表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

こっちを見てよ!(むしろかまえ)

作者: おこめ

君の部屋

とても狭い空間

共有しているのは二人きり

私と君


どきどきしたり

そわそわしたり

落ち着かなかったりする


それなのに、

せっかく二人なのに

わざわざ二人なのに

なぜ君は私に背を向けるのでしょうか?

そしてなぜゲームをやるんですか?

今すぐやるべきことですか

世界を救うのに必死ですか

私がいるのにシカトですか


不安になるよ

私はゲームに負けたのかなって

いや、負けたんだけど

それってすごく虚しいじゃん

私って君にとってその程度?

ゲームの次ですか?

むしろゲームの次の漫画の次の

そのまた次の次くらいのものですか


段々腹立ってきたよ

私いなくていいじゃん


そう思ったら悔しくなって

悲しくなって

私だけこんな気持ちなのかなって

ムシャクシャした


君の背中にそっと近づく

大きな背中

私なんてすっぽり隠れてしまうくらい

いつもはたくましいなんて思うけど今は違う

この背中が憎い

その無駄に大きな背中めがけて

めいいっぱいの頭突きを叩き込む


怒ってるんだから

許さないんだから

頭をグリグリする

おらーこっちを見ろお!!


仰け反った君

少しの停止

止まった指先

二人の間に降りる沈黙

聞こえるのはテレビゲームの音だけ

どうやら勇者がフルボッコされてるみたい

これは効果あり?


待ちかねて袖を引っ張ったとき

ぴくんと反応する君を見た

そしてこれは一瞬のこと

君が突然振り向いた

なかなかこっちを見なかったのに

コントローラーを手放して

私を強く引き寄せる

抵抗する時間もない

気づけば私は君の中

びっくりして身動きすると

君は更に力を込めてぎゅーって抱きしめた


遅い!って怒りたい

文句言ってやりたいけど、もういいや

君の鼓動がやけに早く響いて

手に取るように感じられる

その早さに私が惹かれて

二人が同じリズムを刻む

心地よい空気が愛しい

なんて安心するんだろう


君もこうしたかったんだよね


さっきまで寂しかったけど許してあげよう

どうすればいいか分かんなかったんだよね

だからゲームに走ったんだよね、きっと

きっかけとか掴めないなら二人で作ろう?

二人きりを意識してるならもっと近づいて楽しもう?

そしてゲームは二人でやろう?


背後でテレビがゲームオーバーを告げる

重々しい音声が聞こえてくるけど

そんなの知ったこっちゃない

君の視線を釘付けにして

もう目なんて離させない

もっと夢中にさせるから

今はずっと見つめ合おう


子供っぽい君も全部、私は大好きなんだから

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