3.天使様の本性(2)
「......大天使、ラグエル様。ひとつだけ、お伺いしたい議がございます」
「......ほう?この私の許可も得ずに喋るとは。おまけに不躾な質問のときた。貴様よほど死にたいようだな。虫けらゆえか、ついに言語も解せなくなったとは、なんと悲惨な」
にちゃりという擬音が聞こえそうな笑みを浮かべて、天使様は女性を押しのけた。
女性は不満げな表情をしていたが、天使様が下がれと言うと、はだけていた服を手早く直して天使様の斜め後ろに控えた。どうやら天使様の言うことには逆らえないらしい。
「...まあよい。この大天使ラグエルに命を捧げることができるという名誉に打ち震えている虫けらを無視するほど、この大天使ラグエル、鬼ではない。貴様のような矮小な虫けらごときの命乞いを聞かずして命を刈りとるなど、無粋な真似はせん。私の寛大なる心に感謝するがよい!」
さぞ情けない命乞いを期待しているぞ?
そう傲岸不遜に笑う天使様の目は、明らかに私のことを人として見ていない。...もしかすると、この方にとってみれば人間そのものが下等生物なのかもしれない。
いや、推測なんて本当はどうでもいいのだ。
いずれにせよ、この質問をしなければ私は前にも後ろにも進めないのだから。