第六十六話 悪夢起床/過去最悪クラスの寝起き
「ーーーーーーうわあああ!」
『ふにゃっ!?どうしたの!?』
がばり、と俺はベッドから跳ね起きる。
マリアが叩き起こされて驚く。
だがしかし動転している俺は状況に気が付かない。
「マリア!?マリアだよな!?生きてるよな!?...ッ!アイリーン!ネア!エレーナ!カガミ!カリオペ!
――ッ」
『ちょ、暴れようとしないで、どうしたの!?昨日普通に別れただけじゃない!悪夢でも見たの!?』
「ーーーー!...そうか、夢か...」
俺は漸く今の状況を理解する。
何事も無い朝。学園の寮でそこは別に王都と言う訳でもなく、誰も慌てている様子はない。窓のカーテンを開けてみれば、気の早い生徒がスキップしているのが見えた。
「はあああああああ....」
『何?私達が死ぬ夢でも見たの?』
深く息を吐き出し、こくりと頷く。全く、あんな悪夢は初めてだ。妙に生々しく、血生臭い...今鼻腔に血の匂いがこびりついている様だ。
アイリーン達が死ぬ光景。今ですら平静を喪いそうな....あれ。
『...どうしたの?...え、私が一番むごかったとか?』
「いや...」
いや、寧ろ死に顔を見ていないような気がする。
...いや、今は兎も角。
『きゃ!?』
俺はにべも無くマリアを抱き締めた。
『...そうよね。怖かったものね。...In the sky stars are bright... May the moon’s silvery beams... Bring you sweet dreams...』
母親の様に。子供をあやすように、マリアは俺の頭を撫でてくれた。
「今子守歌歌ってどうするんだよ...」
少し涙がでるのを感じながら、マリアの細い体を抱き締める。
こんな弱さは前世では見せなかったし、感じなかった。
ある意味で命のやり取りが当たり前に行われるこの世界。
俺はそうは思っていなかったが、心の何処かでは恐怖していたのかも知れない。
「...もしかしたら、俺が一番弱虫なのかね...」
『...』
マリアは、何も言わなかった。
ただ、俺の頭を撫で続けた。
俺は、一つの事を心に決める。
仲間を守ることに、やりすぎなど存在しないのだと。
はい、夢オチです。
時たま変な分岐があるときはこうやってバッドエンドifでも書こうかな、と思い立ち。夢としてなので√の末路を短めに書きます。
因みに今回は”準備不足”が原因です。みんなも敵地に行くときは完全武装を忘れないようにしよう。




