#1 獣人の国
ごぉぉっと風が横に流れ、砂埃が舞う
冷たい風だ。
「勝負です!剣王ニア様!」
と言って剣王と呼ばれた人の正面に立つ子は剣王に剣を向けている。
剣王は一度周りを見渡す。
周りを見るとその二人を円で囲うように人が集まっていた。
正面の子の後ろには大勢の人が腰に剣を刺していた。
剣王は小さい体に合わない長く茶色い髪をなびかせ、猫の耳を持ち、尻尾は立たせていた。
‐数分前に戻ろう‐
「今日は私たち獣人にとってすっごく特別な日。
獣人王ガプーラ様が初代勇者に勝利した日なのです。
そんなすっごく重要な記念日に私たち獣人は毎年あることをしてます。
それが剣王決めと決闘。
剣王決めというのは、毎年この日に最も優れている剣士を剣王に決めるという、名前どうりの儀式。
決闘とは、今年の剣王決めで剣王となったものに決闘を申し込み、一対一の真剣な勝負をする。
だが、それだけではない。
もしも剣王が負ければ挑戦者の言うことを何でも一つ聞かなければならない。というルールが存在する。
そう、何でも。
では挑戦者の方はどうなのか、剣王のリスクが大きすぎるし挑戦者にもそれ相応のリスクがあるのでしょうか。
いえ、ないんです。
なぜ剣王がハイリスクノーリターンなのになぜ毎年恒例になっているのか。
なぜ剣王はわかってて決闘を受けるのか。
答えは二つ。
一つ、まずこれが毎年行われているから今年もやる、というもの。
今更ルール変えろーと言っても遅いのだ。
恒例だから仕方ないのです。
そして二つ、挑戦者は必ず自分よりも位の低いものだからだ。
決闘には一応ルールがあり、一対一の真剣勝負、魔法禁止、そして剣王以下の位である、というもの
つまり獣人はこう考える。
自分以下の存在=勝てる相手
獣人は勝利することが大好きだからだ。
それがたとえ格下であってもね。
なのでこれまで続いてきたのだー。
と、言うわけなので、頑張ってねニアちゃん」
という、昨年剣王に選ばれた私の相棒ぺルのながーい読み聞かせを聞いた後私は答える。
「いやぁ、頑張るけどさぁ。私は決闘反対派なのー、特段戦いが好きじゃないし...やりたくない」
「うーん。でもねぇさっき剣王はニアちゃんって決まちゃったし。
大丈夫大丈夫、私の時は人少なかったし言っちゃ悪いけどみんな弱いし、ニアちゃんなら負けないよ」
うーん、ペルの言うことは信用ならない。ペルは強すぎて史上最速の剣王になれるくらいだし。
それに、相手が強い強くないとかじゃないよ、戦いたくないの
なんて思っていたら。
「剣王ニア様、決闘の時間です」と布のドア越しに族長の兵が言ってきた。
「あ、もう?じゃあ行ってくるね...」
と立ち上がりながらペルに向かって言う。
「うん、応援行くからねぇ、頑張ってねぇ」
「頑張るぅ」と覇気のない声で返し、兵士の後をカルガモ親子のようについていく。
歩き始めて2、3分経った後私は嫌なものが見えた。
先にいた大勢の人がこっちを見ていた。
数は100を超え、いや200を超えてるかも。
え?こんなに多かった?
ペルのときここまで多くなかったでしょ、なんで?
人々は私たちが通ろうとすると、横によけて道ができた。
そして私たちを囲うように大きな円ができ、その中央で兵士が動きを止める。
「ついたぞ。ここが決闘場だ、挑戦者の数は72。剣王ならば超えてみろ」
いつもの事のようにすらすらと言葉を並べた。
そして私はその言葉に若干あきらめていた。
72?72って私が今までかかわった人より多くない?いやさすがに言いすぎ?
でもこれ過労死しちゃわない?
「準備は終わっているな」
それに対して、私はしぶしぶ首を縦に振るしかなかった。
私は剣を取り出す。丁寧に手入れされた黒く輝く名刀だ。
兵士は定位置につくと叫ぶ。
「私が審判を務める!この決闘において参ったと先に言った者が敗者となる!では一人目、前へ!」
そういうと正面の人込み中から飛び出してくる者がいた。
離れて見てもわかる、小さい女の子だ。
小さい女の子じゃあなおさら戦う気になれない。
「勝負です!剣王ニア様!」
と言われて私の正面に立つ子は私に剣を向けてくる。
「うむ、いい声だ!では君は勝利した際何を願う」
ちょっと大物感出したくてかっこつけてみた。うむとか普段言わないけどこういう時だからこそだね。
「私は剣王の座を願います!」
「え、アリなのそれ」
「始めっ!」
私の声は無視されて決闘が始まった。
決闘が始まるや否や、思いっきり足を踏み切ってこちらに向かってきた。
2歩進んだところで剣の射程に入るのを確認し、挑戦者は剣を横に振りきる。
その瞬間、「ガンッ!」という音が周囲に響いた。
ニアは剣を縦に構え、しっかりと一撃を受け切っていた。
「ッ!」
一撃を受け切られた後は得意の速さできりかかった。
しかしさすがは剣王といったところだろう。
全てを正確に受け切っている。少し余裕もあるようだ。
あ、あれ、思ったより強いし速い!
と、心の中では思っているようだ。
そして次の瞬間、「キンッ!」という音とともに金属のぶつかる音が止まった。
そして、空から剣が降ってきて地面に刺さる。
舞っていた砂埃が晴れ、わかりきっていた勝敗が今映し出された。
「...参りました」
とつぶやくのは、もちろん挑戦者。
挑戦者の目に映し出されたには、見下ろす剣王と剣の先端であった。
剣王は剣を腰に戻して声をかける。
「そう簡単に剣王は譲れないからね」
「以後、精進します」
その言葉に何と声を掛けたらよいのかわからず、少し動きが止まった後。
「君は強くなる」
と言って元の場所に戻っていく。
挑戦者もまた元の場所へと戻り、後ろから続きを見るのだった。
以下獣人について書かれた本。
獣人の住む国以外の国で一般に売られてるよ。
獣人の国、ラープガ。
国と名乗っているが、人の住めるところが少なくが町が一つしかない、さらに住民も少ない、ので人々はこう言う。獣人の町と。
余談だが町と言われプライドの高い獣人は激怒している。
だが、小国の住民だとなめてはいけない。
それは現在を見れば明らかである。
ラープガは土地自体は多く持っているのだ。
ラープガ周辺の平原や、その奥にある森林は全て自分のと主張している。
それに対し、他の種族は何も言わないだ。
決して少なくない土地をなぜ他の種族が見逃しているのか。
ヒューマンに限っても数自体は1対|100の差がつくほどいるのにもかかわらず、だれも手を出さない。
それは獣人が強すぎるからだ。
獣人は独自の言語、文化を持つ種族であり、その中でも剣術というのが際立っている。
他の種族の剣士に比べても、上位の者同士では相手にならない。
もちろん上位の者、もとい剣王以外の人たちでも強すぎるのだ。
そんな、一見最強にも思える獣人だがもちろん欠点はある。
第一に魔法をほぼ知らない。
魔法という存在がある、ということしか知らない。使える者がいないのだ。
そのほかにも、プライドが高くキレやすい。
因みに、これが理由で獣人との外交は禁止にされている。
と、獣人国と獣人についてはこれで終わり。
要約するならば、すごく小さい国にいる種族はすごく強いけどキレやすいから気をつけろ。
作品タイトルは仮なので変わるかも




