表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/55

亀裂の始まり

その日の夕暮れ、雪誠は山林から戻ってきた。 顔にはまだ泥と汗が残り、手には神の紋章が刻まれた石板を握っていた。 彼は渓流のほとりでそれを見つけ、心に希望を抱いていた。


しかし、村の入口にはすでに人々が集まっており、空気は異様な緊張に包まれていた。


「そいつだ!」 教師が雪誠を指差し、鋭い声で叫んだ。 「私の家が盗まれた。今日村にいなかったのは彼だけだ!」


雪誠は呆然とし、手の中の石板を落としそうになった。


「ぼくは……ぼくはあなたの家に行っていません。山にいたんです……」


「まだ言い訳する気か?お前の父親も昔、神殿をうろついていた。今度はお前か?」


人々はざわざわと囁き始め、視線が冷たく、見知らぬもののように変わっていく。


雪誠は母の方を振り返った。 彼女は人々の後ろに立ち、顔色は青白く、何も言わなかった。


「母さん……ぼくのこと、信じてくれるよね?」


彼女は答えず、ただ静かにうつむいた。


その瞬間、雪誠の胸は重い鉄槌で打たれたように痛んだ。 疑われたからではない。 母の沈黙が、何よりも彼を傷つけたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