表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】「幼馴染みがほしい」と呟いたらよく一緒に遊ぶ女友達の様子が変になったんだが【2巻発売中!!】  作者: ネコクロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/42

第27話「過保護」

「――お、お待たせしました……!」


 開店時間になり、初めてお客様の前に出ている夏実は、とても緊張した様子だった。

 膝はガクガクと震えており、歩く際は同じ側の手と足を一緒に出す始末。

 そんな夏実を、秋人は心配して見つめている。


 すると――。


「秋人、どうしよう……! また、注文間違えちゃった……!」


 本日何度目になるのか。

 緊張のしすぎでお客様の注文を誤ってしまった夏実が、涙目で近寄ってきた。

 秋人はそんな夏実に笑顔を向ける。


「お客様の前なんだから、そんなに取り乱さないで」

「でも……!」

「とりあえず、さっき教えたようにしてみなよ」


 秋人は優しく夏実の背中を押し、お客様の元に戻るように言う。

 すると、夏実は不安そうに秋人を見上げたが、もう何度か同じことで秋人に頭を下げさせてしまっているので、諦めてお客様の元へと戻った。


「いいの? 一人で行かせて」


 夏実が離れたタイミングで、アルバイトの女子大生が秋人に声をかけてきた。

 見る限り、茶化しに来たのではなく、夏実のことを心配しているようだ。


「大丈夫ですよ、あぁ見えてしっかりしてる子なんで」

「そう……? なんか、ドジっ子にしか見えないんだけど……」

「緊張してるだけですよ。後は場数を踏ませるしかないでしょう」

「……その間、どれだけマイナスを出すか」

「あはは……俺の給料から引いてもらっておくんで、大丈夫ですよ」


 夏実がお客様にペコペコと頭を下げる様子を見ながら、秋人は困ったように笑う。

 その様子を見ていた女子大生は、不思議そうに口を開いた。


「過保護だね?」

「普通じゃないですか?」


「だって、本人のミスを補ってあげたり、肩代わりしてあげたり。あの子来てからずっとかかりっきりだし」

「まぁ俺が紹介した子ですし、新人がミスをしたら先輩が補ってあげるものでしょ? わざとならともかく、まじめにやって失敗してしまったことなら、助けてあげますよ」


「……あの子のこと、好きでしょ?」

「なっ!?」


 予想外の質問をされ、秋人は一瞬で顔を赤くしてしまう。

 そして、慌てて口を開いた。


「ど、どうしてそうなるのですか……! 俺はただ、あの子がまじめに頑張ってるからフォローしてるだけですよ……!?」

「ふ~ん?」

「な、なんですか、その目は……」


 女子大生が小首を傾げながらジト目で見上げてきたので、秋人はどもりながら質問をする。

 しかし、女子大生は踵を翻してしまった。


「べっつに~。ただ、紅葉君って素直じゃないなぁって思っただけ」

「な、なんですか、それは……」

「さぁ? それよりも、そろそろ私たちも仕事に戻らないと、店長にどやされるよ?」

「あなたが言うんですか……」


 話しかけてきたのは女子大生なので、なんだか納得いかない気持ちを抱えながら秋人は視線を夏実に戻す。

 夏実はお客様の許しを得たようで、厨房に向かっていた。

 ちゃんと、当初の注文通りの料理を、厨房にお願いしに行っているのだろう。


 中には間違えた注文のままでもいいと言うお客様もいるが、なるべく正しいものを出すというのがこのお店のやり方だ。

 それでも今のでいいという方に関しては、代わりにドリンクをサービスしたりしていた。


「注文間違えの対応に関してはもう大丈夫だろうけど……緊張しているのを差し引いてもこんなにミスをするんだったら、注文を取る方法も見直したほうがいいのかもしれないなぁ……」


 現在このお店は、お店のスマートフォンによって店員が注文を取り、そのデータを厨房へと転送している。

 今回の夏実のミスは、スマートフォンの押し間違えによるものだろう。

 注文を聞き返してはいるはずだが、よく内容を聞かずに頷くお客様も多いので、このようなミスが起こっていた。


「備え付けのタブレットにするほうがいいと思うけど……でも、うちの店員目当てに来てる人もいるしなぁ……」


 母親が営業する喫茶店は人気店というのもあり、時給が良くて制服もかわいいので女の子から人気があった。

 だから、可愛い女子大生が数人アルバイトをしており、愛想もいいので婦人や学生から人気があるのだ。

 その強みの一つを欠けさすのは、経営者目線で考えると渋るものがあった。


「どうしたものかなぁ……」


 秋人は料理を運びながら、そんなことに思考を巡らせていた。


 ――その後も、夏実は何度もミスをしてしまい、しっかりと意気消沈してしまったので、秋人はフォローをしながら優しく慰めるのだった。


1日更新が遅れてしまいました、すみません!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『新作です……!』
↓のタイトル名をクリックしてください

生徒の保護者が元カノだった

『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』2巻発売決定!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック3巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック3巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
[一言]  飲食店バイトのあるあるエピソードですな♪  個人的にはこの現象を『膝がガクブル・ファンタジー』と呼んでおりました(笑)
[一言] いいんじゃあないですか、1日くらい。 あんまり長期にわたって、音信不通になると、ネコクロさんに何かあったんじゃあないかと心配しますが。 そういえば、宮仕えをしていた頃、昼食を買いに行くとよ…
2022/05/24 00:14 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