ポランコが進むべき道
いったいポランコはどこにいこうとしてるんだろうか?
フアンズが追いつけるわけがないはずが………。
ところが、ポランコのひどい? 運転の腕前で、セーザー・Vは、酔っ払い運転のように蛇行しながら道を行く。
持ち味のスピードもまるで出ていない。
フアンズよ、走れ。走れば、追いつけるぞ。走れよ、それでも本当に走っているのか? フアンズよ。
「ふうふう……はあはあ……。久しぶりに、走ると…体がついていかない」
それでも、魔銃剣士を目指す若者か? 目指すというのも口だけなのか? 口だけかな、卒業以来、ただだらけているようだし。
「待てよ………待て…」
待てといって、待つわけがない。
ポランコの運転は稚拙であり、危険だ。行くさきざきの標的を破壊し、立ちはだかる人々を跳ねていく。
え? 標的を破壊するのはまだしも、人を跳ねたらまずいだろう?
「あららあらら、また跳ねちゃった。でも、こりゃまた大丈夫そうね」
いくらスピードが出ていなくて、跳ねられても、なんとか大丈夫だっていっても、放っておくのは、どうかな? ポランコさん。
ノラスコに捕まったルーゴは、両手首に縄をつけられて、簡易留置所に連れていかれる。
「くそ……また捕まった…。でもよお、ノラスコ、おまえ、落とし穴にはまってたろ? どうやって出れたんだ?」
「銀行で、突然ルーゴの前に現れただろ? あれといっしょなんだよ。ちょうどよく、振込み詐欺で人の金引き出そうとした、怖いおっさんが暗証番号間違えて、運良く出れたんだよ」
「くそ、そういうわけか…で、急いで、オレを追いかけてきたわけか。それで、振り込み詐欺のおっさんは捕まえたの?」
「ああ……ああ? ああそういえば、ありがとうっておっさんに、お礼いってそのままだった」
番人の仕事はどうしたんだ。今頃、おっさん、金を引き出してるぞ。
簡易留置所は、いつものように暇そうだ。カウンターの担当が、こっくりこっくりと居眠りをしている。
「お仕事ですよお〜 起きてください」
担当はノラスコの声で慌てて起きる。
「? ああ、犯罪者ね。部屋はどこでも、空いているから、好きなところにどうぞ」
紛争のない町なだけあって、犯罪者も少ないのか、留置所はがらがらだ。
「この刑務所も、税金かかってるんだろ? へへ、無駄遣いにならなくてよかったな。オレのおかげだ」
「はいはい、わかったわかった、さあ裁判まで、ここに入ってな」
ノラスコはルーゴを牢獄に押し込む。
簡易留置所には、簡易裁判所が併設されている。簡易弁護士もいて、裁判から判決までスムーズに行われるシステムが備わっている。ルーゴの犯罪は、窃盗のような軽犯罪のため、すぐにでも判決が出るだろう。
「はあはあ、ポランコ、待ってよ……。って、もう、町の外に出ちゃうじゃないか?」
紛争のない町ステッターは、世界で有数の平和な町だ。つまりは、町の外は、それほど平和でないということだ。
それだけではない。ステッターのすぐ近くには、近づくことさえ危険とされる波乱にみちた町が存在しているという。
まさか、ポランコは、そこを目指して進んでいるわけではないよね?




