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君時雨(きみしぐれ)  作者: 葉月 ひより
8/12

病院

 彼女と話すようになったのはひどい雨の降る日だった。話しかけてきたのは彼女からだった。あまりにも独り言のようで話しかけられているとは気がつかなかった。

「ひどい雨」

 確か向かいの人は一週間ほど前に入院した女性だったな。それだけの印象で、このとき初めて、声音から随分と若いのだなと思って顔を向けると目があって、「ですよね?」と付け加えてきた。

 窓を見るとそれはひどい雨だった。遠くがぼやけてよく見えない。

「えぇ、ひどい雨だ」

 ひどいだなんて言っていながら彼女の雨を見る目はどこか楽しそうでもあった。


 その日から彼女はよく話しかけてくるようになった。

「いつも何読んでいるの?」

 僕の手元を覗き、隅にあったイスを引き寄せて座る彼女に驚きながら本のタイトル、作者、あらすじを説明する。一通り説明するのを興味深く聴くと彼女はテレビ台に山積みになった本をチラリと見る。

「へー、面白そうだね。何かオススメとかある?」

「よければこれ貸すよ」

 そういって今さっきまで読んでいた本を差し出すと、目を丸くして驚いた様子だったので付け加える。

「ここにある本は大体もう読み飽きてきた。そろそろ入れ替えの時期かと思ってたけどもう少し待ってみるよ」

 少し間を置き言わんとすることが分かったのか自分のベッドに戻って行くと表紙を開き読み始める。

「いい話し相手になるよ」

 そういって黙々と読んでいるのだから声をかけては悪いと思い、山積みになった本の一番上になっているものを取り、静かな時間を過ごした。

 しばらくしてふと顔を上げると窓を小粒の雨が濡らしていた。

「雨降ってたのか」

 呟いたつもりだったが彼女も顔を上げて、窓から見える景色を眺めていた。そして、やはり楽しそうに雨の降るのを見ていた。

「楽しそうだね」

「そう?雨は好きだからかな」

 鼻歌なんて歌いながらかなりの上機嫌で彼女はまた本に目を落とし、すぐに静かな時間が流れていった。


 どうやら彼女はそんなに悪い病気ではなかったようで本を貸してから数日で退院をしていった。

 返す時にお見舞いするからと本は借りたまま出ていった。

 僕はいつ来るとも知らない彼女を待っている。きっと雨の降る日に鼻歌を歌いながらやってくるのだろうなと思いながら。


なんか雨要素も舞台設定の必要性もなくて下手な文だなと思う

読んでくれてありがとう

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