二万光年の片想い
肩をならべれば星の大スクリーン
三百六十度
ふたりだけの夏の夜空
幼い指がさすのは
一億万の中の寄り添うふたつ
「おおきいほうがぼくのなまえ。」
「じゃあ、ちいさいほうがわたしのなまえ。」
何百億年も昔から 何百億年も離れない
ずっと一緒にいるからね
胸の中 星の海で響き続ける君の声 月日は流れても忘れないまま
とても大人になった君を見たときは 図書館の中で心が躍った
「眼鏡をかけてても気づいたよ。」
「あの日の星の約束、覚えてる?」
恒星のように輝く目を見て 君は抱えていた天文学の本を隠す
うつむいて 近い近い床をみて言った
「あの星はあそこから並んで見えただけ。」
「本当は二万光年も離れてるんだよ。」
そして
「さようなら・・・。」
ずっとずっと追いかけていたのに
君という星
さびしい夜空の煌めきだったのに
二つの星
ずっと一緒にいるからね
約束の二つ星
二万光年も離れてた
二万光年の片想い
二万光年の片想い
それでも大切な君だから
君を追いかける流れ星になるよ
途中で何度砕けても 小さくなって消えてしまいそうでも
二万光年を流れるよ
二万光年はまだ遠い
二万光年を消えずに駆けるよ
果てない宇宙の世界の中で 君の名前を持つ星を目指す
消えそうなくらい瞬き続ける
一億万のたったのふたつ
寄り添うような二万光年
君に届け
君に届け
叶え 叶え
この詩を読んでくださった方も
一億万の星のひとつのようなもの
ですね。