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第0章 承天啓運、天命を受けて立つ!

俺は老秀泉、悪党共にめちゃくちゃにされた老爺だ。転生した先は妖魔跋扈する異世界。そこで俺は神父ルシウスとなり、ある権能を手にした——【此の世の妖魔を一頭殺すごとに、元の世界の罪人が一人、業火に焼かれて死ぬ】。さあ、復讐の時だ。聖水を満載したガトリングで、此の世の穢れも、あの世の敵も、まとめて“物理浄化”してやる。

第零章 承天啓運、天命を受けて立つ!


(本作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません)


---


冷たい風が枯れ枝を揺らし、ささやくように嗚咽する。野末で泣く怨嗟の声のように。


老秀泉の意識は混沌の中で漂っていた。最後の記憶は、冷たい監房で次第に曇っていく視界。鉄格子から差し込む月明かりは、冷たい刃のように、彼の七十年に及ぶ艱難辛苦の人生を切り裂いていた。殴られてぼろぼろになった体から生命が流れ出ていくのを感じながら、それでも最後の一念が激しく燃え上がっていた――


あの運の悪い孫の小雪は、まだ十六歳だ! 最後の頼りである自分を失って、人食いどもたちの手に落ちたら、きっと……


恨めしい! 天を衝くほどの恨み!


無念だ! 骨髄に徹するほどの無念!


もし生まれ変われるなら、もし枯れ木も倒すほどの力を持てるなら……人の命を塵芥のように軽んじ、権勢を笠に着て善良な民を虐げるあの悪党どもを、一人残らず地獄に引きずり込み、血で血を洗う復讐を果たしてやる!


その時、人の声とは思えぬ、至上の威厳と慈悲をたたえた厳かな声音が、時空の壁を貫き、消えゆく彼の魂の奥底で轟いた。


【天運を受け継ぎ、我今ここに命ず!】


【汝に聖なる躯を与え、この権柄を執らせん!】


【妖邪を掃討し、寰宇を粛清せよ!】


【悪孽に縛られし者……皆殺せ!】


「うああっ――!」


魂が坩堝に投げ込まれ、引き裂かれ、組み立て直されるかのような激痛。あるいは至高の力で無理やり生気を注ぎ込まれるような感覚。老秀泉はばっと目を見開いた。激しい苦痛で再び気を失いそうになる中、自分が廃墟同然の古びた殿堂に横たわっていることに気づいた。身下は冷たく粗い石板で、空気にはカビくさい埃と、どこか奇妙な線香の香りが混ざっている。


驚いて両手を持ち上げると、かつてマメやタコに覆われ、長年の労働で関節が太く変形していた掌は、今や白く、細長く、力強くなっていた。頬に触れると、皺は消え、引き締まった肌と角張った顎線に変わっている。見知らぬ黒いローブをまとい、重厚な生地には暗金色の、理解不能な神秘的な紋様が刺繍されていた。


見知らぬ記憶と情報が洪水のように脳裏に流れ込む。


此の地は「晦暗の界」――妖魔が横行し、穢れが蔓延る土地。そして彼は、此の地の廃教会の駐在神父、ルシウスとして転生したのだ。更に重要なことに、彼は自らに授けられた不可思議な権能を理解した――此の世界で【害をなす妖魔を一頭屠る度、運命に絡まる現世の、罪を犯した特定の者が、業火に焼かれ天罰を受けて暴死する】というものを!


この権能は、復讐の刃、汚名をそそぐ剣だ!


「おじいちゃん……」


小雪の、泣き声をひそめた最後の呼び声が、今も耳に残っている。あんなにはっきりと、あんなに絶望的に。老秀泉――いや、今は神父ルシウスは、拳を強く握りしめ、爪が掌に食い込む痛みを感じながら、これが夢ではないと確信した。


…果樹園が接収された時、奴らはブルドーザーを乗り回し、苦労して植え、ようやく実り始めた果樹を根こそぎ倒し、補償金は種さえ買い戻せない額だった。屈しない数少ない村人を率いて村の入口で抗議すると、ピートという保安官という男が、ブタのような顔をして、凶暴な手下を引き連れ、老いぼれた彼の体をゴミのように地面にたたきつけ、泥まみれの靴で頭を踏みつけ、「身の程知らずの老いぼれ」と罵った。監獄の暗い片隅で、ゴムで包まれた警棒が雨のように降り注ぎ、柔らかな腹や肋骨を打ち、血を吐きながら、看守たちが「死にたいのか」「孫もすぐにお前の後を追うぞ」と嘲笑う声を聞いた……


