第十三話 魔法学園体験授業/剣と魔法と脳みそ筋肉
魔法を学ぶ、その言葉を聞いてこれを読んでいる皆は何を想像するだろう。
ハリー〇ッターのホグ〇ーツでの授業の様に魔法が飛び交う授業?正解だ。
結局のところあらゆることは手本と実践と反復で出来ている。魔法を学ぶなら魔法を使うのは当然だ。
しかし、だ。その点において俺は難しいと言わざるを得ない。
「『火種を此処に。弾ける光は熱を持つ。【種火】』」
なにも起きない。
「むう、固有魔法使いの上に特化型とは珍しいですねぇ」
特化型とは、ある特定の魔法しか使えない者のことを指す言葉だ。
通常、魔法使いは複数の属性ないし様々な種類の魔法を使うし、使えねばならない。
例えば炎魔法で言うならば、【火炎】しか使えない魔法使いは優秀とは言えない。
しかし特化型は違う。
特化した魔法は異常な力を持つ、と言うのが通説だ。
例えば【火炎】が【焼滅せし煉紅の裁き】...最上級クラスの魔法に威力で勝る、なんてこともあるらしい。それ要するにイメージ強度の問題だろ、と思うし多分その通りなのだが...言わぬが花か。
そしてその理論で行けば俺は間違いなく特化型だ。なんせほかの魔法のイメージが付かないのだから。
「そうなると、ねえ、特化型に”実践魔法学”の授業は逆効果になりかねないのですよねえ」
さっきから俺の魔法を見ているのはジョン・フリットショルン。魔法を実践的に練習すると言う”実践魔法学”の先生だ。学者然とした初老の男。ちょっと怪しい雰囲気はご愛敬だ。
それはそれとして、だ。実践魔法学が逆効果になると言うのも理にはかなっているか。
それはつまりせっかく完成されているイメージ強度を落としかねないからな。
「そういう生徒にはこの授業の必修がなくなるんですよ」
ほう?
では何を取るかと考えたが、現実はそう甘くない。
「代わりに”占術学”が必修になります」
うそぉ...
「あはは、そうなるのも無理はありませんが」
苦笑いするフリット先生。
「しかしね、あの授業こそ私は重要だと思うのです。何故占いなどと言う不確かな授業がこの学園にあるのか、その理由を考えることです」
占い...占い、か。
前世では壺系商売のイメージしかなかった、正直詐欺師予備軍だと思っていたが、この世界では違うのだろうか。
その後、数学、歴史、礼儀作法の授業を終え、俺たちは昼飯にありついていた。
この世界の学園は、授業が必ず昼後すぐに終わる代わりに始まりが朝早い。日の出から一時間程度で始まってしまう。そのせいで朝飯から昼食までが長いのだ。(1時限80分)
代わりに午後は一時間しか授業がない。これは基本的に魔法が己の研鑽に多数の時間を必要とする面から生まれる”自習時間”の必要性から生まれたシステムである。あと平民出身だと仕事したり、また冒険科だと依頼を受けてちょっと一狩り、ともなる。
「礼儀作法を今更学ぶとは思いませんでしたわ」
そうぼやくのはネアだ。メニューはブリスケット(牛の肩バラ肉)のバーベキュー(特盛)。
特盛とつくようにネアの皿には肉だのパンだの野菜だのがこんもりと積み上がっている。
一応断っておくがネアは太っていない。寧ろ華奢な部類だ。アイリーン曰く筋肉質ではあるらしいが...どこに消えてるんだその食料。
「ず、随分食べますね...」
口に出してしまったのはカガミ。今朝からやたら女子連中との距離が近くなった。まあ何があったかは知らないが、彼女の境遇を考えると諸手を挙げて喜ぶべきことだ。
もぐもぐごっくんと凄い勢いで咀嚼を終えてネアが口を開く。
「体質的に太れないのですわ」
あっすごい空気変わった。流石に俺でも判るぞおい。
たじたじとなるネアである。
「言い方に語弊がありましたわ...その、この分量を食べないとやせ細っていってしまうのですわ」
む。
話を聞けば、どうも健康的な生活を送れる最低分量がこれらしい。かなり燃費の悪い体質なんだそうだ。
...ふむ、もしかしたら消化吸収の不良か...?
