代償の契約
一年後、春が訪れたばかりの頃。 雪誠は畑にしゃがみ、手には薬剤の瓶を握っていた。 陽光が額の汗に反射し、彼は慎重に液体を土に注いだ。 だが、瓶のラベルには気づかなかった——それは希釈されていない原液だった。
翌日、家の作物は一面枯れ果てた。 葉は黄ばみ、根は腐り、畑全体が呪われたかのようだった。
母は顔色を変え、畑の端に立ち、指を震わせながら叫んだ。 「いったい何をしたの?」
雪誠は言葉を失い、喉が渇いたように声が出なかった。 「わざとじゃない……希釈済みだと思って……」
「言い訳はやめなさい!」母は怒鳴った。 「あなたが原因で、家族の収穫が台無しよ!村長に謝りに行きなさい!」
「母さん、本当にわざとじゃなかった……」
「あなたはいつも『わざとじゃない』って言うけど、毎回問題を起こすのはあなただけ!」
その言葉は刃のように、雪誠の心を一つ一つ切り裂いた。 彼は畑の枯れた作物を見つめ、自分自身も一緒に枯れていくような気がした。
その夜、彼は一人で森へと向かった。 足取りは重かったが、迷いはなかった。 彼は廃れた黒石の祭壇へと辿り着いた。 足元には霧が漂い、まるで長く待ち続けた返答のようだった。
「魔王よ……契約を結びたい。」
黒い霧が渦巻き、耳元に囁きが響いた。 「何を差し出す?」
雪誠は跪き、低く答えた。 「成績、尊厳、人格……誤解されたすべてを捧げる。だから、力をください。」
三つの印が彼の胸に刻まれた。 焼けるような痛みが走る。 彼は叫ばず、ただ目を閉じ、痛みに身を委ねた。
目を開けたとき、世界はもはや明るくなかった。 だが、彼にはすべてがはっきりと見えていた。
彼の眼差しは変わった。 もはや理解を求める柔らかな光ではなく、冷たく鋭く、すべてを拒む氷のようだった。 それはかつて村人たちの目に見た光——聖典を盗んだと誤解された時、祈りを嘲笑された時に感じた視線。 彼はその目を憎んでいた。 だが今、それを自らの顔に宿していた。
彼の声も変わった。 「説明は、聞く気のある者にだけするものだ。」 その言葉は刃のように鋭く、もはや弁明ではなく、刺すためのものだった。
彼は立ち上がった。 黒石の祭壇にはまだ霧が渦巻いていた。 その歩みは祈りではなく、まるで裁きのようだった。
雪誠はもう「わざとじゃなかった」と低く言う少年ではなかった。 彼は謝らず、弁解せず、許しを求めることもなかった。
彼は沈黙し、冷酷になり、毒舌を持った。 それは望んだ姿ではなかった。 だが彼はようやく理解した——この世界では、優しさは踏みにじられ、誠実さは誤解される。
彼は力を選び、代償を選んだ。 その代償とは——彼自身だった。




