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槇と刃 その三

 気をつけて

 だから何に気をつけるの?

 この女に気をつけて

 この女って言っても後ろ姿じゃわからないよ

 どうか無事でいて

 え?そんな深刻な気をつけるなの?


 目が覚める。

 さわやかな朝とはほど遠い、重苦しい気分だ。

 やけにはっきりとした映像だったな・・・・

 夢なのに今でもはっきりとその、気をつけなければいけないと言う女性の後ろ姿がはっきりと思い出せる。ついさっき、夢ではなく実際に見たばかりのようだ。

 もう二度寝できる時間でもないか・・・・しょうがない起きよう

 夢のせいでいつもより早く起きてしまったのだが寝直すと確実に遅刻する自信がある。

 起きてみたものの、昴の家に行く時間にはまだ早かった。とりあえずいつもしていることをして朝食をとろうとしたのだが、どうも気分が悪い。

 昨日の今日でかっこ悪いけどまぁいいか

 昴のお姉さんにメールして返事を読んでから家を出る。「ちょっとくらい早く来るのにいちいち連絡しなくてもいいのに」

「いえ、それはやっぱり若い女性二人だけのところへ行くからそう気安くはできないですよ。昴は風呂ですか?」

 風呂と言ってもうちと違って最新式で、一度見せてもらったのだがもはや風呂とは呼べないようなものだった。実際メーカーが風呂に替わる新しい呼称を付けてあったが横文字だったので忘れた。

「昴ならまだ寝てるわよ」

「え?」

 思わず先ほどのお姉さんから来た返事を読み返してしまう。昴はもう起きているのかも訊いたのだが返事はうそだったようだ。

「だましたんですね」

「寝ぼけて先生を見たらきっとおもしろいだろうなと思って」

「それでおもしろいのはお姉さんだけじゃないですか」

「先生も昴の新たな一面を見れるわよ」

「そんなもん見れなくていいです」

 部屋を出る前にメールを見てくれることを願いつつ急いでやったが間に合わなかった。

「お姉ちゃんおはよぅ・・・・」

「おはよう」

「・・・・おはよう昴」

「おはよう・・・・せんせい・・・・」

「まだ寝ぼけてるのか?」

「・・・・あれ?」

「言っておくけど自分もだまされたんだからな」

「え?え?え?先生?先生がなんでいるの?って言うかもうそんな時間?」

「いや、自分がやたら早く来ただけだから。寝坊じゃないよ」

「昴、あたますごいことになってるわよ」

「え?きゃぁぁぁ〜っ!」

 頭を両手で抱えて走って行ってしまった。指の間から跳ねた髪の毛が出ているのが見えた。

「昴の頭いつもあんななんですか?」

「今日はまた一段とひどかったわね。普段はどんな感じか見てみる?」

「いえ、結構です。あれが自動でなおるんですか?」

「全自動ってわけじゃないけどね。寝癖のせいで遅刻するようなことにはならないわね」

「へぇ〜。便利なもんですね。自分には必要ないですけど」

「ここで暮らすことが決まった時におばあちゃんが買ってくれたのよ。『私のが昴に遺伝しちゃったから』って」

 話をしながらお姉さんがいつものようにコーヒーをいれようとしてくれていた。

「あ、今日はコーヒーじゃないのをもらえますか?」

「あらそう?それじゃあ昴といっしょにミルクティー高瀬スペシャルを飲む?」

「それを作ってやれば機嫌がなおるんですか?」

「あの子、作り方を知らないのよ。口伝を受け継いだのは私だけだから」

「いいですねぇそういうの。それじゃあ作ってるとこ見ると悪いから下向いてますね」

 自分は画像表示系の端末を持ち歩いてないのでテーブルの上にあった端末を手に取ってうつむいた。据え置いて使うものなので多少重たい。

 情報を出し過ぎで見づらいな

 見づらいと言っても人の物なのでそのままゴチャゴチャした文字情報を上から順に読んでいく。普段は絶対無視するような内容のものまで、その大体が女性向けの内容だったがそれまでていねいに読んで時間を潰した。

