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キティの光

雪誠はリーヴにキティの物語を語った。 夜が更け、アイソロンの街は静けさを取り戻していた。 橋のたもとに座る二人の前を、星と神像の光を映した川が静かに流れていた。


リーヴは膝を抱え、水面を見つめながら低く尋ねた。 「あなたはキティを信じてるって言ったけど……どんな神なの?」


雪誠はしばらく黙っていた。 そして、静かに口を開いた。


「どんな神かは、正直わからない。 でも、信じてる……必要なときに、そっと手を差し伸べてくれる存在だって。」


リーヴは彼を見つめ、疑いの色を浮かべた。 「でも、私は一度もその手を見たことがない。 人々がキティの名を使って、私を追い出すのしか見てない。」


雪誠は頷き、否定しなかった。 「僕もそう思ってた。 母に拒まれ、村人に罪人扱いされたとき、僕も問いかけた——『あなたはどこにいるの?』って。」


彼は遠くのキティ神像を見つめ、穏やかな目を向けた。 「でも、後になって気づいたんだ。 キティは目の前に現れる神じゃない。 背後で、静かに支えてくれる神なんだ。 諦めそうになったとき、心にふと浮かぶ言葉や想い——それが、もう少しだけ頑張ろうと思わせてくれる。」


リーヴはうつむき、震える声で言った。 「でも、誰も私を支えてくれたことなんてない。」


雪誠は微笑み、優しく答えた。 「じゃあ、今はいる。 僕はここにいる。君が魔族だからでも、何か価値があるからでもない。 ただ——君が一人で耐える必要はないと思ったから。」


彼は懐から古びた経典を取り出し、一頁を開いて指差した。 「これが僕の一番好きな言葉なんだ。 『光とは、世界を照らすものではなく、歩こうとする者を照らすものだ。』」


リーヴはその言葉を見つめ、長く沈黙した。 「私も……歩けると思う?逃げるんじゃなくて、何かに向かって。」


雪誠は頷いた。 「もし君が望むなら、僕が一緒に歩くよ。 僕は勇者じゃないし、答えも持ってない。 でも——僕も道を探してる。」

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