表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

胸が締め付けられた恋

作者: 北風陣

ある高校3年生時。丁度受験の勉強で、クリスマスなのに、学校へ行って勉強した日。

勉強帰り、電車で降りたら、電車に乗る、すれ違う白いジャンバーに出会った。

密かに恋してる近くの学校の人だった。


クリスマスに街行きの電車に乗る彼女。

丁度、クリスマス気分にと、山下達郎のクリスマスイヴを、iPodで聞いていた時だった。


多感な時である。彼女がどこに行ったのか気になったが、後を追う勇気も出す。まあどちらにしろ、自分には、それを止める権利等無かったのだが。


ヤケに苦しくて、雪の舞う白さが、憎らしくて、どんどん遠くなって行く、電車をただ眺めるしかなかった。


真っ白な雪と、どこに迎えばいいのか分からない灰色がかった体の中。

何故自分はこんなにも不器用なのだろう。

何故頑張っている自分に、神様はクリスマスイヴだというのに、こんな苦しみを与えるのだろう。


山下達郎さんには申し訳ないけど、クリスマスイヴの曲が嫌いになった。

聞くと心がどこか締め付けられ、青春ってこういう事なのかな。と苦しみが蘇る。

どこにこんな感情を今まで隠していたんだろうと思うと胸が痛くなる。


もう戻れないんだ、と嘆いた。恋を知らなかった頃に戻れないんだと。


唯一、再会する時があるとするなら、成人式位だった。

何せ晴れ舞台。色んな学校の人が、晴れ着姿で集まる日。

自分はその時、びっくりドンキーで、ハンバーグを食べていた。

会いに行く勇気がなかったのだ。

あの白いジャンバーを誰の為に、来て行ったとか、そういう事は、考えないようにしていた。

だけど、もう一度、人生でもう一度、会うチャンスである、成人式に、自分は行かれなかった。


チキンと呼ばれてもいい。弱虫と呼ばれてもいい。

ただ、失いたく無かったのだ。青春時代に好きだった気持ちを。

クリスマスイヴを聞いて締め付けられた思いを。

後悔というなのタトゥーを、自ら刻み。


次にまた恋をする事があったら、絶対後悔しないように。ただ、真っ直ぐに向き合えるように。

恋で苦しくなった時、クリスマスイヴを聞くようになった。

あの時を、あの瞬間を忘れないように。

青春の苦しみは、どんな言葉よりも、胸を締めつけて離さない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