表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
軟包装  作者: なるる
5/24

営業マンとしての信念。

営業マン像は千差万別で、上司が変わるたびに「営業とは~だぞ!」と、違うことを言われる。


自分の中では、色々なルールと言うか、信念がある。


一つは、噂に名前も出ないような営業マンにはなりたくない。

「○○社の女性営業が~」ではなく、「山田さんが~」と、個人名で認識されるようにしたい。

これは幸いにも、最初に勤めたY社の時から、話したことがない原紙の商社の方から、

「先輩がまとめられなかった話を鳴瀬さんが、まとめたって聞いたよ」って言われたことがあった。

今、勤めているS社に入った時も「鳴瀬さんがS社さんに、入ったんだよね?」と、包材商社の方から言われたと先輩から聞いたこともあった。

この数年の動きで、「鳴瀬」と言う、個人名で会ったことがない人たちからも、認知されるほどになった。

営業マンとしては、良くも悪くも噂に名前も出ないような、自分が商品化されてない人にはなりたくない。


同じ会社で20年働いていても、名前が売れてない営業マンも、当然いる。

仕事ぶりを見ていると、お客さんからも、××さんじゃなきゃ、困る!という風に言われてない。


悪い噂だとしても、ダークヒーロー的に必ずファンがいるから、個人的にはアリだと思う。


次に、お客さんには「同級生の妹」みたいな感覚で思ってもらえるように、心がけている。

50代で親と同じ年の人も多くて、よく「娘みたいなもんだ。」と言われるけど、娘だと思われてしまうと、遠慮なく無理難題も言われてしまう。

だから、同級生の妹みたいに、かわいいけど、一線を置いて仕事ができる距離感を保つようにしている。

価格や納期など、下っぱの営業マンとしては、対応できない事が多いからこそ、馴れ合いにならないように気を付けなきゃいけない。


「女の子だから、可愛がられるんだ」と、くだらないやっかみを受けるけど、女性でも嫌われたり、ちやほやされない営業マンは、何人か見てきているし、自分が男に生まれていても、きっと弟分として可愛がられていたと思う。


自分は、根っからの末っ子気質で、リーダーになりたい!とか、仕事が詳しいぞ!と知識をひけらかすオッサン営業とは違い、「分からないから、教えてください!」と、お客さんに対して工場見学を頼んだり、質問集を作って、勉強会をやってください!と頼むことで、「一生懸命、勉強して偉いね。」と言われて、かわいがられてきた。


知識や経験の浅さを逆手にとって、自分を売り込む手段にしてきた。

袋の窓明け部分のデザインの選び方でも、ベテラン営業マンとの会話は10分で終わるが、経験の浅い自分相手だと、「窓明けは、こういうデザインやこういうデザインがありますが、どういうのがいいですか??」と、デザインの本を2冊持っていき、気に入ったものに付箋を貼っておいて、お客さんに一つずつ聞いた。

ベテラン営業マンは、デザインを提案するが、自分は提案するほどの力がないから、兎に角お客さんに教えてもらった。

すると、窓明けだけで一時間話し込んでいた。

一緒にいる時間は長くなる。


思い返せば、昔大阪の商社の人との商談が午後5時に設定されていた事がある。

名古屋から車で行くから、本来はそんな時間は帰りが渋滞にはまるから、避けたい時間だ。


商社の人が「鳴瀬さんは話が長いから、一番最後にしないと。」と言っていた。

確かに、短くても一時間を越えてしまい、長いと三時間も話していた事があるくらい、話が止まらない。


飲み会でもない、応接室の仕事の会話にしては、長い方だ。

年は上にいくほど、経験や知識を話したがる傾向にあり、知っている事も、知らないフリをして聞くほうが、自分のキャラには合った。


その変わりと言っては何だが、このメーカーのほうじ茶の生チョコが流行っているんです!と言う、流行の手土産なんかは欠かさなかった。

年配の方あたりが知らなさそうで、でも事務員の女の子たちに配った時に、株が上がりそうなものを選んだり、お酒の好きな人には1000円程度の気を使わない値段の一回で、飲みきるような物をバレンタインに渡したり。


そういうところで、簡単な情報を教える事で、相手にもこの子は色々詳しいなと思わせるようにした。


雑誌やラジオ好きが功を奏した。


プライドが高いと言われることもあるが、良く言えば、仕事に対して誇りを持ってやっているだけ。そして、正しい事をしていると言う自信があるだけ。

プライドのない、つまり信念のない営業マンと話していて、何が楽しいんだろう?


この業界には、私みたいな営業マンが一人ぐらいは必要だ。

勝手にそう思ってる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