私に残された櫃
季節とは色々なイメージがある。
色や匂いや雰囲気なんて
最たるものだろう。
春は麗らかにピンクとか
秋は物悲しげに焦げ茶色とかね。
今私が感じてるのは
ただ足が冷たいということと
吹き付ける凍てつくような風に
震えながら1歩1歩前に進むことしか
考えてはいないが…
それでもあえて、今の季節に
イメージを付けるとしたら
ただただ静謐な蒼。
暗い暗い暗闇に限りなく近い蒼。
私にぴったりだと
自虐しながら嗤う。
この呪われた身では
人前に出ることすら憚られるのだから
暗く閉ざされたような
私に用意された篭。
ここで私は生きていくしかない。
この身を隠して、
居ないものとされた方が気が楽だ。
誰とも触れあわず
誰とも愛を育めなかった
私は来世に期待するしかないと
とっくのとうに諦めに満ちている。
頭を振って、雑念を飛ばす。
薪にするために
小枝を拾って
さっさと帰ろう。
そう思って森のなか
私が幾度となく通った道
私の痕跡と
遠い昔、誰かと歩いた道を
進んで今日を終わらせよう。
なにも考えたくはないのだから
そしてそこで
いつもと違うことに気がついた。
今思えばそこで私は
選択を間違えた。
深い絶望に落とされるくらいだったら
このまま深い失望で生きていたかったのに、