「ふうん」
こっちはこっちで良く食べる女子が気の抜けた返事をする。
メニューはコック・オ・ヴァン(雄鶏の赤ワイン煮込み)のもも肉+ササミver(大盛)である。
こっちはスタイルに隠れているがかなりムキムキなのである。あまり筋肉が表に出ないように俺監修でトレーニングしたのでこの美しいバランスが、ってそうじゃない。
まあ、代謝が多いのでこっちはこっちで燃費が悪い。
「むしろみんなが少食なんだと思うぞ」
そう言ってくるのはロメル。
...いやいやいや。
「お前基準で語るなこの脳筋」
コイツが食べているのは牛ヒレ肉のカルパッチョ風のなにか、ササミのサラダチキンっぽいもの、トゥルヌド・ロッシーニ(フランスの牛ヒレ肉ステーキ)っぽいもの...調理場の仮置きと言うか、バイキングの皿を丸ごと持ってきたというか、そんな量。
というか上の二人はまだいいけどお前のメニューは時代的に新しすぎないか?しかもこいつ偶然なのか食事メニューが完全に筋トレじゃないか!筋トレ現代知識だけ持って転生でもしたのか?
因みに成績からわかる通り少なくともこの世界基準では勉強もできる訳で。
インテリ脳筋である。インテリ脳筋ってなんだよ。
「はっはっは、誉め言葉だ。と言うか君も中々鍛えているだろう?」
まあ、な。またあのハイドログリズリーみたいなのに遭遇しても殴り合えるように限界まで鍛えていたりする。隠してはいるが前世俺がひっくり返るレベルの編み込まれた縄の如き筋肉である。
実際ちょっと自慢したくはある。
「まあ、な。」
因みに俺のメニューはローストチキンとローストビーフだ。分量は合計で普通盛りより多い程度。俺はちゃんと地球知識があるので実際に筋トレメニューである。でもちゃんと美味い。
尚残る面子は少食気味。ノーノはローストビーフだが分量は俺のそれと同程度。カガミはニシンの塩漬け。オランダ料理じゃないか?まあいい。キール&ノワはなんかもうよくわからない料理。ほんとにメニューにあったのかそれ?え?大沼蜥蜴の揚げ焼き?魔物料理かよ。
ちなみに魔物料理は珍味...日本でいうジビエ系の扱いである。俺もあまり食べたことがない。
大抵臭いし。
ヒルドはタラのマリネ、ファルコは...サンドイッチ。サンドイッチも近世の発明じゃなかったか?と言うかもっと食えよ。ちょっと栄養失調気味だろうお前。
同じ思考に至ったらしきロメルがファルコの皿に肉を突っ込み始めながら口を開く。気持ちはすごく分かるが本人困ってるぞ。
「次は確か戦闘実習だったな!アッシュと戦えるといい!」
「む、アッシュ様は私ともう一度戦うのですわ」
そうだ、ネアも脳筋だった。
脳筋二人の扱いに困っていると、ノーノが呆れたように助け船を出してくれた。
「無理ですわ、それ。そもそも戦闘実習と言いつつも基本的には基礎鍛錬の時間だそうですわ。だいたい、入学試験で模擬戦闘をやったばかりなのに闇雲に模擬戦闘ばかりやるわけないじゃありませんか」
それはそう。戦闘科3年になると割と毎日模擬戦闘を行うらしいが。何その戦闘狂養成トレーニング。
それを聞いてシュンとする二人。
「あと何方にせよ暫くは男女別ですわ」
体の作り方が違うということだ。成程。
なんかネアが小さく見える。凹みすぎだろお前。
「さて、では俺とアッシュ・クロウで模擬戦を行う!!」
模擬戦ないって言ったじゃないか!と隣の運動場に居るであろうノーノに恨みの思念を送る。
「そんなの予想できませんわ~」と思念が返ってくる。
...帰ってきた!?
