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灯を守る者

彼らは荒野を越え、廃墟を抜け、谷を渡り、村々を巡った。 雪誠とリーヴは、もはや「灰の使徒」と「魔族の少女」という伝説ではなかった。 獣の仮面をつけた旅人と、銀髪の守護者——それが今の彼らだった。


人々の口に上る名は変わった。 「魔王の使者」 「獣影の少女」 その名には、恐れと誤解がまとわりついていた。


だが、彼らの行動は——静かに、確かに世界を変えていた。


彼らは魔獣を守った。 人間も守った。 誰が「価値ある存在」かではなく—— 痛みには種族がなく、恐れには陣営がないと知っていたから。


呪われた森では、傷ついた魔獣に包帯を巻き、餌を与え、 最後の時間を共に過ごした。


山村の畑では、猟師と裂牙獣の衝突を止めた。 村人に見せたのは、魔獣の腹に刺さった矢傷—— それは襲撃ではなく、逃走だった。


リーヴは獣の姿となり、魔獣と語り合い、 雪誠は跪いて祈り、血を止めた。


裂牙獣は攻撃せず、ただ倒れ、静かに息をついた。 まるで、ようやく「止まってもいい場所」を見つけたかのように。


翌朝、魔獣は村を去った。 何一つ傷を残さずに。


村人たちは畑の端に立ち、その背を見送った。 長い沈黙の後、誰かが呟いた。


「彼ら……災いを呼ぶ者じゃない。」 「彼らは、守る者だ。」


彼らは名を残さない。 残すのは—— 清潔な包帯。 修復された穀倉の扉。 血の跡が消えた魔獣の足跡。


そして、いくつかの村の壁には、子供たちが描いた絵がある。


獣の仮面をつけた旅人。 銀髪の少女。 魔獣のそばに立ち、背後には星空と山林。


誰も、それが誰かを知らない。 ただ、こう呼ぶ。


——夜に現れる「灯を守る者」。

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