異世界転生〜
異世界転生、いいよね
アスファルトが靴を掠る感覚がした。
気づけば僕は幼馴染を救うため、地面を蹴り出しトラックに轢かれそうな彼女の手を引く。代わりに僕は...轢かれてしまった。
一回転二回転して体の隅々から痛みが溢れ出す。
痛い痛い痛い痛い。
そのうち彼女の叫び声を境目に僕は意識を失った。
気がつくと真っ白な部屋にいた。そこには偉そうに白髭を蓄えた仙人のような風貌をした老人が立っていた。
僕は直観的にそいつが神様であることを理解した。
神様「おぉ!なんと可哀想な若者だろうか?本来トラックに轢かれる運命だったのはあの子の筈だったのによりにもよって死んでしまうとは!」
楓「お前今なんて言った?本来轢かれる運命だったのがあの子だっていうのか?ふざけるな!」
神様「可哀想な君は異世界に転生させてあげよう」
体が光の粒子に変わってゆく。
楓「まだ話は終わってないぞ、おい!」
伸ばした手先まで消えたと思ったら僕は知らない街並みのド真ん中に突っ立っていた。
楓「どこだよ、ここ」
中世紀のヨーロッパのような街並みの中で不意に女性の叫び声が路地裏から聞こえた。
壁にもたれて様子を伺うすると幼馴染が知らない男達に囲まれていたから咄嗟に俺は声をかけた。
楓「何やってるんだお前ら、その子から手を離せ!」
男1「なんだお前は、いいところを邪魔しやがって、おい!やっちまえ!」
男2「へいっ、おやぶん」
男3「ゲヒヒヒ、お前も運がねえな親分を怒らせちまってヨォお?」
俺は拳を軽く握ってボクシングのスタイルを取る。
男2の大ぶりなフックに合わせ軽いジャブと重めのストレートを顔面に叩き込む、すると男3が「小癪な野郎だ」と言いながらナイフを取り出し俺に斬りかかる最後の右薙をしゃがんでかわしてアッパーカットを顎に直撃させた。
楓「お前は来ないのか?」
男1「そんなに死に急ぐなよ今に地獄を見せてやる、にしたって情けねぇやろうどもだな、こんななよっちい奴に簡単にあしらわれやがって、俺がお手本を見せてやる」
そういうと男1は巨大な大剣を取り出す。
幼馴染?「気をつけてそいつは戦闘能力だけはBランク冒険者並みよ」
男1「さっきみたいな減らず口2度と叩けないようにズタズタのボロ雑巾みたいにしてやるぜ」
そう言いながら男1は大剣を振り回す。
男1「おらおらおらおら、どうしたどうした避けてるだけじゃ永遠にこの俺様を倒せないぞぉ」
男1の攻撃を避け続けるすると狭い通路へと追い込まれ最後の一撃を振りかぶる。
幼馴染?「きゃああああ」
男1「こいつでおしまいだダァ」
ガリっと天井に大剣が突き刺さる。
楓「こんな狭い場所でそんな獲物を振り回すなんて、馬鹿だろ」
と言いながら男1の股間に本気の蹴りをかます。
男1「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
その隙に幼馴染?の手を引き路地裏から逃げ出した。
幼馴染?「ありがとう助かったわ、あんた強いのね」
見た目は同じだが幼馴染とは髪の色と話し方が違う。他人の空似だろうか?もしかすると一緒にトラックに轢かれてこちらに転生してしまったのではないだろうか?
楓「君怪我はない?」
ヘンゼ「おかげさまで大丈夫よ私の名前は、リンタル・ヘンゼ親しい友達からはヘンゼと呼ばれてるわ、あなたもヘンゼって呼んで」
よかったどうやら似ているだけで違う人物のようだ。
ヘンゼ「何かお礼がしたいのだけれど、何がいいかしら?」
楓「そしたらこの町を案内してほしい」
ヘンゼ「いいわ、行きましょうこの町には、宿屋、冒険者ギルド、ザルドア商会支部、占い師ハンデルの店とりあえずそこだけ見ればいいかも、どこから行きたい?」
楓「宿屋だけでいいよ」
ヘンゼ「わかった、楓は意外と面倒くさがりなのね」
事実その通りだけど、何が釈然としなかった。
街並みを見ながら並んで歩く、小さな川にかかる橋を渡ったところですぐ右に宿屋があった。
ヘンゼ「ここが私が泊まってる宿、なかなかリーズナブルな値段だし何よりご飯が美味しいよ」
楓「そうかなかなかリーズナブルな値段...あ、俺お金持ってないや」
ヘンゼ「えぇ、不思議な人だね、Bランク冒険者並みの強さを持つボーガディンとDランクくらいのハランとザドゥーを倒したからてっきりなの知れた冒険者かなと勝手に思っていたのに、まあいいやそしたら先冒険者ギルドに行こう。お金稼ぐアテがあるからさ」
ヘンゼは少し遠くの方を指差しながら、「すぐそこだから」と言った。
そのあと冒険者ギルドに寄ると、イカつい連中が俺とヘンゼを見ながら何かをしゃべっている。
「アイツか、ボーガディン達をやったって奴は」
「本当にあんなもやし野郎がか?何かの間違いだろ」
そいつらを横目に俺はギルドの受付へと向かう。
楓「ギルドへの登録をお願いします」
受付員「はい、冒険者ギルドへの登録ですね?こちらのギルドカードに血液を垂らしてください」
楓「痛いのは嫌なんだけどな」
受付員が用意した、まち針のような針で親指を刺してカードに血を垂らすそうすると不思議な模様が浮かび上がる。
受付員「ふむふむナルホドステータスは全て平均的な実力ですね」
楓「あれもしかしてあんま強くない?」
受付員「冒険者全体の平均なのでめちゃくちゃ強いです。Bランクくらいは余裕でありますね」
さて、と前置きを置いて受付員さんは話し出す。
受付員「冒険者にはAからEランクまでのランク付けがあります上のランクに行けば行くほど責任を持ってもらいますがそれに見合う報酬をこちらも用意します。」
楓「責任とは?」
受付員「防衛任務や危険な任務などに強制参加になったりします、かわりに素材の高価買取をさせていただきます」
ブラッシュアップしながら完成を目指してくつもりです。