表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/24

第2話:殿、まずは農地改革でございます

俺の転生先は――どうやら「どこぞの領主の家」。

まだ赤ん坊だから詳しくはわからないが、屋敷はやたらデカい。メイドっぽい人がいる。兵士っぽい人も出入りしてる。


領主の子息=俺。


つまりこれは、戦国オタクが一番テンション上がる「国持ちルート」!


「天下布武」いけるやん。


ただ問題は……。


「うぶー」


俺の身体がまだ赤ん坊ってことだ。


戦もできなければ、采配もできない。歩くことすらままならん。


―――


で、数年経った。


よちよち歩けるようになった俺は、庭に出ては村人たちの姿を観察していた。


彼らは鍬を振るい、汗を流し、畑を耕している。

だが――俺の戦国脳が真っ先に気づいた。


「あれ……畝、ガタガタじゃね?」


田んぼもどきはあるが、水が全然均されてない。水路も適当。

これじゃあ収穫量、ぜってー少ねぇ。


戦国時代の米の収穫量だって、灌漑次第で跳ね上がったんだぞ?

今ここで農業革命を起こせば……!


「……農地改革だ!」


赤ん坊ボイスで叫んだ俺を、村人のおっちゃんが怪訝そうに見ている。


「……殿?今『のーち』って言いました?」


「のーち、かいかく!」


おっちゃんは眉を寄せ、近くにいた仲間にひそひそ声で話す。


「また殿が変なこと言ってるぞ」

「まあ、子供だからな……放っとけ放っとけ」


俺の決意は、完全に「幼児の奇行」として処理された。


―――


だが、俺は諦めない。

赤ん坊なりに絵を描いた。


木の枝で土に「水路の図」を描き、指で「ここから流す」ってやってみせた。


「ほら!こーして、水を横に!畝はまっすぐ!」


「……殿……なんか必死に説明してるぞ」

「おお、かわいいな。よしよし」


頭を撫でられた。違う、そうじゃない。

これ領地経営の第一歩だから!遊びじゃないから!


でもまあ、いい。最初は理解されなくても、やがて実績が追いつく。


俺は戦国オタク布武丸、夢は天下統一。

第一歩は――農地改革。


赤ん坊が指で土をいじった落書きから、後に領地の豊穣が始まるなんて、この時はまだ誰も信じてなかった。


布武丸、2歳。

天下統一計画、まずは畑からスタートした夏の出来事である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