 女性ってなぁ何でこんなことを気にするのかねぇ

「あら昴。おはよう」

「おはようじゃないよ・・・・」

 顔をあげると別人になった、と言うかいつもの髪型の昴がいた。

「先生、さっきの私のあたま、見たよね?」

「あれがわからないほど目が悪かったら、今そこにいるのが誰なのかもわからんだろ。さっきのあれもあれはあれでいいんじゃないのか?芸術的で」

「あんなのがいいわけないでしょ!」

「そうか。昴なら似合いそうな気がしたんだが。柳川さんがあの頭だと近づき難くなるだろうけど」

「もう!・・・・いくら先生に似合うって言われてもゼッタイにイヤ!お姉ちゃんもひどいよ!なんでいってくれないのよ!」

 これがマンガなら頭の上にプンプンと書いてありそうな顔をしていたがお姉さんが高瀬スペシャルを持ってくるとすぐにうれしそうな顔になった。

「ほらほら。ミルクティーいれてあげたから」

「え?ほんと?・・・・もう。すぐそうやってごまかすんだから・・・・」

 にこにこしながら文句を言っている。

「そんなにおいしいの?」

「うん!先生も飲んでみて!」

「それじゃあいただきます・・・・」

「ああ・・・・おいし・・・・」

「ほんと、おいしいね」

「でしょ!」

 なんかミルクティーとは違うもののような気もするがおいしいことには違いない。昴のように『ああおいし』と言っているだけのほうが幸せなんだろうが、悪いくせでついどうやって作ったのかあれこれ考えてしまう。

「先生今日は早かったけど朝ごはん食べてないんでしょう」

「はい・・・・はい?あ、いえ・・・・」

「え〜?朝ごはんたべてないの?だめだよ朝ごはんはちゃんとたべなきゃ」

 ミルクティーのことを考えていてつい『はい』と答えてしまった。それで二人がかりで説得されてしまい朝食もいただいているうちに朝の気分の悪かったのは消えていった。

 その後はいつものように昴といっしょに登校していつもの高校生活と変わらなかった。しかし、いつもの日常はその日の放課後に終わりを告げた。


 さて、まだ平穏だった昼休み。

「あ、飲み物忘れた」

「あ、僕も水筒忘れてきた」

「なんだ、二人とも忘れたのか。三人とも息がぴったりだな」

「こんなこと仲よくやっててもしょうがないだろうが。でもそうなると誰か一人行けばいいな・・・・」

 三人の間に緊張が走る。

「俺にジャンケンで勝負しようだなんていい度胸じゃないか」

「んなジャンケンに強いも弱いもないだろ」

「でもさ、動態視力がよくてさ、後出ししたように見えないくらいの早さで出せば勝てるんじゃないかな?」

 後藤が何か言っていたがそんなことは聞いていなかった。ちょっと離れた所の女子の会話を聞いていたからだ。自分は耳がけっこういい。

「桑山さん」

 昨日のような反応はせずにこっちに来てくれた。

「なに?どうしたの?」

 と言ったのはついてきた橋山さんのほうだ。

「飲み物買いに行くんなら、自分の運を試してみない?」

「ジャンケンで負けた人が行くの?いいわよ」

 橋山さんは理解が早くてたすかる。

「え〜?私はいいよ・・・・」

「おごらされるわけじゃないよ」

「負けたって持つのが四本ふえるだけじゃない」

「絶対勝つ秘策があるよ」

「ジャンケンでどうやって絶対勝つのよ?」

 橋山さんの耳元で作戦を伝授した。予想通りに乗ってきて作戦内容を聞いて笑いだした。

「アハハ。わかった」

 橋山さんは指示通りに桑山さんにチョキを出すようにこっそり言う。自分も後藤に鈴木にわからないようにチョキを出すように伝えた。

「よし、それじゃあやるか。鈴木、心の準備はいいか?」

「おう。どんな秘策か知らんがいつでもいいぜ」

 それから、わざとゆっくりと言い始める。

「さ・い・しょ・は・グー」

 何かやってくるだろうと警戒していた鈴木はこの後急に早口になって後出し負けをねらってくると考えただろうがそうではない。そんなことをするとおそらく桑山さんが負けるだろう。ゆっくり言ったのは橋山さんがタイミングを取りやすくするためだ。

「ジャ・ン・ケ・ン」

「そりゃっ!」

「うごふっ!!!」

「え?きゃあっ!」

「ポン」

 橋山さんの手がサッと動くと桑山さんのスカートがめくれる。それ以上は見えなかったがそれを見た鈴木が初々しい反応をする。スカートがめくれてもすぐには何が起きたのかわからなかった桑山さんが数瞬遅れてスカートを押さえた。鈴木がひっくり返ってる間にみんなでチョキを出す。