妙な以心伝心はさて置き。
このアホなことを言っている中年...ロメル以上に暑苦しい雰囲気の男は...確かフェルグス・ミグラント。
まず間違いなく脳筋である。魔法学園とは何だったのか。インテリジェンスが足らないぞインテリジェンスが。
「いや、それ俺に何の得があるんです?」
「勝ったら無条件で一単位追加してやる」
「いいでしょう、吠え面掻かせてやりますよ」
単位、大事。
自分の剣を使っていいとのことだったので鍵付きロッカーから持ち出してくる。
初戦闘だ。昨日買ったばかりだが、暫定相棒の実力を見せてもらおう。
じゃり...ん。
腰から剣を抜き放つ。
すると周囲からほう...と感嘆の声が漏れた。
黒く、氷の様な透き通った輝きを放つ少し肉厚な刀身。精緻な装飾が施され、しかしこの上なく実践的な設計がなされた鍔と柄頭。握ると掌に噛み付かれるような感覚すら感じさせる、恐らく鮫系魔物の革が巻かれた柄。外見も、その有り様も正に”魔剣”。
それこそがこの《獣剣・テスカトラム》。
コイツの能力は主に二つ。使い手にかかる重さを軽く、敵に対しては重く。それとたったもう一つだけ。
少なくともあの場に会った他の魔剣と比べると、ともすれば見劣りしかねない能力。
しかしこの剣は、現代遊戯〇のような嵌め殺しは出来ずとも、地力で魅せる剣。
妙な能力がない分ちょうどいい。
「そいつは...なるほどな」
何事か呟きながらフェルグスも剣を構える。奴の剣は魔剣でもない鋼の剣だが、使い込まれているのが一目で判る歴戦の剣。
...。
ごくり、と誰かが息をのむ。
「ふむ、いい度胸だ」
とフェルグスが言うが俺にはよくわからん。
闘気でも出てるのかもしれないがわからんのだよ俺は。空気の変化と言われてもな...。
まあ、自分が殺気放ってるのは解るので何とも言えんが。
すると、審判役の副教師...たしかガルとか言ったか。が笛を構える。
さて、結局は訓練試合なので初手から大人げない本気はなさそうか。なら、
「はじめ」
ビー!
最初は様子を...不味い!
ビュオ!と剣風が唸り、完全無詠唱で起動された強化魔法に乗せて必殺の突きが放たれる。
起こりを見ていなければ、観測者を起動していなければ今ので終わりだった。
「ええい、大人げない!」
「油断を諫めるのは俺の役目だろう!しっかり相手を見ておけ!」
くそ、俺は純正武人じゃないんだよ!
お前らの戦術眼と一緒にするな!
内心で毒吐きながら後ろに跳ぶ。
この運動場は試験会場と同じ結界が張ってあるそうだ。つまり殺しても問題ない。
だったら恐らく只管殺す為だけの戦法をとれば勝てる。と言うか俺はアガートラムとテスカトラムで穴熊を決め込みながら全開爆撃していれば燃費の問題でいつか勝てる..ハズ。
俺の魔法は異常なほど燃費が良い。さらに俺は魔力量自体も多い。だからそれなら勝てる...が。
テスカトラムの力を見たいと言ったんだ。せめて負ける寸前まではやらせてもらおう。
「【演算仮定・運動不定式&力量演算式】!」
ぐん、と弾かれるように...いや、文字通り弾かれて加速する。
「は!噂の超機動か!」
弾かれる。この剣相手からするととんでもなく重い筈なんだが。
ッと。
弾かれた俺に向けた容赦ない追撃をうねる様に避ける。
そこで生まれた回転力を拡大し、殺傷に十分な速度を手に入れて地面と水平に斬り下ろす。
身体を倒して避けられる。そのまま90°体をさかさまに起こしつつ手で地面を左腕で掴む。
ぎゅるんと手で地面をねじ切るように回す。
当然こっちの体が回るがそれをさらに押し出して片手だけでの大回転。そのまま足を斬りつける...跳び退かれた。
アイリーンより強そうだなコイツ。アイリーンは初見から二回は引っ掛かった。
教師なんだからそれはそう、と言われたらその通りではある。
ならこれだ。
これそのものはネア戦やアイリーン戦で魅せた手法。縦横無尽に跳ね回る戦法。
攻めさえしなければ意外と対応は容易い、とアイリーンは言った。
攻めると避けるときにうにゃうにゃ曲がるからそこは注意しなきゃだけどまっすぐだけなら普通に見える、と。
さっきの発言からしてこいつは俺の試合を直接見てはいないらしい。だが絶対に情報は得ている。
ならさっきの対応力から俺の動きに付いてくるのは必至。
ならさらに初見殺しを入れ込んでやる。
ひょん、と跳ぶ。軽いうごきとは裏腹の超加速が意識を叩く。
普通ならこのまま直線的に突っ込んでから方向転換する。
だが。
ぐん、と俺の運動方向が変化する。
放物線。見た目だけは普通のジャンプ切り。ただ十何倍速クラスに速いが。
この軌道変化に、奴はやはり反応してきた。
だが。
脚を奴の隣に付ける。
瞬間。
「うおっ!?」
運動が完全に反転する。俺ごとノータイムで跳ね返ってきた剣を、奴はギリギリで、しかし確実に躱し、まさかの反撃を打ち放つ。
「嘘だろおい!」
更に曲がる。平面上を円運動かの様に滑り背後からの三撃目。
後ろ手に受けられるが、剣の重さにたたらを踏んだ。
ここだ!
