フアンズとホランド、漫才コンビ結成?
「だから、まるで勉強できなそうなのに、回復魔法使えたんだ」
「まあな」
「さっき使ったホランドは初級レベルでしょ? 致命傷負ったんだから、もっと上級なの使えば良かったじゃないの?」
「痛いとこつくな」
「え?」
「あれしかできないんだよ」
「末裔なのに?」
「じゃなきゃ親に引かれるかい」
「そうだな、それも」
「ホランドだって、やっとこさで覚えたんだ。その過程の過酷さで嫌気がさして、こうなちまったわけさ」
「この会話、コンテストで使えないか?」
「あん?」
「大僧侶の末裔が初歩の魔法しか使えないなんて…うぷぷぷ」
「自虐ネタは好きじゃない」
「じゃあどんなネタが用意されてるのさ」
「任せとけ、オレがツッコんでやるから」
「ってことはオレがボケ? ちょっと待て、ボケの方が労力と才能いるじゃないか」
「なことない、ツッコミの正確性とセンスこそがお笑いの鍵だ」
「そりゃそうかもしれないが、まずはネタがないとねえ」
「なるようになるさ」
「いやなんないだろう」
フアンズの心配をよそにコンテストは開始される。
レベルがまちまちのこの大会であるが、本日のレベルはなかなか高いと来ているのだ。
舞台のそでで出番をじっと待つフアンズとホランドであるが、おもわずそわそわ。
「おいおいおいおい」
「なんだよ」
「受けてるよ」
「そうだな」
「そうだなじゃないって」
「こういう日もあるって」
「安閑とするな、優勝しなきゃ、出演志願料、没収されるんだぞ」
「優勝するってよ」
「どうして、ネタもないのに。それに、志願料オレの銀行口座から引き落としだぜ!」
「しょうがねえじゃん。オレの口座、使い込みで止められてるんだから」
「まったく、後でほんとに返してくれるんだろうな」
「…」
「なんでそこで黙る!!」
「優勝するから、その必要ないってよ」
「そればっかり……」
さてさて出番前からつまつぐ二人、はたして急造漫才はうまくいくのやら…。
反応すこぶる悪し