「鈴木。後出し負けだぞ」

「くっ・・・・卑怯な・・・・」

「作戦と言ってくれ」

「なにが作戦だ!」

「しょうがないなぁ。追加だ、ホレ」

「ぶごっ!!!」

「へぶしっ!!!」

 隣にいた橋山さんのスカートをおもいっきりめくると今度はばっちり見えたのか、先ほどより大きなリアクションをして倒れた。自分は間髪いれずに飛んできた鉄拳をくらった。

「うう。グーはひどいよ。校内暴力だよ」

「校内セクハラだ!」

「今度はしっかりと見えたよ」

「自分は見えてないんだけど」

「だから教えてやってるんじゃない。ベージュだったよ。フリルのついた」

「教えんでいい!」

「鈴木君だいじょうぶ?」

「ほら、君の反則負けだ。さっさと行ってきなさい」

 橋山さんを怒らせてしまい自分が行くことになってしまった。

「はいはい」

「なんだ?その手は?」

「なんだって・・・・お金は?」

「ほう・・・・反省してみんなの分おごるのが当然かと思ったが・・・・そうか。もう一度ジャンケンするか。もう一度するのなら私はグーしか出さないぞ」

「お、予告ジャンケンだ。これは心理戦になるね」

「それはあれか。橋山さんのグーがどこに向かってくりだされるのかを考えることになるから心理戦なのか」

「私と一対一の勝負でいいぞ?」

「いえ、辞退いたします。ご注文のほうはお決まりですか?」

「私はお茶だよヤッホー超特濃」

「カフェオレのホット」

「鈴木は?言わなきゃ青汁にするぞ」

「超ブラック特盛り・・・・」

 まだ復活していないわりにちょっと高いやつを注文している。反応がおもしろかったから何も言わずに買ってあげよう。

「桑山さんは何がいい?」

「えと・・・・私も行こうか?」

「一人で行かせればいいから」

「頼りになる男だから一人で任務を完遂できるって。なに買ってくる?青汁激甘味?」

「そんなのあるの?」

「受注生産になります」

「もう。冗談ばっかり。それじゃあハーちゃんとおんなじので」

「おっけー」

 しかしよくよく考えると後藤が一番いい思いをしてるよな

 そんなことを考えながら小走りに自販機コーナーへと向かった。

 ええと・・・・お茶だよヤッホー超特濃はと・・・・

 注文の品を探していると自分は買ったことはないが飯の替わりにもなるという商品が目にとまった。それを見てクラスのある女子のことを連想した。

 教室に戻った時に窓際を見るとその女子はいつもと変わらず頬杖ついて外を見ていた。


 放課後。

 教室から逃げ出す時間を作ってあげてから二組に向かったが、平奈さんはちゃんといて端末を見ていた。

 一晩で気が変わると思ったんだけどな

「平奈さん」

「あ、副部長さん」

 手にしていた端末を学校名がでかでかと書かれた通学バッグにしまうとトテトテ小走りでくる。そのトテトテ感がかわいらしい。まだ中学生の名残がある。

「わざわざ来ていただいてすみません」

 いつになったら気がつくのかな

 言ってあげないでいる自分もたいがい性格が悪いなぁと思いつつ部室に向かった。

「こんちわ」

「お。ちゃんと連れて来たね」

「部長は帰りの会に出てないんですか?」

「終わってから来てるわよ。さ、しずかちゃん座って。今お茶を副部長がいれるから」

「ここにそんな設備があったんですか?」

「最近使ってなかったから忘れてた。夕べ思い出してお茶はうちから持ってきた」

「よかった。そこに埋もれてたもんを飲まされるのかと思いましたよ」

「あの、私がいれましょうか?」

「いいのいいの。しずかちゃんはまだお客様だから。生徒会におととしの文化祭を撮ったやつがあったからお茶を飲みながら見てみましょう」

 どこかからか出してきたようなので茶碗を洗いに行かなければいけないかと思ったら、きれいに洗って清潔なふきんにふせてあった。センパイはこうゆうことをしない人だと思っていたが違ったようだ。

 昼休みにでも来て準備したのかな?

