表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/26

月日ハ流レド思イハ強ク

 最近すごくイライラしている。

 レイズさんがスコールさんとくっついているのを見るだけでもイライラするのに、ゆったりとした服着て大きくなったお腹が見える状態で一緒にいる、それでさらにイラつく。

 言いようのない黒いもやもやした感情が溢れてきて、そのたびに訓練場でやたらめったら撃って、意味もなく甲板を走り回って、戦闘訓練の時にやりすぎてしまってケガさせたりしたり。

 気が付くとスコールさんのことを考えていて、隣にレイズさんがいることを思ってイライラ。

 廊下ですれ違ってついつい目で追って、隣にホントにレイズさんが立っていて楽しそうに話しているのを見てイライライライラ。

 そして夜に偶然、空き部屋でエッチしてるのを見て、一人で壁に頭突きをしたりしていた。

 なんであんなにお腹が大きなっているのにするの!?

 赤ちゃんのことを考えていないの!?

 そもそもどうしてするの!?

 何日も何日も。

 ついにはカウンセリングルームに呼び出されて長いことお話をされることにもなった。


 好きになったら嫉妬して当たり前、だけど相手がいるのに嫉妬するのはやめなさい。


 その感情は一つじゃない、いくつもの感情が混ざり合ってもやもやした思いになっていて、その思いは誰かに影響されて生まれている、例えば自分が立ちたかった場所にいる誰かとか。


 他人と比べて自分が負けてしまったと感じているだけ。


 その感情が溢れるときはその誰かに負の意識の矛先が向いているとき。


 あなたの感情は環境に、とくにその人に影響されて変わっている。


 自分の内側に意識を向けて流しなさい。


 あなただけを特別扱いしてほしいと思っているのか。


 だったらあなただけの強みを見つけてみなさい。


 無駄なことを永遠と。

 適当に受け流しても心のもやもやは晴れる事なんてなくて、むしろ分かり切ったことを投げかけられてイライラは強くなる。

 言われなくても分かっていた。

 分かって分からないふりをして、もやもやした感情に隠していた。

 ホノカさんやミコトさんがスコールさんと一緒にいるだけでもイライラしてきた……ダメだ、私。

 何かで始まると別のところまで連鎖していく。

 こんな自分が嫌になる。

 発散なんてできない、思い切り泣いたって、すっきりしない。

 結局私はどうしたいのだろう。

 同じ場所に立ちたかっただけなのに、彼はとても高いところにいた。

 ようやく手が届きそうになったときには別の人が彼の隣にいた。

 私がそこに入ろうとしたら、私よりもすごい人たちが彼の周りにいる。

 私が入れそうな場所がない。

 彼は私に振り向いてくれる、だけどそれは他の人と変わらない対応。

 みんなと同じように見てくれている、そういえば聞こえは良くても、特別な誰かとしては見てもらえない。


 私は、どうしたいのだろう。

 なにをしたいのだろう。

 彼にどうしてほしいのだろう。


 今日も甲板に出て、寂しく空を見上げる。

 いまにも降り出しそうな暗い空は、少しずつ明るくなって灰色になる。

 そう、一人になれば少しは晴れる。

 でも完全には晴れない。

 意識しないようにしても、気付けば彼のことを考えてしまってどうしようもない。

 ぽつぽつを雫が当たれば、少しだけど降り出してきていた。

 中に帰ろうとすれば、隅の方で座り込んでいる子供が見えた。

 いつも彼と一緒にいる男の子だった。

 名前は確か……フラン君?


「風邪ひくよ、中に入ろう」

「いや」

「どうして?」

「スコールが遊んでくれない。レイズが来てからずっと、あの人と一緒にいるからつまらない」


 あぁ、そうか。

 私だけじゃないないんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