ロリと少女と熟女の間で揺れる俺
イモリ剣士です。
はじめての短編です。息抜きにスマホから投稿。
突然だが、皆は二次元が好きだろうか。
俺は大好きだ。異論も返答も条件次第で受け付けよう。
二次元において諸君等が否定する際の要素と言ったら、それはつまり『好み』だけだと思う。
こんなキャラが好き。あんなキャラが嫌い。俺は当然のことだと思っている。
これは、そんな俺が二次元美幼女、美少女、美女を愛でるのに悩んだ、くだらない一幕である。
*
「ああっ、誰これ!? クルミちゃん!? くそ! また、可愛い娘が増えてるっ!」
それは渾身の叫びだった気がする。
自室に響いた俺のボリューム大の声。
丁度、プレイ中のRPGブラウザゲームが小規模アップデートを行った後だった。
ガチャシステムのないこのブラゲでは、主人公のステータスパラメータの高低で、仲間に出来る者の選択肢が広がる。
なんと、最初から仲間がいる状態――ただし、使用できるわけではない――で始まっているのだ。
課金要素は、消費アイテムと経験値アップアイテム、その他によく分からない要素だけ。
「これは是非戦列に加えたい!」
今回、新たに加わるのは美幼女キャラ。それもとびきり愛らしい水色ツーテールの娘。
画面の向こう側にいる彼女を撫でたくなった俺は、PCの液晶をひたすら擦る。
満足感を味わい、俺は紳士行為を程々に頭を抱えた。
「パートナー設定……をしたいんだけどなー」
主人公の性別を自由に決められるこのブラゲでは、パートナーとなる人物を一人だけ決められる。
男女恋愛を妄想したいなら異性。薔薇、百合をエキス垂れ流しの脳ミソにぶちこみたいなら……お好きなようにといった具合。
俺は男キャラを選んだのでノーマルラブ派だ。
「レベッカちゃんと別れたくないぃぃ」
選べるキャラは常に一人。当たり前の法則が俺を苦しめる。
この間のアップデートで、泣く泣く美熟女――美女とも言える――キャラのフィノーラさんから美少女キャラのレベッカちゃんをパートナーに設定したばかり。
だというのに、またも好みのキャラが登場してしまった。
「まだレベッカちゃんの『やだっ!? スカート捲れちゃってる!? 見るなぁ!』のパートナー限定ボイスを堪能しきれてないというのにぃ!」
諦めきれない俺を無様だ愚かだと言う者もいるだろう。だってパートナーはいつでも自由に変えられるのだから。
だが、俺は声を大にして言いたい。お前らそれで満足か。
一々パートナーとして迎えなければ限定ボイスを喋ってくれないもどかしさ。それをそのまま受け入れていいのか。
否、断じて否である。
「幼女、少女、熟女。なぜ二次元になるだけでこれ程愛おしく感じるんだ」
幼女は、快活さ溢れる仕草と保護欲を掻き立てられる容姿が素晴らしい。
少女は、大人になりかけと言えどもフレッシュで、青春に生きる魅力を感じさせてくれる。
熟女は、完成された大人のボディと淫靡なエロスに応える。
簡潔に意見を述べたためにこれだけしか表せないが、この他にもそれぞれ語れる話がつきないはずだ。少なくとも俺はその人種である。
「いっそのことハーレムにしてしまえ、運営め!」
全ての愛する異性と恋をする。その名もハーレム。生態学ではごく普通に使われ、オタク世界では業の深い専門用語として有名な言葉。
「ちくしょう! 問い合わせメールで意見を送ってやるぞ!」
欲望に塗みれの意見手紙は、三時間に渡って綴られた長文と共に送信された。
*
翌月、見事俺の愛が届いたのか。
それとも複数のユーザーからの声があったのか。パートナーシステムの他に、ハーレムシステムが導入されることになる。
当然、課金によりパートナー枠を増やさねばいけないが、それくらいどうと言うことはない。
愛があれば出費など些細な問題。純愛を貫きたいユーザーも夢見る童貞ユーザーもこれで安心となった。
喜び勇んでゲームの起動をする俺は、もう一つ追加要素がアップデートされているのを確認する。
「どれどれ?」
――この度は○○をプレイして頂き誠にありがとうございます。
――新しく『嫉妬』システムが導入されました。戦列にパートナーが複数存在する場合に限り発動します。『嫉妬』発動中のキャラは『ヤンデレ』状態となり、敵味方関係なく自分以外をランダムに攻撃します。また、攻撃がヒットした場合、『嫉妬』発動中の『ヤンデレ』キャラ及び攻撃がヒットしたキャラは即戦闘不能状態となります。
――ハーレムシステムの利用には細心の注意を払ってお使いください。これからも皆様がより良い環境でプレイ出来るよう尽力します。○○運営。
「は?」
俺は、静かに、問い合わせの欄を、クリックした。
人の欲って限りないですよね。
主人公は大学生です。