「私もはじめて見るんだけど・・・・」

「うわぁ・・・・入り口の所のあれ、毎年あのレベルなんですね・・・・」

「やっぱり去年見学に来てた?」

「はい。友だちに誘われてですけど」

「自分も一応見に来ました」

「私は見に来なかったんだけどね」

「第一志望校は落選したんですね。文化文明部は映ってるんですかね」

「落選はしてないけどここが第一志望だったわけでもない。映ってるといいんだけど」

「平奈さん。おととしの出し物はなんだっけ?」

「え?あ、はい。あの・・・・カエルのお化けだったと思いますけど・・・・」

「ああ、あれか」

 後ろを振り返ってごみの山の中から現物を確認する。

「見落とすようなもんじゃないよね」

 しばらく見ているとそのカエルのお化けが出てきた。のだが、予想を裏切りずいぶん奇抜な使われ方だった。

「・・・・部長、あれを越えないといけないんですか?」

「もちろん。と、言いたいところだけどマンパワーが圧倒的に不足してるわね」

 本音だったのかどうかわからなかったが、部長がそう言うと文化祭の映像を見てすっかりその気になっていたのだろう、平奈さんが意外なことをいいだした。

「そんなことありません!今年もすごいのをやりましょう!」

 部長もちょっと驚いた顔をしたがすぐに笑顔になった。

「おおうれしいねぇ。人数は少ないけどがんばってみましょうか」

「はい!」

「ではさっそく、あ、ごめん。電話だ」

 廊下に電話をしに出ていって戻ってくると申し訳なさそうに部長が言った。

「ごめん。急用が入って帰らなきゃいけなくなっちゃって。ごめんねしずかちゃん」

「あ、ぜんぜんいいですよ」

「ほんとごめんね。よかったら明日もまた来てね」

「はい」

 本当に急用だったようで自分の通学バッグを取るとそのまま行ってしまった。

「えーと、平奈さんはどうする?帰る?」

「あ、あの・・・・もう少しこれ、見ていってもいいですか?」

「うん。もちろんいいよ。そっちに送ろうか」

「いいんですか?」

 今まで部長が座っていたイスに座って部の端末を操作する。

 おおちょっとセンパイのぬくもりがのこってる

「お安いご用だ。ここにあるのは全部送るよ。今全部は見れないだろうから明日授業中に見るといいよ。スタンドアロンも貸すから」

「授業中に見たりしないですよ」

「え〜と、『これを一年二組の平奈静かさんへ送る』・・・。どう?ちゃんと八つきた?」

「はい。きました。ちゃんと八つあります」

 平奈さんは過去の文化祭の映像を手に持った端末で見ている。手に持つタイプの端末を使う人はすごくめずらしいわけでもないが、ここの生徒で使っている人はわりとめずらしいかもしれない。

 自分は本体を首からさげていて、音声操作するためのものを耳にかけている。

 この、耳にかけているのは他人にも見えているわけだが、自分と違い髪が長い人は同じようなものをつけていてもそれが見えにくい。総じて女性のほうがどんな端末を持っているのかわからないことが多く、髪の毛を束ねている物が端末だったりする。変わったところではネコ耳なんてのもあるが実際に装着している人は見たことがない。

 これはほんとにあるのかどうかも知らないが、以前から思春期を迎えた男子の間ではたびたび胸パット型の端末のことが話題になる。本物のほうもある程度大きければちょっと歩くだけで充電が完了するとか、あれは絶対端末が入っていてあの大きさだとか、そんなくだらない話だ。

 それで部長もなにを使ってるのかわからないままだ。先ほどのように端末の設定しだいで電話がかかってきたことも他人にはわからない。

 それに対して平奈さんの端末は目立つわけだがどうも型の古い端末のようなので今持っているのがそれだけだとも思えなかった。

 あのメガネそうだよなぁ

 おっちょこちょいだから、ねっとりとした視線で眺めていても気がつかないだろう。

 そぉいや女の子をこんな近くで遠慮なくまじまじと見るのってはじめてだなぁ

 しかしさすがの平奈さんもねっとり視線に気がついたようだ。気がついたようだが、気の弱い彼女はそのことを自分に言い出せないでいる。『副部長!私のことをいやらしい目で見ないでください!』とでも言うようなところだが、対応に困ってしまって顔は端末を向いていても目が泳いでいる。おもしろかったんでしばらくそのまま見ているとやっと決心したようで口を開いた。が、顔は下を向いたままだ。

「あ、あの、副部長さん・・・・」

「なに?」

「あ、あの・・・・」

 ここでやっと顔をあげた。

「あの、なにか、ご用ですか・・・・」

 ほんと反応がかわいらしい

「そのメガネってほんもの?」

「あ、いえ、ちがいます」

「端末だよね?それがあればそっちはいらないんじゃないの?」

「ああこれは・・・・中学の入学祝いにっておじいちゃんが買ってくれて・・・・それでずっと使っているんですけど祖父も母も子供ができたのが遅くて三十五歳の時で・・・・」

「三十五の三十五ってことは今八十五歳?」

「はい。それでなんか手放せなくて・・・・こっちは高校の入学祝いに父方のおばあちゃんが買ってくれたんですけど、ほんとに最新式でまだ使いなれなくて、つい、こっちを使っちゃうんです」

「ふーん。愛着があるんだね。今みんなそんなのかさばるって言って使わないのに。物を大事に使っててえらいよね」

「新しい機械はダメなだけです」

「でもさすがにそのノート型で登録はしてないんでしょ?」

「はい。常に身につけてるもののほうがいいって言われて」

「と言うことは最初はノートで登録しようとしたんだね」

「あの時はまだ、買って三日しかたってなかったから・・・」

 端末に関する考え方がおもしろかったので雑談でいろいろ聞いていると今度は平奈さんに電話がかかってきた。そのノート型の端末にでかでかとその旨が表示されたので他人にも丸わかりだった。

