第3話 説明
—「華坂さん。君がその人なんだよ。君は後天性超能力者だ。そして僕たちは君を保護しに来たんだ。」—
・・・・マジかぁ・・・
まさかのそれか・・・・
嫌な予感が当たっちゃったよ・・・・
「でも、後天性超能力って言われても私超能力なんて使ったことないです!!」
そうそう正直全然信じられない。
「う〜ん。そこは僕たちも今困っていてね・・・」
そういうと山本さんは苦笑した。
「華坂さんは、生まれた時に受ける超能力検査って知ってる?」
「ま、まあ名前くらいなら・・・。でも記憶はないです。」
「そりゃあ、そうだよねぇ。なんせ生まれた時にするから、覚えてるはずがないよねえ。華坂さんが結婚してて子供を産んでたら母親として検査を視れたんだろうけどねえ。」
「うっ・・・」
この人失礼すぎない!?って思ったら、楓ちゃんとふと目があった。楓ちゃんは私に対して同情的な様子で、
「局長。今のは失礼です。」
「あぁ。そうだね、華坂さん、失礼しました。これでもそれなりの地位にいるから失言はしないように気をつけてるんだけどねぇ。また吉田さんに怒られちゃう。」
「おっとっと。また話が逸れちゃった。じゃあまあ簡単に超能力検査について説明するね。この検査はね、赤ちゃんの脳にある電波みたいなのを発して、赤ちゃんの脳波の反応を見るんだ。そしてその反応によって超能力者かどうか、さらにその超能力の強さまでわかる。まあ一応その強さによって上から、超級、上級、中級、下級、低級5段階に分けるんだけどその区別はまあいいや。どう簡単な判別法でしょ。」
「まあそうですね。で、それがどうしたんですか?」
「実はね。今年の君のこの会社の定期健康診断、あったでしょ?あの時に社員全員にこの検査をさせてもらったんだ。そしたら、君が・・・ズバリ!!と」
そういえば今年の健康診断はやたら長くて社内のみんなが不満タラタラだった。
でも、そんな超能力検査らしき検査なんかあったかな?
「そんな検査ありましたっけ?」
「簡単なMRIスキャンしたでしょ?あの時にね・・・ていうかそもそもあれMRIはダミーで、真の目的はその超能力検査だったんだけど。」
「でも、そんな検査を大人になってから私受けた覚えないんですけど」
「もちろん、この検査は大人は普通受けない。みいな生まれた時に受けたっきりだよ。だって後天性超能力者なんていない‘はず’だったんだから。」
「おかしくないですか!?だって後天性超能力者がいないって思われてたんなら、なんで私を検査したんですか?それってつまり、検査をしなかったら私が超能力者だなんて分からなかったってことですよね!!」
「全くもってその通りだよ。だからこそさっき困っているって言ったんだよ。君をなんでそもそも検査したかについては申し訳ないけどここでは話せない。あっ社長すみませんねえ。こっちも色々守らなければならない情報が多くて。華坂さんには、後で教えるよ。まあそれは置いておいて、今年の6月に行われた定期健康診断でこっそりやった超能力検査で見事君が引っかかった。でもさすがにそれで=君が超能力者だって決めつけたわけじゃない。初めはみんな誤作動だと思った。それで何度か検査させてもらった。そう、君も覚えているだろうけど
今年の健康診断は例年1日で終わるのに、今年は急遽2日間行われた。それも1日目の終了時に急遽追加の診断日が追加された。そして、今年がやたら再検査の対象になる人が多かった。君も2回再検査で呼ばれたよね?これらは全部僕たちの主導でやらせてもらった。実は、ほとんどの人は再検査なんて必要ないくらい十分健康だった。でも、わざと再検査させてもらった。まあバレたくなかったからね。カモフラージュだよ。それで計4回君を検査させてもらった。結果は・・・まあこの場に僕たちがいることからわかると思うけど、全部君が超能力者だという結果になったよ。」
思い出した。今年私はやたら検査させられたのだった。その時は、割と不安になったり、めちゃくちゃ体重を気にしたり、(事実健康診断の時は少し私は体重が多めだった。)生活習慣を反省したんだった。
まさか全く関係なかったとは・・・・
「でも、健康診断って6月じゃないですか?今はもう9月ですよ!なんで今更になって・・・・」
「実はこっちも君のことはよく分かってないていうか、さっぱり分かってないんだ。それでどう対処するかこっちも迷ってて、君も見た感じ超能力を使ってる様子もなかったし。それでここ2ヶ月ほど君の生活を観察させてもらってたんだよ。だけどこっちもそんなに悠長に構えていられなくなってね。ん?どうしたの?華坂さん?」
は?今なんて?観察?
