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　山守光征は、普通の男の子だった。

　学校の成績もだいたい平均点ぐらい、体育の徒競走も一番になることなんかなくて運動会なんかの代表リレーに選ばれた同級生を少しの嫉妬と羨望の入り混じった目で見つめていた。

　特にこれといって人より優れた特技や個性を持っていたわけじゃなかったし、それを不満に思って奮起したりもなかった。

　山守光征は、どこにでもいるただの男の子だった。

　それがあの日、あの世界に召喚されて光征の人生は一変した。

　普通のどこにでもいるありふれた小学生だった光征は、呼び出された地球とは異なる世界<ポルセ>で救世の勇者になった。

　よく出来たRPGのゲームのような剣と魔法の世界で光征を待っていた現実は、わくわくと胸躍る冒険なんかじゃなく厳しい戦いの現実だけだった。異世界での仲間、好きになった人との死さえも悲しんでいる余裕なんて無かった。

　とにかく必死で公生は戦い続けた。

　勇者としてその世界に呼ばれその目的を果たしたときには、実に6年もの月日が流れていた。

　そうして光征はいくつもの苦難を乗り越え、勇者として異世界を救い元の世界へと帰ってきたのだった。