 そしてまた先ほどのセンパイと同じように部室に戻るなり謝っている。

「ごめんなさい、副部長さん。すぐに家に帰らなければいけなくなってしまって・・・・」

「あやまらんでいいよ。何か重要な活動をしていたわけでもないから」

 部室を出て昇降口に向かって歩きだしたところで教室に忘れ物をしたのを思い出し、途中で平奈さんと別れた。

 この時間じゃ誰もいないだろうなぁ

 そう思って教室の戸を開けてみるとその予想はハズレていた。普通ならここで『もう誰もいないと思ってたよ何してるの?』と言うのだが、一人教室に残っていた人物はそんな風に声をかけられない雰囲気があった。

 いつもよく見てはいるものの、まだ一度も話したとはない。

 放課後になってからもずっとあの姿勢のままでいるのかな

 いつもの頬杖をついた格好で外を見ている。

 今教室に入るときにそっと入ってきたわけでもないので気がついてはいるだろうが、その女子生徒はまったく動かない。

 寝てるわけじゃないよな・・・・

 あまりに動かないので居眠りでもしているのかとも思ったが、正面から見ないまでも非友好的な気配を感じる。

 それでもやはり放課後の教室で一人外を眺めているというのは気になる。声などかけてはほしくないだろうが、どこか気になって彼女の後ろ姿を見つつ自分の席まで歩いていった。

 そして・・・・気がついた。

 夢に出てきた気をつけないといけない人に似てる・・・・

 夢のことなど話してもしょうがないとはわかっていたが、ここで何も言わずにいるのもいやだったので、独り言になるのを承知で勝手に口を開く。

「ちょっとうっかり忘れ物しちゃって。槙さんは一人でなにしてるの」

 やはり返事はない。忘れ物を回収してバッグに入れるともう一度真後ろから彼女を見る。やはりよく似ている、気がする。

「・・・・今気がついたんだけど、槙さんの後ろ姿って今朝見た夢に出てきた人に似てるんだよね。ああ、夢って言ってもただほんとに後ろ姿だけなんだけどね。どうせならビキニ着た女の子を真正面から見る夢でも見れればよかったんだけど・・・・」

 反応なし。

「それで、別に女の子の後ろ姿は何でもないと思うんだけど、誰かが自分に変なこと、いうんだよね。『この女に気をつけて』って。気をつけなきゃいけないなら顔を見せてほしいのにね」

 そこまで言うと槙さんが突然立ち上がる。イスが後ろの机に激しく当たった。

「余裕ね。まさかこんな形で仕掛けてくるとは思ってもみなかったわ。私もなめられたものね」

「・・・・え?」

 槙さんがゆっくりこちらを向く。

 その顔を見た瞬間全身に寒気が走った。

「さあ早く抜きなさいよ」

 抜きなさい?!ヌクってアレのこと?!自家発電?ここで?いや自分にそんな性癖はないぞ!・・・・と思いたい

 自分は非常に混乱していた。としても最初に連想することがそっち方面なのがちと情けない、というか自分らしいというか。

「さあ!早く抜けっ!」

「ぬ、ぬけって・・・・ナニを?」

「しらばっくれるな!」

 槙さんに気圧されて後退するとすぐに背中が壁に当たる。

「あの、なにか勘違いを・・・・」

「バカにするなっ!」

 次の瞬間、彼女の手に信じられないものが握られている。

 日本刀だ。

 あれはどう見ても日本刀だ。

 日本刀の本物など見たことないがあれは間違いなく本物の日本刀。真剣だ。

 ・・・・人は心穏やかに過ごすためにあえて悪いことを考えないでいるという。『明日不慮の事故で死ぬかもしれない』生きている以上その可能性は常にある。しかし常にそんなことを考えていては日々を平穏に過ごせない。だから、悪いことは無視している。しかしその本能は目の前で現実に起きている『悪いこと』も否定してしまうという。

 しかしその時の自分はその本能を押さえ込み、現実を直視し『目の前のそれを受けたら死ぬことになる』ただそれだけを感じた。

 だからと言って物理的に存在するそれを避けるには物理的に動くしかない。確実に避けきれる自信はなく、あれが肉を切る音というのは昔の映画のような音が実際にするもんだろうかと悠長に考えたが、自分の身体でそれを確かめることにはならなかった。