「観察って・・・・どういうことですか・・・・?
・・・もしかして・・・私の生活を覗いていたんじゃ・・・・」
「残念だったねぇ。彼氏とは」
そう山本さんはニコニコしながら言った。
その瞬間私の中で、何かがキレた。思えばここのところ理不尽すぎる。あまりにも。そのストレスもあって、ちらっと横目で楓ちゃんが山本さんの発言に呆れたようにため息をついてこめかみを押さえているのが目に入ったが、そんなことも気にせず、もう私にもどうしようもないくらい感情が溢れ出た。
「ふざけないでください!!!
何なんですか!さっきから、人のことを超能力者、超能力者って!
だいたいちょっと検査で普通の人と違う反応が出たからって何よ!!
こちとら少しもそんな超能力なんて使えたことないわよ!!
その検査自体どっかおかしいんじゃないの??
その上人の生活を監視!?!?
どういうつもりよ!!何様よ!立派なプライバシーの侵害じゃないの!?
国の機関だか役人だか知らないけど、そんな人たちのことなんて信用できません!ましてやあんた達のお世話になるつもりなんてないから!!!」
言い切った・・・
久しぶりに感情のありのままを思いっきりぶつけた私は興奮のあまりまだ肩で息をしてた。
社長なんて私のあまりの剣幕に目を点にしてた。あっこれ私どちらにしてもクビじゃね。
で、ことの全ての元凶と言える山本といえば、まだ余裕そうにニコニコとしてた。
そのまま睨む私とニコニコ顔の山本さんの間には膠着状態となった。
その時、
「局長、緊急通信です。」と楓ちゃん。
そして、
—局長、たった今中国政府から通信が入りました。例のあの人が中国軍の戦闘機奪って全速力でこっちに向かってきているようです。中国政府は後は任せた、と戦闘機は後で返すようにとのことです。後彼女だいぶキテます。—
と山本さんのタブレット?みたいなものから、その内容とは対照的に落ち着き払った声の女性が通信をした。
「華坂さん。ごめんね〜。僕たちがこんなに急ぐことになった元凶の怖〜い人が来てるみたい。ちょっと強引になるけど、楓ちゃんお願い。」
そう山本さんが言った途端、楓ちゃんがいきなり私の手を掴んで来て、
「最初だから、ビックリすると思うけど、安心してね」
ヒュン
次の瞬間楓ちゃんと、山本さん、そして私は、見知らぬ場所にいた。
周りには、近未来的な建物が立ち並び、遠くにはとても高い塀が見える。そして私たちが立っている地面も綺麗にタイルのようなもので舗装されていた。
「華坂さん!人生初の瞬間移動経験おめでとう!!そしてようこそ!!我々日本超能力管理庁の総本部。桜佐市へ!!」
「何が、ようこそですか!!
これはもう拉致ですよ!!もう許さない、ゼッッッッたいあんた達の・・ボヘッ」
突然、私は楓ちゃん?(楓ちゃんだよね?あんな可愛い子が何で?信じたくないんだけど)に思いっきり突き飛ばされ、とても女性が発するものではない声をあげて吹っ飛んでいった。
「痛っ〜〜〜〜。何するのよ!!ねぇ聞いてる・・・の・・・・?」
私の声が尻すぼみになったのも仕方がないだろう。
私はさっきまで私がいた場所、つまり楓ちゃんに飛ばされなかったら私がいたであろう場所を見て凍りついた。
なぜなら今私の視界に入ってきたその場所は、さっきまでの綺麗な舗装は跡形もなく、めちゃくちゃに大きな穴が空いていた・・・・
「奈保ちゃ〜〜ん。えらいことしてくれたじゃない。とんでもないハッタリよねぇ。ど〜う落とし前つけてくれるのかしらぁ??」
いきなり頭上から降って来たその声に反応して上を見上げると、10メートルほど頭上に、白い立方体のようなものが浮かんでおり、その上には、これまた美人な西洋人が立っていた。髪は黒髪で背中の真ん中あたりまで伸ばしており、漆黒のオーバーコートに身を包んでいた。年齢は21歳くらいに見え、非常に整った顔立ちをしていた。
「華坂さん!!気をつけて、その人は世界超能力者協会の幹部で、超級の超能力だよ〜!!」
は??
「あら、あなたが噂の子ね。可愛い顔してるじゃない。どうも初めまして、世界超能力協会幹部で、東・東南アジア方面総司令官のエレーナと申します。以後お見知り置きを!!」
超能力者紹介
1. 横山楓
レベル ?
得能 テレポーテーション
職務 局長山本の秘書?
年齢 ?