第三話「成功したらしい」
ジィさんの背中に着いて行くと、長い階段を上がり始めた。
さっきまでいたあそこは地下室だったのか。
「あの、ここはどこなんですか?」
「んん?ここは王城じゃよ」
なんで知らないの?とでも言いたげな表情だ。
知っているわけがないだろ。
ここが王城ということは⋯え?このジィさんもしかして王様?
どうりでやたらと偉そう、じゃなくて高そうな服を着ているわけだ。
「お待ちしておりました。既に全員揃っております」
「うむ。勇者殿はあちらの席へ」
案内された部屋の入り口には、メイド服を着た綺麗な女性が立っていた。
すげえええ本物のメイドだあああ
部屋の中はかなり広く、客間というよりは会議室のような印象だ。
中央にある縦に長いテーブルには既に人が何人も座っており、俺たちを待っていた様子だ。
そしてテーブルの上にはきらびやかな食事が用意されている。
空いている席は一番奥の真ん中、一番偉い人が座る席とその隣。
当然王様はお誕生日席だろう、俺はその横に座った。
「勇者殿?そこは私の席ですぞ?」
「えっ、ああすみません。えーっと⋯どこに座れば?」
「ハッハッハッ、やはり勇者殿は噂通りのお人のようだ。その隣ですぞ」
も~知ってるくせにまったくもう~、勇者殿は悪いお人だな~(ニヤニヤ)
みたいな顔してんじゃねーよ。
知らないよそんなの、初めてなんだから。
そして俺が誕生日席なのね。
「皆の者、待たせてすまなかった!待っている間の心境は想像に容易い。だが見ての通り召喚は成功した!それを祝して食事にしよう、存分に食べてくれ!」
『うぉぉぉぉぉぉ!!』
王様のかけ声で部屋中のものが歓喜した。
メイドたちもそう、中には「よかった」と涙を流すものもいる。
なにこれ。召喚?
ますます意味がわからない。