(7)
帰り道、小夜は落ち葉を踏みしめながら考えた。
どうして伊吹は一人、あそこに住んでいるのだろう……。
何度も考えたことだった。
伊吹は小夜のこの問いに「罰だから」と答えた。だが、その「罰」が何なのかは、語ってはくれなかった。その「罰」を受ける原因となった「罪」についても。
そうして今日、新たな疑問が増えた。
闇の中で出会ったもう一人の伊吹。彼はずっと泣いていた。寂しいと、辛いと。一人でいるのはもういやだと。だから自分の代りにここに残ってくれ、と――。
だが、彼が叫んだ言葉の中にあった一つの言葉が、小夜の心に強く残っていた。
(どうして、あの少年は「もりと」と言ったのだろう……)
その言葉の意味を考えて――小夜はふるふると首を振った。考えても分からない。伊吹は何も語ってはくれなかったから。
「聞いてはいけないことなのだろうか……」
うら悲しくなって、一つため息を漏らした。
「――もう限界……かな」
やるせない気持ちがあふれてきて、伊吹は返事をするはずのない叉羅沙に思わずこぼした。囲炉裏の傍らの座布団の上で寝そべっていた叉羅沙は、呼ばれて耳だけをピクリと動かしたが、すぐにまたすーすーと小さな寝息をたてはじめた。
「限界……なんだろうね……ぼくも、小夜も」
分かっていたはずなのに。
彼女が己の目の前に姿を現した瞬間から。そのことがいったい何を意味するのか。それでも自分は彼女を招きいれてしまった。やがて訪れるであろう「別れ」を知りながら。
伊吹は囲炉裏の火がパチパチとはぜるのをいつまでも一人見つめていた……。