをぎゅっと胸に抱きしめ、小さな体の温もりと鼓動を感じた。それから、空いたもう一方の手を、しっかりとアザゼルに向けて差し出した。
この単純な動作に、悪魔の少女はわずかに怔とし、その骨張った、マメ跡のある大きな手を見つめ、頬に赤みが差した。だが今回は、少しの躊躇いもなく、自分自身の少し小さく、毛皮に覆われた手を差し出し、輕輕と握り返し、口元を抑えきれずにほころばせた。
「満月の夜に」
ルシウスの声は異様に低く、力強く、胸に抱えたアンジェと傍らのアザゼルを見渡した。
「三人で市場へ行く。アンジェの変化の手がかりを探すだけでなく、俺たち自身の情報と資源のネットワークを築き始める」
夕陽が西に沈み、三人の影が教会の斑らの壁に長く、密接に寄り添うように映し出された。アザゼルは名前も知らない軽快な悪魔の子守歌を口ずさみながら台所で夕食の支度をし、アンジェはコンロの傍らに蹲み、鍋でぐつぐつと泡立つスープをじっと見つめ、時折爪で傍らの調味料壺をアザゼルの手元に押しやる。
湯気の立った料理が食卓に並んだ時、アンジェは突然アザゼルの膝の上に跳び乗り、ふわふわの小さな頭で、彼女がスープをよそう手を輕輕と擦った。この突然の親密な举动に、悪魔の少女は恐れ多いほど驚き、手首さえふらついて、杓子を落としそうになった。
「どうやら…」
ルシウスはこの温かく、ほとんど現実離れした光景を見て、ここ数日で最も心から湧き上がり、最も安らかな笑みを浮かべた。
「俺たちはどんどん家族らしくなってきたな」
アザゼルはうつむき、銀髪で真っ赤になった頬と熱くなった耳の先を隠そうとする。
「誰が、誰があの悪い神父と家族に…もう…」
だが彼女の手は、無比の優しさで、膝の上のアンジェの背中の毛を、一下、また一下と撫で続け、その心安らぐ温もりを感じ取っている。
矛盾している…
最初は仕方なく契約を結んだのに…
どうしよう…
この感覚…すごく恥ずかしい…でも…嫌いじゃないみたい…




