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ひしぎあった鉄骨
旅というのは種類に富んでいて
ふらりと旅立ち、何処へ行くかも
決まらず、赴くままに行くものもあれば
準備を怠らず、計画の範囲内で
旅をするものもいるだろう。
だが私はどちらとも言えず、
計画性の欠片もなく、
されど目的はあった。
こんなことを言うのも歯痒いが
私にとってこれは旅ではなくて
冒険だったということだ。
帰る家を燃してまで、
安定と、充足と、一欠片の寂しさを
形に残すことを
私は許せなかった。
それらを切り捨てて
一握りの思い出を取ったのだ。
私は自分で
それほどの青い感情を
持ち合わせたのだと
驚くばかりだが、
それでも風に揺れる髪
それに伴って肌に触れる空気は
そこには満足が充ち溢れた。
彼を想い歩くこの旅路は心地いい。
二度と返らぬ代わりに
新しい経験を持ち得た。
荒野で埃を被り、
泥をすすり、
それでも叫びたい。
悪くないって