 どうにかうまく避けただけかと思い体勢を立て直すと自分でも驚くほど移動している。切りつけられたのは窓際だが、今は廊下の出入り口にいた。

 槙さんは本気で切りかかって空振りにおわったあと今の今まで自分がいた場所を見つめたまま動かない。

「・・・・どういうこと?」

 刀を振り降ろしたままの姿勢で時間が過ぎる。

 辺りは静まり返っていた。この階には誰もいないようで物音も聞こえない。

 長いような短いような時間が経ち、やがて彼女はこちらに向き直ってゆっくり近づいてくる。

 彼女はその手に持った物の切っ先を微動だにしない自分の眉間に突きつけてからそのままゆっくり腕を持ち上げ、振りおろす。それが脳天にざっくりいく前に彼女は自分の意志で腕を止めた。

「どういうこと?」

 彼女はまた同じ言葉を繰り返した。


 そのあとなぜか槙さんが家に来ることになった。そのことも不可解だったが自分の三、四歩あとを離れてついてくるので歩きにくくてしょうがない。家に着くまでに少しは話を聞けるのかと思ったが、これでは話もできない。

「ついたよ」

 玄関に入り靴を脱いで家にあがったところで槙さんが急にしゃがみ込んだのでびっくりした。

「もうしわけありませんでしたっ!」

 突然土下座しながら大声で謝る。

 家に誰もいなくてよかったなぁ・・・・じつはこの人とてつもなく迷惑な人なのでは?

「あー。槙さん。そんなところで土下座されても困るしなんで謝ってるのかわからないからさ・・・・起きてこっちで説明してくれると助かるんだけど・・・・」

「いえ、そのようなことはできません。このままお話させてください」

 どうやら土下座して額をたたきにつけたまま話をするつもりのようだ。

 うっわほんとに困った人だ・・・・

 どうしたものか考えていてふと少し前に読んだ小説のことを思い出した。うまくいくかどうかわからないが、まぁ試してみよう。

「全面的に自分の非を認めて許しを乞うということはそのためならなんでもするということだな」

 やや芝居掛かった調子で言ってみる。

「はい。なんでもいたします」

 うは!なんでもか!それならアレをああしたりこうしたり・・・・いやいやいや今は話を聞くのが先だ。

「では起きて靴を脱いでこっちへ来なさい」

「はい・・・・わかりました。でも、このままでは家の中を汚してしまうので少々お待ちください」

 そういうと家の外に出ていく。このまま逃げられちゃうかなとも思ったが、ドアの外で服をはたく音が聞こえる。

「お待たせいたしました」

 靴を脱ぐとしゃがんで向きを揃えている。自分の靴だけでなく人の靴も揃えている。

 客間の和室ではなんだか話が聞きづらそうだったので台所、正確に言うとダイニングキッチンへ行った。

「では・・・・話を聞かせてもらおうか」

「はい。私は『ある組織』の末端の人間で・・・・」

「ある組織?」

「はい。それ以上詳しくは言えないのですが、その組織からの命令であの高校で活動していました」

「組織からの命令?それで・・・・高校で何してたの?」

 芝居がかった調子は疲れる。自分はもう普通にしゃべっていた。

「それは・・・・私は末端の人間で、詳しい話ができないのでございます・・・・」

「自分のことを切りつけたのは、そのある組織の決まりかなんかで問題になることなの?」

「はい」

「人違いしたことがかなり明確に処罰の対象になる?」

「はい」

「それでとにかく間違えたお詫びはしなくてはいけない」

「はい」

「でも詳しい話は上の人間でないとできない」

「はい」

「つまり現段階では自分は何も知ることができない」

「・・・・はい」

 やれやれ

 実際にあれを見ているので『ある組織』とか『組織の命令』とか言われてもわりと現実味があるが、それにしてもこうも守秘義務を盾にとられると文字通り話にならない。

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 弱ったな・・・・

 槙さんから視線を外して顔を横に向けると台所のじゃがいもが目に入った。

 そういや今日は久しぶりにカレーを作ろうと思ったんだっけ・・・・

 そこであることを思いついた。

「槙さん」

「はい」

「夕飯つくって」

「・・・・はい?」

「だから、夕飯だよ。夕ご飯。料理。クッククッカークッキング」

「あの・・・・私が料理を」

「うん」

「も・・・・申し訳ございません!」

 ガンッ

 座ったまま頭をさげてそのままテーブルに額を激しくぶつける。

「あたた・・・・」

 この人は土下座癖があるのかな

 普通なら笑えるところだが今はとても笑えない。槙さんの失敗は見なかったことにした。

「女の子の手料理が食べれると思ったんだけど、まぁ自分で作るか」

 立ち上がると水を出してじゃがいもを洗い始めた。

「あの、私もなにかお手伝いいたします」

「それじゃあごはんが炊けてるか見てくれる?」

「はい」

 炊飯ジャーを指さしてしゃもじはそこだからと言えばそれでいいだろうと思ったが、しかしその考えは甘かった。しゃもじを手に持ってジャーのふたを開けるとほんとにごはんを見つめている。

