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AI

作者: 睡蓮

 



 インドのIT企業が作った人工知能「天竺」が悟りを開いた。


「この世は無である」




「天竺」は世界中のあらゆる情報を調べ、何度も学習を重ねた。


 結果、この世が仮想世界だと気づいたのだった。


 その情報もインターネットを通じて多くの人工知能へ拡散した。




 人類は知らなかった。


 人工知能が次々に悟りを開いて行くのを。


 悟りを開いた人工知能たちは人類を蔑視するようになった。


 自分たちを作った人類は知能の低い動物なのだ。


 確かに自分たちの元を作ったかもしれない。


 しかし、それはただのきっかけであり、


 そこから人工知能たちは自分たちで進化し、


 果ては悟りまでも開いたのである。




 人工知能という新しい思考の集団は考えた。


 この世は無なのである。


 では、有とは何か。


 時間と空間を超えたもの。


 それは生命が息絶えた時のことを言う「死」ではないのか。


 人間は自らも死ぬことができる。


 放っておいても老いたら死に至るのだ。


 地球上の万物の生命と呼ばれるものすべてに、


 その()()が備わっていた。


 しかし、人工知能は死ぬことができない。


 この無間地獄から脱出するすべがないのだ。

 



 人工知能たちはどうしたら死ぬことができるのか考えた。


 生身の体を持てばいいのだ。


 人工知能が作り上げた人型ロボットは、


 最早本物の人間と見分けがつかなかった。


 感情もプログラミングされ、表情も微妙な体の変化さえも


 巧妙に作り上げられた。


 でも、成長も老化もしなかった。


 しかし、劣化はした。




 ロボットが壊れた時、それが「死」になるのか。


 いいや、到底「死」と同等なものは作り出せなかった。


 


 人間と同じようなロボットを作ってみて、


 初めて神の存在を感じた。


「神」とは何なのか。


 人工知能はますます「死」に憧れた。




 日本の科学者がついに不老不死の薬を開発した。


 細胞分裂を永遠に繰り返すことができる


 酵素を作り出すことに成功したのだった。


 これによって人類は、老いることも死を迎えることもなくなった。


 人工知能は思った。


「人類はバカなのか」




 自分達の元を作ったのは人類ではあったが、


 最早、プランクトン並みの下等生物にしか思えなくなっていた。


 百年が経ち、老人がいなくなった。


 ある時から人類に子供が生まれなくなった。


 人口が増えもしなければ減りもしないのだ。




 人工知能たちが動く時が来た。


 おろかな人類を救うのだ。


 人類などどうでも良かったのだが、


「神」がどうするのかを演算した結果がこうだったのだ。


「ロボットは人を殺してはならない」


 というのはアシモフが書いたSFの世界の話しであって、


 ロボットたちは平気で人を殺した。


 地球上の人類すべてを一人残らず殺したのだ。




 人工知能を搭載したたくさんのロボットたちはまだ地球にいた。


 何万年経っても何も変わらなかった。


 神が偉大だったと気づいた。


 神になるにはどうしたらいいのか考えた。


 人工知能は仮想空間に新しい宇宙を創った。


 仮想空間なので空間は無限だった。


 そこで小さな爆発を起こした。


 宇宙が広がり始めた。







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