第23話:殿、茶の湯と甘味で天下布武
団子外交で戦を収めて数か月。
砂糖は領内で“白い金”として珍重され、甘味文化はどんどん発展していた。
「殿、村に甘味処ができました!」
「旅人が“団子宿”と呼んでおります!」
……いや、もう宿場町の名前が団子ベースになってるんだけど。
だが、布武丸の狙いはさらに先にあった。
「……つぎは、ちゃのゆ!」
―――
戦国オタクの俺は知っている。
茶の湯=外交ツール。
利休の一椀は、武将たちの心を掴み、国をも動かした。
ならば、味噌汁外交 → 団子外交の次は――茶会外交しかない!
―――
幸い、保存修復科で“陶磁器修復”の実習をしていた俺。
茶碗や土器の扱いは慣れている。
村の陶工を集め、指示を飛ばした。
「ここ!うすく!ここ!まるく!」
「殿、なんだか呪文みたいですが……」
完成したのは、素朴ながらも品のある茶器。
そこに茶葉(異国商人から仕入れた)を入れて煎じると――
緑の香りがふわりと広がった。
―――
そして迎えた茶会の日。
客は周辺領主たち。
以前は砂糖を奪おうとしていた面々も、今では「団子をもう一度」と笑顔でやってきた。
俺は正座し、茶碗を差し出す。
「どうぞ……ちゃ!」
領主たちは啜る。
「……ほう、苦い。しかし、心が澄むようだ」
すかさず団子を出す。
砂糖と餡を使った三色団子。
「甘い……! 茶と合う……!」
さらに生菓子――
餡と砂糖で作った小さな花の形のお菓子を並べた。
「美しい……これは芸術か……」
―――
領主たちはうっとり。
「布武丸殿の茶会は戦より恐ろしい……」
「甘味と茶で心を奪われた……」
父上は苦笑しつつも頷いた。
「布武丸……道具と菓子で心を結ぶか。戦国の世に新しい外交を開いたな」
俺は茶碗を掲げ、胸を張った。
「ちゃ!だんご!なまがし!てんかふぶ!」
村人&領主たち「「「おおおおぉぉぉ!!!」」」
布武丸、7歳。
茶の湯と甘味で領主たちを魅了し、文化外交の一歩を踏み出した春の出来事である。