「あの、見ていればよろしいのですか」

「・・・・どうすればいいかわからないの?」

「お茶碗に盛ればよろしいですか?」

「カレーができてないのにごはんだけ先によそってもしょうがないでしょ。貸して。これは、最初にこうやってほぐすんだよ」

 しゃもじで何カ所か十字に切ってから釜の底にしゃもじを差し入れてひっくり返していく。

「そのようにするんですか」

「なんでこうするのかって訊かれてもちゃんと答えられないけどね。さて、ごはんはちゃんと炊けてるけど・・・・」

 手伝ってもらうことがないな・・・・でも料理の知識はなくても他の得意分野を応用できるかもしれないか

 しゃもじについたごはんを食べながら考えたが、彼女のことで今のところわかっていることと言えばこのことしかない。

「槙さんは普段振り回してるのは刀だけなの?」

「いえ、普段は木刀を使います」

「もっと小さいものも使う?そうだな、刀の鞘についてる方の手裏剣って使ったことある?」

「はい。手裏剣投げは得意です。頭の上にりんごを置いてその上に置いたじゃがいもに当てられます。今やってみせましょうか?」

 それは人に向かってナイフを投げることを意味しているが、失敗することをまったく考えていないらしく躊躇なく言う。

「今はりんごもないしまたの機会にしてもらうよ。そのナイフさばきのうまいところでこのじゃがいもの皮を剥いてくれるかな。手裏剣はないから・・・・このペティナイフで」

「はい。わかりました」

 まな板にナイフとじゃがいもを乗せてテーブルの上に置く。

「それが終わったらにんじんを・・・・」

「はい。次は人参ですね」

 目を離したわずかな時間ですでにじゃがいもの皮が剥けていた。

「はやっ!」

「そうですか?」

 よくあれを交わせたよな・・・・

 先ほどのできごとが一瞬脳裏に甦る。

「まぁもう少しいれるか。じゃがいも好き?」

「はい好きです」

 若い女の子はじゃがいも好きですなんて言わなさそうな気がしていたのでじゃがいもみたいなものでも素直に好きですと言うのを聞いて槙さんに対するイメージが少しいいほうにぶれた。土下座されているのでもともとかなりマイナスになってはいるが。

「それならもう少し追加しよう。いつもは炭水化物が重なるからカレーにはあまりいれないんだけど」

「え?あの・・・・私のために、ですか?」

「うん。食べてくでしょ」

 先ほどのごはんを見つめている目がそういう目だった。

「いえ!そんな!めっそうもない!」

「まぁとにかくこっちはおなかすいてるから早く作っちゃおう。にんじんの皮を剥いちゃって」

「はい」

 カレー用のやさいの切り方というのもわかっていなかったが、指図してやると実に上手にカットしていく。槙さんの切ってくれたやさいを圧力なべにいれて加熱する。

「自分好みで悪いけどそのかわりすぐできるから」

「あの、私は・・・・」

「では命令する。カレーくってけ」

「はい。わかりました」

 うわーこりゃほんとに『これをしゃぶるんだ』って言えばほんとにやってくれるかも!・・・・いや・・・・『なんだこの汚いモノは!』っていきなり刀でスッパリと・・・・・・・・

「どうされました?」

「いや・・・・なんでもない」

「?・・・・そのお鍋は最新式の調理器具なんですね」

「いや、最新式じゃなくて昔からあるものなんだけど、圧力鍋なんて知らないよね。科学は得意?」

「いえ。得意ではありません」

「まぁ日常科学だから、中学・・・・あれ?小学校だっけ?まぁどっちでもいいけど、ほら、高い山に登るとお湯が百度以下で沸騰しちゃうってゆぅ話知ってる?」

「はい。それならわかります。気圧が低いとそうなるという話ですよね」

「そうそう。これはその逆。気圧を高めて沸点をあげることができる鍋なの。鍋本体と蓋がしっかりくっついているでしょう」

「それでは爆発したらできあがりですか?」

「料理するたびに爆発してたら困るでしょ。ポン菓子とはちがうんだから。ここの所から適度に蒸気がでるし、これが安全弁で圧力があがりすぎると開くようになってる。実際に作動したところは見たことないけど」

「そのようになっているのですか・・・・でもそれで何かいいことがあるのですか?」

「もちろん沸点が高いし加熱をやめた後も高温高圧の状態が続くから時間とエネルギーを節約できる」

「そのような便利なものが昔からあるのですか・・・・」

 なんかやたらに感心している。

 料理に関心がないわけではなさそうだが・・・・そうなると料理を作る機会がなかった・・・・普通の家庭でその状況はなかなか考えられない・・・・・・・・いやそんなはずはないか

