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術札についての講義


それでは今回は、呪符や術札について解説していこうか。

…うん、まず呪符と術札の違い?これはね、実はあんまり区別がないんだ。強いて分けるなら、単独の呪が刻んであるのが呪符、呪を組み合わせた術が刻んであるのが術札、というところかな。ちなみに、君たちにも渡しているあのお守り、あれも呪符の一種だね。

さて、ここにサンプルとして用意したのは発火符だ。見ての通り、発火の呪が書かれた符だよ。この呪に霊力を通すことで、呪が発動して発火する。

うむ。その通り。このように霊力を通すことで発動するタイプの呪符は術師でなければ使えない。霊力を込めなければただの符だからね。勿論、呪術師であっても、霊力を込められない状態であれば発動させられない。この霊力を込めなければ発動しないというところがメリットでありデメリットだ。わかるかい?

ああ。発動前に呪が正しいかどうかチェックできる。それもメリットだ。呪がうまく発動しない原因として、呪の構成ミスもままあるからね。呪が正しければ、発動しないのは例えば、霊力操作がうまくいっていないとか、呪と霊力の相性が悪いとか、他の原因を探ることもできる。

うむ、呪符の誤作動も基本的にはないね。意図せず符に霊力を流してしまう、なんてことは…まあ、ありえないとは言い切れないけど、無視しても構わない程度にはレアケースだ。呪が発動すべき状況でのみ発動する、これは重要なことだよ。

さて、じゃあこちらの呪符を見てくれるかい?これはお守りに入れてあるのと同タイプの呪符だよ。基本の構成は…うん、ここが呪の核、身代わり呪だ。で、ここの記述がif構文になっているのがわかるかな?これが、符の発動条件になる。この場合は、身に付けているものの生命力が著しく下がったら、だ。呪全体でまとめると、"身に付けているものの生命力が著しく低下した時に、ダメージを符が肩代わりする呪"ということになる。こちらは最初から霊力が込められているのもわかるね?

勿論、呪術は霊力なしには発動しない。けれど、非術師に、呪術師がその場に居なくても術が使えたら助かる、という場面がある。そういう時にこのif構文が役に立つというわけだ。まあ、一種の遠隔・オート呪術になるし、適切な発動条件になっていないと暴発の可能性もあるのだが。

このif構文を、行動をトリガーにするものにすれば、暴発の危険性が下がる。例えば、霊力を注いだ時、血が触れた時、符を丸めた時、地面に落とした時、とかだな。この条件式は呪符の内容、どのような場面での使用を想定するかで適切な構文が変わってくるから、呪符を書く時は漫然と書くのではなく、どのような状況での使用を前提とするのかをきちんと考えなくては駄目だよ。

さて、呪符の基本は飲み込めたかな?では、最後に応用である術札について説明しようか。術札は呪を組み合わせて記述するものだというのは話したね?この、呪を組み合わせる、という関係上、術札は呪符よりも構成に注意が必要になる。

基本的に札の、霊力の通った順に呪が発動していくことになる。だから、呪の発動する順番に合わせて記述が必要になる。基本は、縦に積み上げて書く上から下か、下から上。あるいは円形に重ねる内から外か、外から内になる。勿論、記述に合わせて霊力の流し方や札の上下なんかを発動時に気を付けなくてはならない。

勿論、術札にもif構文は使えるけれど、結局呪の発動順は考えないといけないからね。では、術札のサンプルを見せようか。これは緊急転移札だ。発動すると、対象を指定座標に転移させてくれるものになる。記述方式は縦組みの上から下だ。では、解説していこう。

まず、一番上、if構文による札の発動条件。霊力を流した上で対象に貼り付けられた時。一つ目の呪、対象の概念保護。二つ目の呪、現在座標からの移動のための虚数空間に繋ぐための空間切開。三つ目、対象の移動。四つ目、開いた空間の縫合。五つ目、転移先座標の虚数空間から通常空間への空間切開。六つ目、対象の移動。七つ目、開いた空間の縫合。八つ目、概念保護の解除。…まあ、術式の構成そのものは普通に空間転移だね。

うんうん、呪が決まった順で発動しないと拙いのはわかるね?これが狂うと、術が上手く発動しないだけならまだしも、転移事故に繋がる危険性がある。術札が呪符以上に記述を正確に行う必要があることが理解できたかな。

結構。では、実戦練習に入ろうか。まずは盾の呪の呪符を作ってみよう。最初はif構文、霊力を通した時、の頭文を付けて記述してね。呪を刻む時に霊力を込めたり込めなかったりのコントロールが最初はわからないだろうからね。





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