そして小雪、彼の利口で従順な孫娘雪桜……まだ十六歳、人生は始まったばかりだった! 学校のあの卑劣な連中は、どうやってプレッシャーをかけ、彼女を追い詰め、最終的には一本の冷たいロープで、まだ蕾すら開いていない花のような命を絶たせたのか?!


天を衝く怒りが胸の中で渦巻き、新たな躯を破って飛び出さんばかりだった。だが、此の地に転生し、この奇怪で強大な力を得たことで、彼は悟った。これは冥冥之中、至高の存在が授けてくれた復讐の権柄、天の道に代わって行う使命なのだと!


彼はあたりを見回した。殿堂は傾き、蜘蛛の巣が張り巡らされ、ステンドグラスは砕け散り、説教台だけがかすかな威原を留めているように見えた。その時、説教台の傍で、かすかな物音が彼の注意を引いた。


全身が暖かな陽射しのように黄金色に輝く美しい子猫が、そこに丸くなり、極上の翡翠のような澄み切った碧い瞳で、静かに彼を見つめていた。その眼差しは純粋で澄み切り、此の世界の穢れを微塵も帯びておらず、廃墟と暗がりの中では、道を示す一筋の灯りのようだった。


ルシウスの中の暴戾たる復讐心は、その純粋な眼差しに触れ、不思議と少し和らいだ。彼は身をかがめ、慎重にその軽やかな生き物を両手で持ち上げた。小さな仔猫は微塵も怯える様子もなく、むしろ親しげに、信頼を込めて彼の指に頭をすり寄せ、喉を鳴らして微かで心安らぐ「にゃあ」という声を立てた。


その声は、凍りついた彼の心の湖を解かす温かな流れのようだった。


「いい子だ」ルシウスの声は長く使っていなかったためか嗄れていたが、かつてない確固たる信念と優しさを帯びていた。彼は子猫の柔らかく滑らかな毛並みを撫で、その動作は優しく、かつて孫の小雪の細く柔らかい髪を撫でた時と同じようだった。「此の妖魔の地で、孤独なのは……お前もか? 今日からは、私について来い」


彼は一息つき、子猫の碧い瞳を見つめて、一語一語を区切って言った。「お前の名は『エンジェル』だ。我が小さな猫のシスターよ。私と共に……此の世の汚れを掃い清め、地に秩序を打ち立て、我らに属する……血の海のような深い仇を討つのだ!」


エンジェルと名付けた猫のシスターを抱き、背筋を伸ばし、彼は廃教会の壊れた扉へと歩み寄った。扉の外は、「晦暗の界」の歪み、暗灰色の、魔の影が蠢く空、硫黄と腐敗の気配が漂う空気だった。


ルシウス(老秀泉)の目は、刃のように鋭く、異世界の陰霾を貫き、遥か遠く、彼が冤罪で死んだ現世を見据えているようだった。


果樹園の恨み、監獄での屈辱、小雪の無念……罪を犯しながらのうのうと生き延びる者たちは、一人も逃がさぬ!


神罰の鐘の音は、転生した此の神父によって既に鳴らされ、時空を越え、彼の世に降り注ごうとしている。


此の界の妖魔の血が、彼の世の罪人たちを地獄へと導く道標となる。


彼は、天より命を受け、天運を継ぎ、審判を執り行う!

初めまして。これは、ただの老爺が、全てを奪った者たちに復讐するために、異世界で妖魔を殲滅しつつ、少しずつ癒やされ、仲間を見つけていく物語です。


「物理的な手段で妖魔を殲滅する神父」というコンセプトから思いつきました。ガトリング聖水のような荒唐無稽なアイテムも登場しますので、どうぞお楽しみに!


ルシウスとエンジェル、そしてこれから出会う個性的な仲間たちの旅路を、ぜひ見守ってください。ご感想や応援、大歓迎です!


それでは、次の章でお会いしましょう。

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