第三十一話 役員集合/生徒会の七光
「と、言うワケで各自自己紹介と行こう」
さも当然化の様に進行するエレーナ先輩。少し落ち着かせてほしんだけど。....あ、割と視線がいくつも向けられている。ダメですかそうですか。
「あー、っと...自分はアッシュ・クロウ。一年のSクラス次席です。よろしくです」
で終わりでいいか?あ、ダメ?
「えっと...一応戦闘力はそこそこありますが所属は魔道具科です。えっと、得意魔法...というか基本的には固有魔法二つしか使えません...えっと、このくらいで」
それ以上に言うことはないぞ。
「ふむ、まあ、いいだろ。改めて私はエレーナ・レピオス。生徒会長だ。三年主席の戦闘科だな。得意魔法は強化魔法と回復魔法。趣味はスイーツ巡りだ。休日は大体は何件も巡ってるくらいには甘味は好きだ」
...うん。...うん?なんか意外な趣味だな?
というかその趣味で良くその体型だな。
「ほんとなんで会長はそんな食生活で太らないんですか...」
ふわっとした雰囲気の女性がため息を吐く。
「ははは、そういう体質だ!」
部屋に居た女子陣が一斉に睨んだ。さもありなん。
「えっと...僕とはあったことがあるよな。アリオス・タリオ。三年第四席に当たる、法術科の者だ。得意魔法は...水系全般だ」
次に口を開いたのは、少し青みが勝った黒髪を整え、眼鏡をかけた...整え方や顔つきは少し粗野だがまさに”委員長”然とした男子生徒。
ミート・スライムの時にいた奴か。
「じゃあ次は俺だ。シルト・ヴァルナ。役職は会計。苗字がこっちの命名法則じゃ馬頭来意が外国の血が入ってるからだそうだ、大陸は跨がないけどな。四年の建造科、A組だ。得意魔法は土と岩。趣味は...建築を見て回ることだ」
こんどは割とワイルドな男子生徒。茶髪が特徴だな。
「じゃあ、次私。ファナ・セルマよ。四年の書記。戦闘科。得意魔法は氷」
口数少なく終えたのは夜のような黒髪と透き通る様な蒼い眼の女性。エレーナ先輩と比べると...いや、比べなくてもかなりスレンダーだ。代わりに身長はかなり高い。というか足が長い。
「じゃあ、わたしからね~。わたしはイゼルマ・ノルディー。二年生次席の副会長その二だよ。薬学科で、得意魔法は...植物、ってことになるのかな?趣味は読書。いい本あったら教えてね」
次は先ほどエレーナ先輩に苦言を呈した女子。薄めの色の茶髪で、ふわふわとしている。全体的に羊を思わせる女性だ。
背が低いがグラマラス。...まあエレーナ先輩には負けるが。あっちが異常なので仕方ないね。
にしても趣味:読書か...。地球世界だと珍しくもなんともない趣味だが、この世界ではそうではない。植物繊維の”紙”がいまだほとんど伝来していないこの国では本は非常に高価。本を読むことはこの学園に居れば図書館があるので簡単だが、趣味と豪語できるものは金持ちの証の他ならないのだ。ましてや当然の様に言うなら猶更。
「あたしね。あたしはエンバー・クロマ。二年生A組の広報係よ。戦闘科ね。得意なのは炎魔法。趣味はスポーツ。体を動かすことなら大体好き。よろしくね?」
次に出てきたのは赤っぽい茶髪の女子。長いツインテールや髪と同じ色の吊り目が「私は活発だ!」と主張している。やはりスタイルが良く、非常に良く引き締まった、しかしちゃんと出るとこは出ている健康的な肉体と言える。
「.......えっと、私も言いますか?」
「当然」
はあ、とエレーナ先輩の返しに応じてしぶしぶ、といった風に出てきたのは白銀の髪と目を持った、少々きつそうな雰囲気の少女だった。残りの一人なところからしてこいつが同年代の役員とやらだな。
髪は長く、いわゆる超ロングと言う奴だ。床にすりそうなくらい。体形は...まあ、率直に言って貧相である。病的とまではいかないまでも純白の肌に、起伏のない...いや、まあ、伏はあるな。寸動体型ではない。まあ、ともかく出るところは全くない。きつそうな雰囲気に反して、見てくれは触れれば少しの圧力にも屈して破断しそうな、そんな少女だった。
「一年、Aクラス。法術科のカリオペ・トルディアナ。...数合わせは数合わせらしく、引っ込んでれば?」
開口一番の罵倒。それが俺と彼女...。
この王国の王女様との、出会いだった。
薄幸見栄っ張り王女様。
シルトとファナは選挙当時三年だけどあんまり会長やりたくなかったので実は安堵してたり。
名誉と責任の重さで言うと責任の重さの方に傾く役職。




