土手
雨の日は出歩かない人が大多数だと思う。それも夜ならなおさらのことだろう。なのに僕たちは今、出歩いている。
「なんで今日に限って雨が降るかなぁ」
「まあまあ、こんな日もあるさ」
この僕の隣であまりこの天気の重大さを分かっていないのがいおりだ。むしろ楽しそうにしている。
いつも僕が昼頃に遊びに誘っているのに今日は珍しくいおりからの誘いでしかも夜中だった。「今から会えない?少し夜風に当たりたい気分」と連絡が来た時は胸が高鳴ったのに今では少し、かなり憂鬱だ。
「ユウタは雨は嫌いなのか?」
「出歩かなきゃ嫌いではないよ」
ただでさえ雨で足元が悪いのにいおりと歩いているのは土手だった。街灯も少なく歩いていて不安になる。
「本当はさ」
少し前を歩くいおりがいつもより大きな声で話しだす。
「月を見たかったんだよね。こんなに雨降ってるから見えないんだけど」
確かに先ほどまでは月が見えたかもしれないが歩いてすぐに雨が降り始めた。これではもう月も見ることはできないだろう。
「まあ、月が見えなくてもユウタがいたら私は明るくいられる気がするよ」
そう言ういおりは満面の笑みだった。こうやって時々恥ずかしげもなく恥ずかしいことを言ってくるので反応に困る。
「はぁー、何か暑いね。走ろっか」
「はいはい」
呆れながらもいおりの提案に乗っかる。
二人して街灯もない土手をびしょ濡れになりながらかける。そのうち息が切れて、止まるも二人して、何やってんだかとどちらとも言わず笑いが漏れた。
次の日、当然のように僕は風邪をひいたのにいおりはピンピンしていた。
まさかお見舞いに来たりしてな、なんて思いが叶うのはまた別のお話になるのかもしれない。
随分と期間が開いた気もしますがこの短編はそんな感じで更新するものなのです。言ってしまえば作者のやる気と思いつきの問題です。感想とかもらうと作者は喜び筆が進むと思われます。