がん!がん!がん!ガンガンガンガンガンガン!!
全力の突貫がうねり回る上に連続で飛んでくる予測不可能の攻撃空間。切り上げ、斬り下ろし、突き、蹴り、回転斬り、水平斬り、袈裟斬り、逆袈裟...あらゆる攻撃をあらゆる角度、姿勢、一から繰り出す。
初見殺し。相手が対応の体勢を整える前に情報量で押し流す!
「ぐ、わばっ、ちょお!」
ち、こいつ、剣が堅い。物理的な硬さ以上にコイツの剣捌き自体が頑強だ。
これは容易には崩せない。
「なら、今の最大手で!」
「ははは、来ぉい!!」
笑うフェルグス。じゃあ受けてみろ。
「起動しろ、《偽・惑う義手・白銀の絡繰腕》」
放たれる色とりどりの攻撃。
【荷電粒子砲】!【音響衝撃砲】!【反跳爆撃】!
玩具箱から放たれる光線、衝撃、爆発。剣撃に加えてさらなる視覚的、聴覚的情報が襲い掛かる。
「くおっ...」
そして、ついにフェルグスがよろめいた。
「来たッ!押しつぶれろォ!【音は重みを持つ】!!」
「!?く...うおおお!体が、重い!?」
きいいいいいい...
特殊な超音波をまき散らす。この超音波は脳を揺らす。
常人では気付すらしない程ほんの少し、しかし決定的な脳の揺らぎは...。
”動作の減速”として出力される。
ちなみに名前と違い重さは関係ない。錯覚である。
「そして!」
じゃりん、とテスカトラムを掲げる。
「『目覚めるがいい!襲え!穿て!引き裂くように貪り喰らえ!其は紅く、黒く、蒼く、白く。全てを食らう捕食者なり!!【血に渇き肉に飢える】』!!」
獣が、その意識を起動する。
テスカトラムはシンプルな魔剣。そう言った。
そもそも、この世界の魔剣とは、”魔法を剣の形に固めたもの”とされている。
依り代となる剣に魔法を注ぎ込む。それがある一定値を超えると剣としての認識が崩れ、異形の剣たる魔剣と化す、らしい。これが東洋の妖刀やら神剣やらだとまた事情が変わるがまあそういうことだ。
そしてこの剣に注がれた魔法は”獣の魔法”。観測者によれば、それは遥かな昔の固有魔法。その効能はただ一つ。
”力を食らう”。
力、それ即ちエネルギー。それを食らうのだ。
【何を掛けてもゼロ】の効果と近い、魔法や攻撃の無効化なように思うが、そうではない。
いや、通常時はそうだ。魔法を斬ることが出来る、と言う効能として現出する。しかしその真名を開放...必殺技として出力すると。
獣がフェルグスに食らいつく。
その体の内に秘めたる暴威を開放する。
その獣は太陽を喰らう、死の獣。
血を喰らい。
光を貪り。
氷に閉ざし。
灰に変える。
そして、黒い煙と共に消え去った。
「ふう、ふう、ふう、...ふーー...」
思ったよりしんどい。魔力のかなりの割合を勝手に持っていきやがった。
まあ、ちゃんと当てて効果を使えよ、と言うことなのだろうが...これはひどい。
「よっと」
なにせ倒せなかったのだから。
「倒せないとは思わなかった」
首筋に突き付けられた刃を見ながら苦笑いする。
「いやあ、あれな。正直全力でぶっ飛ばしたが...お前さんがもう少し成長してたら負けてたな」
「どういうことです?」
フェルグスも苦笑いしながら俺の言葉に返答した。
「あれな、たぶん発動しただけだ。威力、魔力依存だろう?俺を喰らうには足りないってよ」
...成程、発動に足る魔力はあったが威力を上げられるほどではなかった、と。観測者でも案外気付かないものだな。
さて、どうするか。
実は打てる手はもう一つある。
”獣の魔法”の効果は一つ、だがその延長がある。
それは喰らうという行為そのもの、つまり、”己の糧にする”というプロセスだ。
つまるところいま俺は魔力がぐんぐん回復している。余り食えなかったのかそこまでではないが...
