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異世界学術論~結局のところ物理が最強~  作者: N-マイト
第二章 解放宣言編/悪意と正義は矛盾せず
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第五十三話 異世界転生/前世と今の説明会

「まず...だな。うむ。俺は中身おっさんだ」


「「「どういうこと!?」」」


『言葉わからないけど少なくとも出だしにミスってることは伝わってきた』


ボロカスである。...ボケは向いてないのかもしれない。


「おほん。言い方を間違えたな。...して、だ。三人は”輪廻転生”を知ってるか?」


手を合わせる。

ゆるんだ分それっぽい雰囲気を...ダメそうだな、うん。


「輪廻転生?」


分からなかったらしいアイリーンとカリオペが首を傾げる。


「ええと、全ての生物の魂は生まれ変わり、命が循環していくこと、ですよね?」


答えたのはネアだ。


「正解だ。流石は”教会”所属」


ぱちぱち、と手を打つ。


「この理論では、だ。俺たちは皆”前世”があることになる。つまりは生まれ変わる前の存在があることになる訳だな」


「生まれ変わり、ねえ。確かにロマンチックだけど、現実には...」


ふるふると首を振るカリオペ。


「...つまり、二人は()()ってことだね?」


ゆっくりとアイリーンがそう言った。

は!?とカリオペが振り返る。


「いや、そんな訳...」


「正解だよ、アイリーン」


ば、とまたカリオペがこちらを振り返る。

賑やかな奴。


「つまり、俺と、このマリアには今の俺たちの”前”の俺たちの記憶がある。時代も...いいや、()()()()()()場所で生きていた俺たちの」


しん、と静まり変える。

うん、マリア。『また変な事言ったの?』って顔をするな。俺でもそれくらいは読み取れるんだぞ。


「...待って、”違う世界”ってどういうことよ?」


「いい質問だ、カリオペ。まあ、文字通り”違う世界”としか言いようがないが...そうだな。本に例えるなら、”もともと別の本の登場人物だった”とでも言えるかな?」


「別の本...それは、...どう言えばいいのでしょうか。その...」


...分かり辛いか。


「そうだな...うん、教会じゃ”天界”とか”地獄”とかあるだろ?」


「ええ、ありますわ」


まあ、どの世界の宗教でも大抵でてくる概念だからな。


「あれは...物理的手段じゃいけない場所、”違う世界”だ。そうだろ?」


「...成程」


こくり、と頷くネアだが、カリオペは納得いってないようだ。


「なに?じゃあアンタは天使か悪魔の類っての?」


「いや、違うさ。...そうだな。”天界”は俺たちの世界の”上”に在って、”地獄”は”下”に在る。教会はそう定義付けている。」


「はい、そうですわ」


「なら、俺が来た世界はこの世界の”隣”に在る、のかもしれない」


「何よ、歯切れが悪いわね」


憤慨するカリオペ。


「そうは言われても実際に観測できた訳じゃないしな。...兎も角、俺とマリアは”違う世界”から転生してきた訳さ。要するに前世での知り合い。良く分からん言語は前世での言語」


「一気に説明したね。...面倒くさくなった?」


そうだなアイリーンよ。実際めんどくさい。俺が転生という現象を理解しきれてないのもあるが。


「ただ、まあ、説明はつきますわね。前世の経験も込みならアッシュさんのあれこれに」


「まあ、ついでを言うなら作ってる魔道具も前世の知識込みだな」


「「「成程」」」


ま、普通14のガキが王族を唸らせる魔道具技師なんてやれるはずがないんだ。結局”普通”との齟齬が彼方此方で生まれてる以上は五日はばれていただろうさ。


「まあ、前世に魔法なんてなかったから魔道具に応用する知識とかは全部一からなんだけどな。何なら前世にこんな鎧とかもなかったし」


かんかん、と(モルガーン)を叩く。現実にあるモノを着ていてはスーパーヒーローとして放映されたりはしないのだよ。


「待って、いまさらっと凄い事言わなかった?」


「やっぱ、本人が凄いんじゃないんですの?」


「前世でも有数の天才だった自覚はあるぞ。こいつ(マリア)含め」


さらりと言う。まあ、そういう特異点だから、俺たちは。


「いや、自分で言う?」


...まあ、カリオペの呆れも解る。そりゃ自分を天才という奴は胡散臭いよな。とは言え実際、”最初から与えられた能力”という意味なら正に天才だし...。


他の天才(知り合い)と遊んでたら前世の技術レベル吹っ飛ばして封印した技術が四つ位あるし...」


当時の情勢的にいくつかの国が滅びそうだったんだよ...。


「...まあ、それなら天才と言えるかもだけど...でもどうなの?魔法が無い世界じゃ...言い方は悪いけど、野蛮人みたいなものじゃない?」


「100mの軽銀(アルミ)の塊が700km/hで空飛んだり、星空を飛んで実際に星に降り立ったりしてる世界だが」


「すいませんでした」


解ればよろしい。


「...まあ、アッシュの前世は分かった...?から...あれ?アッシュって、えっと、前世含めると何歳なの?」


「ん?ああ、19+14だから33歳相当かな」


「アラサーかぁ...」


その言い方はやめるんだカリオペ。


「...でも、確かにちょっと年上っぽい事はあったけど、年相応な気がしたけど...」


ああ、それね。まあ、自分でもちょっと不思議ではあったが。


「多分、精神年齢それ自体はかなり肉体(こっち)に引っ張られてるんだと思う。じゃないと赤ちゃん自体に心が死ぬし...ほら、母親も...どちらかと言えば”育ての親”みたいな意識はあるけど、ね?」