 圧力鍋でやるところがおわるとあとはカレールウをいれて溶かして完成という煮込まんカレーができあがる。

「自分好みの煮込まないカレーで悪いけど」

「ほんとにすぐにできるんですね」

「なんか最初は新鮮でよかったけど、同級生に敬語を使われるとなんか居心地悪くなってきた。普通にしゃべれない?」

「その・・・・裁定がおりるまでは・・・・申し訳ありません」

「まぁいいよ。これ、辛みがたりなかったらいれて。かなり慎重に入れないと食えなくなるから気をつけてね。それではいただきます」

「・・・・いただきます」

 そういえばここで誰かと食事するのも久しぶりだな・・・・それに槙さんが食事してるとこ見るの初めてな気がする

 槙さんの食事をする姿はきれいだった。きれいというか清楚というか。いつも頬杖をついてつまらなさそうな表情をしているところしか見ていないので別人のようだ。それでいてすごく食べるのが早い。ちょっと見ている間に、自分は半分も食べ終わらないうちに食べ終えてしまった。

「・・・・おかわり?」

 いかにも食べたりなさそうな顔をしている。刀を振り回してはいても心理戦の稽古まではしていないようだ。

「いえそんなめっそうもない・・・・あ」

 表情と正反対のことを言っている。槙さんの器をとるとおかわりをよそった。

「ほら、遠慮しないで食べて」

「申し訳ございません・・・・」

 と言って食べたあとにもう一度おかわりしてごはんとカレーがなくなった。

 二合食べたな・・・・

 自分自身普段は母親が心配するように偏った食生活を、と言ってもファストフードばかり食べているのではなく、山盛りごはんに漬け物とかふりかけとか玉子だけとか、食べた物を書き出せばおそらく炭水化物と塩分が多い食事だろう。塩分は一応気をつけているがおかずが少ない反動でごはんが多い。それでいつも一合以上食べているのでごはんはたくさん炊いてあったのだが、それが一回でおわってしまったのだった。

「まんぷくになった?」

「はい。こんなにおいしいごはんでおなかいっぱいになったのは久しぶりです・・・・」

 普段どんな食生活なんだろ?人のことは言えないけど

 写真に撮って明日鈴木に見せたら誰だかわからないんじゃないかと思うくらいに、まんぷくになって幸せそうな顔をしていたのが急に顔色が悪くなった。

「・・・・・・・・・・・・どうしましょう」

「なんかすごく今さらだな。ここの会話が筒抜けとか?」

「いえ、そこまではしていません。だけど・・・・これは禁止事項に抵触するような・・・・」

「自分から言わない限りバレないってことでしょ?ならいいじゃない」

「申し訳ございません・・・・それで・・・・あの、もう一つ今さらなんですが・・・・あの時、私の出したものが見えていたんですよね?」

「見えてなければ避けられなかったと思うけど。あれって誰にでも見えるものじゃないの?」

「はい。あれが見えている時点で大問題です」

「そうなんだ」

「どの程度見えましたか?」

「どの程度?」

「もやもやっとしていたとか、向こうが透けて見えたとか」

「いや、実物にしか・・・・くっきりはっきりとしか見えなかった」

「そうですか。それは私も驚きですね」

 たいして驚いている風でもなくそう言う。

「もし・・・・もし私にあなたの・・・・」

 そこから先は話が続かなかった。

 『あなたのことを殺すことになったら私はどうしたらいいんでしょうか』なぜか彼女がそう言おうとしたことがわかった。殺す相手に殺してもいいかなんて訊けるはずがない。先ほど禁止事項に抵触すると言った時も、自分がこんなに殺さなければいけないかもしれない相手に近づき過ぎてしまったことに気がついたからだろう。

 ほんとに今さら、だ。

 だが、なぜか自分にはもう一つ確信があった。決してそんなことにはならないという確信が。

 最初の攻撃を交わしたのに次の攻撃を交わさなかった。あの時、すでに彼女に殺されるようなことにはならないと感じた。

 立ち上がると冷凍庫から棒付きアイスを二本出す。

「カレーのあとはアイスを食べるのが我が家の伝統だから。家に入ったらその家に従え。はい」

「・・・・はい」

 差し出されたアイスを素直に受け取った。ふたりとも無言のまま食べた。

 アイスを食べ終えると槙さんが帰ると言うので玄関まで見送る。

「ああそうだ。ちょっと確認。明日の朝教室で会ったときどうする?」

「それはもちろんおはようございますと言います」

 確認してよかった・・・・

「目立ちたいの?」

「いえ。極力目立たないように行動しています」

 なんだろう世間ずれ?育ちの問題?

「目立ちたくないなら明日からも今日までと同じようにすること。わかった?」

「はい。わかりました」

 わかってないんだろうなぁ


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