自爆するには十分だ。
まあしかし、よくて相討ちだし、今その気ならすでに俺は死んでいる。
だから今回は諦めーーーー
「はっ。そんな訳ーーーーー」
「!...恨むなよ!」
ぶん、とフェルグスの剣が振るわれる。
しかし、俺は。
意に介さない。
「ないだろう!」
ぐむっ。
「なーーーー」
奴の魔力が残っていないのは確認済み、なら振るわれるのはただの鉄!ならば防ぐさ、防刃インナー!!!
ぱちぱちと意識が弾ける。緩衝もできるように作ってあるとはいえ人体の急所。思い切り前に出て威力を殺さなければ終わっていたとも。
だが、倒れない、終わらない。ならばするべきは前進あるのみ!
「おおおおおおおお!!!!」
「くそっーー!」
ガシッ、出した左腕が掴まれる。自分から射線をずらす判断、お見事。
この上ないほど正解だ。
アガートラムの対処としては。
だが。残念だ。
既に仕込みは終わっている。
パシッ。
とっくに剣を手放した、右手で”それ”をつかみ取る。
一度も見せていない完全無詠唱、それでは今の俺でも、事前に決めたたった一種類しか出せないが。
この状況では十分すぎる!
「ふっとべ」
引き金を引く。
それは拳銃。銘は”トンプソン・コンテンダー”
拳銃弾からライフル弾まで、銃身交換で幅広い弾丸をぶっ放す単発拳銃。今回のカスタムは、当然俺の知る限り最高火力、スプリングフィールド。ついでに言うならアダマントとミスリル突っ込んで威力向上させたシロモノだ。
それは俺の望み通り。
奴の頭を、ぶち抜いた。
フェルグスからすると正面から倒せば勝ち。主人公からすると殺せば勝ち。
”獣の魔法”で倒せない可能性なんて最初から考えてぶっ放していた。最悪フェルグスの魔力が枯渇していなくても防ぐ手段はあった。その場合魔力があまり残っていない状態での仕切り直しになるので余計凶悪な戦法になるが。
試験ではアイリーン共々大分戦法を縛っていた。対アイリーンでは、仕込みを許せば主人公の勝ち、ぶっぱを許せばアイリーンの勝ちみたいな感じ。
アイリーンも主人公も剣の能力ではフェルグスに遠く及ばない。魔力量も実は同年代は圧倒できるけどまだそんな多いわけではない。ですが、ひたすらに”神を介さない魔法”が無法すぎるのです。
以下本編に関係ない要素
この世界は上位存在によって管理されていると言うのは1、2話で説明した通り。よってこの話の結末のバッド・グッドにはこの世界の滅びが関わってきます。
上位存在達のは、”核戦争が起こった世界”は未来がないとして 継続的な管理を取りやめ、現在存在するリソースを吸い上げるのみで管理しない、つまり緩やかな世界の滅びがスタートします。この”核戦争”の基準はガバく、”一定範囲の核汚染”となります。原発事故も含みますが、”一定期間内”をトリガーとすることもあって地球世界はギリ回避してます。
主人公の最大火力は大量のプルトニウムを召喚することで自爆する核自爆となります。
これ、ギリギリですが許容量を超える汚染を引き起こします。
また、敵が倒せず、自分はこのままでは確実に死ぬ場合主人公は確実にコレを使用します。
よって、その状況が発生した時点で√”届かなかった願い”へ派生しバッドエンドとなります。
尚、主人公が自爆しなかった場合は二つのビターエンド若しくはノーマル√”かつての通り進む世界”という、主人公が存在しないだけの世界が続きますしかし文明的に停滞したまま永遠に存続します。
主人公が生存した場合はその状況に関わらず基本的にはグッド以上の判定です。
しかしこれには彼以外の仲間の生存は考慮されません。最終話時点で一人以上死んだ状態では”失われた輝き”√に派生し、主人公の心に傷が折った状態となりますが、世界は発展を始めます。
この際人類の生存数が文明再興に必要な最低数近いと”心を閉ざした独裁者”√に入り、実は発展速度はこれが一番早いモノのちょっと世界的に碌なことにになりません。
ただ、この”失われた輝き”へ派生する際仲間の生存数がヒロインたちを除き三人以下になると”失われる心”√にさらに派生、仲間が何らかの形で暗殺され、世界に宣戦布告、文明すべてと共に自爆するバッドエンドです。
逆にヒロインたちのみ生き残った場合は”空虚なハーレム”√へ派生します。
正直現段階で派生する可能性のある√なので詳細は伏せます。
その他のルートについては派生確率の高い√なので内緒です。