「ああ...中身19が人妻の乳にむしゃぶりついてたと考えるとヤバいわね」


赤くなるアイリーンとネア。


「うん、ガチでヤバい字面はやめるんだ」


「...まあ、良いや。アッシュのことは...まあ、今は分かった。それで、その子...マリアちゃん?は誰なの?あとアッシュとの関係性は?」


ふるふる、と顔を振って顔の赤みを引かせたアイリーンとが聞いてくる。


「む、そうだな。そろそろ自己紹介の時間としようか。...ああ、安心しろ。通訳はやれる」


言いつつお互いを向き合わせる。


「えっと、先ずはマリアからにしようか。」『悪いがマリア、自己紹介を頼む』


マリアはん、と頷いて、はたと俺に顔を向ける。


『世界観的にカーテシーとかした方がいいのかしら』


『俺の上着一枚で何を言っとるんだ』


『...そう考えると結構な恰好ね、私...』


発情はしないから安心してもらいたい。


『...まあいっか。えっと、マリア・フォルネッジです。...この世界での名前とかは分かりません。...えっと、前世では一応数学者やってました。ミレニアム問題とか解くの得意です。カイトとは...そうですね、天才?同士の友達、と言いましょうか』


翻訳して伝える。

ミレニアム問題?と疑問が来たので「数学で世界で誰も解いたことが無い問題。ちょっとした屋敷が帰る懸賞金が付いてくる」というと三人とも驚いていた。まあ、多分彼女等の想像以上に凄いことだけど。

一人で三つ解いてるし。

俺らのサークルにおける界隈荒らしの筆頭だぞ。あの時の数学界の荒れようは俺でも見てて可哀そうになるレベルだった。お労しや。


「んじゃ交代だな。誰から行く?」


「ではわたくしから」


即答するのはネアだ。マリアが出来なかったカーテシーを優雅に決めて微笑む。


「ごきげんよう、マリアさん。わたくしはネア・ユグドラ。”教会”に勤める”執行者(エクスキュリア)”ですわ...えっと、アッシュさんはクラスメイトですわ」


翻訳すると『”執行者(エクスキュリア)”?』と帰って来るので『テンプル騎士団的な』と言っておく。あ、ちょっとイメージ違うかも。...まあ、そこはおいおいでいいか。


「じゃあ、次わたしね。こんにちわ。アイリーン・ソラウだよ。えっと...特別な肩書は無いんだけど、アッシュの幼馴染...になるのかな?」


「まあ、幼馴染であってると思うぞ、えっと...」


翻訳。やってみるとわかるプロの凄さ、だな。


「えっと。...多分付き合いはありそうだし、やっとくべきよね。私の名前はカリオペ。カリオペ・トルディアナよ。一応この国...あー、この森がある国の第四王女をしているわ。そいつとは...そうね、短期間に縁が腐ったんじゃない?」


うーーー間違いない。おっと、翻訳翻訳...っと。


「さて、と。...そうだな。そろそろ学園に戻る...いや、森の外に教師が待機してるだろうから移動するか...死体も回収しなきゃだし」


「ああ、そうね。...教官には申し訳無いけれど治療のインパクトで意識の外だったわ...」


こくりと頷く二人。まあしょうがないか。


そこで初めて死体を認識したであろうマリアが俺の服を引っ張った。


『...私が殺したんじゃないよね?』


『ああ、違う。安心しろ。お前は誰も殺してない』


まあ、俺が見てないところでは知らんが。...そんな野暮なことは言わないとも。


「...飛ぶか」


「何故」


瞬間的なカリオペのツッコミ。

カリオペ、お前ツッコミ適正あるよ。


「いや、作戦会議?はある程度すんだし早めに報告する必要あるだろ。どうせ報告上この(モルガーン)の説明もする必要があるし」


「いや、そうだとしても運べるの一人か二人でしょう。残りどうするのよ」


「うむ、まあ、それはそうなんだが」


イイ感じに翻訳しながら会話する。面倒だし二度手間だなぁ。どうにかして解決策用意しないと...。


『...えっと、多分私飛べるよ?』


とマリア。うん、キメラ体を考えると確かに跳べても不思議じゃない。


『でもな、攫われて声の出ない女の子が元気に跳んでくるのは不味いと思う』


『...だよね』


...ま、時間はかかるが歩くか。そう結論付けようとした、その時だった。


「えっと、ゆっくりであればわたくしも飛べますわよ。《我が主に請い願う(ウィルネルシア)》【彼方へ届く翼を(フラィンガ)】」


ばさあ、と宗教画の天使の様に、ネアが翼を広げて見せた。


...おぬし、天使族かなんかだったんか。

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