第二話「異世界は突然に」
え⋯⋯⋯?
目の前に広がる光景に思わず正気を疑う。
疲れ果てたかのように膝をつき息を切らせている人たちの後ろで、狂喜乱舞している人たち。
彼らの視線はこちらに集中していた。
さっきまで三人組に囲まれてたよな⋯?
それで謝れって言われて服を⋯服ぅぅぅ?!
「なっ、なんなんだここは??お前らっ、いやっ⋯え?」
「まてまて落ち着くのじゃ。まずは服を」
「こちらをどうぞ。サイズが合わなければお申し付けください」
サイズなんかどうだっていい。
差し出された服を即座に奪い取りすぐに着た。
「落ち着かれましたかな?伝説の勇者よ。そなたを待ちわびておった」
伝説の⋯勇者だと⋯?
えっ、俺が?勇者?伝説の?
待て待て待て待て
落ち着け俺、深呼吸だ深呼吸、ゆっくりと息を吸えー。
こういう展開は知ってる、これはあれだ、異世界転生ってやつだ。
一回死んだけど別の世界にっていう⋯⋯あれ?おれ死んだの?
いや死んでない。はずだ。ということはあっちか?異世界転移ってやつ。
なーんだ死んでないのか~。ははっ、焦らせやがって、ったくしょうがないやつらだな⋯⋯
異 世 界 転 移 ! ?
えぇぇ嘘だろぉぉぉ!?本当にあんのかこんなことえええ!?
『うぉぉぉぉぉぉ!』
なんかめっちゃ喜んでるッッッ
誰か、誰か教えてくれ!こういうときどうしたらいいんだ!?
誰でもいい、神様仏様ーーーーーー
⋯⋯そうだ。こういうときは神様が状況を説明してくれるものじゃないか。
どこかに神様がいるはずだ。
できれば女神様がーーーーーー
「どうかしましたかな?勇者殿?(ニコッ)」
ジジイじゃねぇかッッッ
ニコッじゃねぇよニコッじゃ。
「勇者殿、ここではなんですので別の場所に移動しましょう」
「別の場所⋯⋯⋯?」
とりあえずは言われた通りにするしかないよな。
あんたは神様代わりのジィさんなんだろう?
あんたが全部説明してくれるんだろう?