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異世界学術論~結局のところ物理が最強~  作者: N-マイト
第二章 解放宣言編/悪意と正義は矛盾せず
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第二十三話 冒険者講習2/遍く道は森の中

さて、この学園では非常に設備が充実している...と言う話を依然したことは覚えているだろうか。

魔道具科の工房、薬学科の実験室や栽培設備等。そして当然、生産・実験用設備があるのなら。

訓練設備も充実している。

殺し合いをしようが死なない戦闘訓練場を筆頭に、様々な訓練を行える場が備えられている。

その一つがここ、正式名称第三運動場...通称”林”である。


「が、学園内にほんとに林がある...」


ぽかんとした表情で驚くアイリーン。まあ、顔には出していないつもりだが俺も同じ気持ちだ。

林。森と比較して小規模で木々が生い茂っている場所。日本の農林水産省によれば人の手が入っている場所。

確かにこの場所はその条件を完璧に満たす。満たすが。

学園内に島が如くイチから作るか?普通。


「ま、造成にはそこそこかかったらしいけど、せっかくあるんだから使いましょう!」


冒険科の授業なので担当は前回に引き続きリリネだった。

と言うか、魔法使いの性質上割と頻繁にぼろぼろになるんじゃないか?植物魔法?あっそう。


「ま、今回はゲーム形式と言うことで」


ばん、とどこからともなく取り出した黒板を叩くリリネ。


「えー、ルールは簡単。この林を真っ先に抜けるだけ!妨害、攻撃、何でもありのサバイバル・レースゲーム!」


叩かれた黒板には割とそれっぽい林のイラストが描いてあった。絵心あるんだな...。

...だが、妙なゲームである。林、と言ったが、あくまで小規模なのだ。広い...学園設備としては広いがその程度。妨害や攻撃を考えるよりさっさと抜けてしまった方が...


「あ、この林設定すると方向感覚とか色々狂わせるから実質的にはすごく広いよ。あくまで軽くだから本気で遭難する程じゃないし、こっちからは位置が分かるから大丈夫だけど、簡単には勝てないよ?」


成程、それは時間がかかりそうだ。


「ゴールはこの林の反対側。ほかのところからは設定したから出られないよ。制限時間はこの時限いっぱい、ここにも”結界”はあるから何してもオッケー、あんまりやってほしくないけど全員殺っちゃえばその子がその時点で勝ち。どう?中々スリリングでしょう?」


ふむ、あくまでいかに早く抜けられるかであり、戦闘がメインじゃない、と言いたいわけか。アリな時点で中々だが...。


「あ、いくつか追加ルールもあるよ。最初の5分は攻撃禁止。どうせはぐれるから追いかけてみるのも構わないけど。攻撃OKの合図は笛でするよ。あと林の中には数人魔物代わりに先輩の生徒を仕込んでる。多分無理だけど倒せたら加点。結構加点するからレースで負けてても順位変わるかも」


成程?倒されるリスクを承知で格上に仕掛けるかどうか、と言うことか。

恐らく撒き餌的な要素で逃げるのが正解なんだろうな...。

と、説明は終わったのかリリネは「質問あるー?」と呑気な声で言う。


「何か賞品とかありますかー」


生徒が聞くとリリネは満面の笑みで、


「先生が何でもしてあげちゃう!」


と宣った。

...。


「ちょ、皆なんでやる気なさそうなの!?ナニしても良いんだよ!?」


だからだよこの年下好きのド変態!!!


「まあ、それは3割冗談として...」


結構本気じゃないか。


「ま、好きなもの買ってあげる。あくまであたしの自腹(ポケットマネー)だからあんまりお高いものは買えないけど。どう?...うん、やる気があってよろしいけどちょっと複雑だよね。財布に負けた気分...」


自業自得と言う言葉を熨斗つけて投函しておこう。


理由は兎も角やる気になった生徒たちは速やかに林の入口に立つ。


「負けないよ」


隣に立ったアイリーンが自信ありげに言う。そりゃ自信はあるだろう。不整地での機動力(かけっこ)で勝てたことがないからな。


「んじゃ、行くよ、レディー!ゴーッ!!」


ちょっとガン〇ムファイトの開幕の人っぽい声音の宣言を後ろに、皆が一斉に走り出す。

それを俺は、突っ立ったままに眺めていた。


「あれ、行かないの?もしや棄権?」


リリネが声をかけてくるので振り返る。

俺のズル(チート)に近い攻略法を知られたくないのと。

幾つか聞いておきたかったのだ。


「一応聞いておきますけど、()から行くのって良いんですか?」


指を空へと立てて問うと、リリネは一瞬ぽかんとしたが、すぐに納得したように手を叩いた。


「あー、飛べるとは聞いてたけど、もしかして結構長距離行ける?」


「まあ、魔力が続く限りは。飛ぶというか跳ぶ、ですけど」


「空中でうねるのは跳躍の範疇にないんじゃない?」


それはそう。


「んー、流石にその攻略されちゃうとタイム二秒とかになっちゃうからなー、ちょっと今回はダメと言うことで」


甘いな、ゼロコンマ台だ。

ま、禁止されるのは分かっていた。


「つまり、あくまで林の中に居ろ、と」


「そうだね。まあ、林の中なら跳ね回ってもいいよ。どうせ迷うし」


「...了解です」


言質は取った。


さあ。


最速攻略(R T A)と行こうか!

短め。きりが良すぎたのじゃ。


リリネについて。

元クソツヨ冒険者。

マジで滅茶苦茶強かった。

竜と渡り合える人の一人。要するにアッシュ父と同じくらい強い。

でも脛というかヤバい所に傷を受けて冒険者をやめた。

一日30分以上走れないような身体。力も全盛期の5%以下しか出せない。それでもそこら辺の騎士くらいはなぎ倒せる怪物。

男性経験はゼロ。悲しき半ショタコン。ショタも好きだが可愛い年下ならOKの拗らせた性癖。

尚興奮しすぎると死にかねない。行為とかそもそも出来るのか?という。


運動場について。

前回走ってたり以前フェルグスと決闘してた運動場っぽい運動場の通称”グラウンド”が第一、”闘技場”が第二。ほかにも岩場を再現した”岩山”の第四なんかがある。プールはないです。魔法の力でも水道代には勝てないのです。

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