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5.あいの巣とは……

「雄、あいの巣って知ってる?」

「なんだ……と……」


今日も今日とて鈴の部屋に居る俺に、地雷級の質問が飛んできた。


「さっきドラマで『あいの巣』って言ってた。古びたアパートの事を『あいの巣』って呼ぶの?」


純新無垢な瞳を向けたまま、とても答えにくい質問をぶっ込んでくる。


どうしよう……ちゃんとした知識を与えた方が良いのだろうか?

それともここはもう暫く鈴の清らかな心を尊重すべきだろうか……。


「もう、教えてくれないならいい。お母さんに聞いてくる」

「わ〜待て待て。教える、教えるから親に聞きに行くな」


とは言ったものの、『愛の巣』って実際どういう意味なのだろうか?


「それで、『あいの巣』って何?」


上目遣いで僕を見上げてくるその仕草に……少しだけドキッとした。


「えっと、アレだ。さっきのドラマのアパートさ?外観が青かっただろ?あー言うのを藍色に例えて『藍の巣』って言うんだ」


俺は誤魔化す道を選んだ。

この選択に後悔はない!!


「なるほど……色でそうなるのね」

「ま、まあな……」

「そうすると黒色の場合『黒の巣』ね。くろのす……クロノス……神様の名前……」


俺でも知ってる、時間の神様だ。


「鈴も知っていたのか。アレだよな、時を……」

「そう、農耕の神様」


農耕の神様!?なんかこう言っちゃ悪いけど、一気に神秘性が薄まった気がするぞ。

と言うか、そもそも農耕は関係ないだろう。

とりあえず『クロノス』でスマホで検索してみた。

すると本当に『農耕の神様』とも書いてあった。


でも、どう考えても『時間の神様』の方がカッコイイ。

ここはビシッと教えてやろう。



「ああ、クロノスは農耕の神様だったな。鈴……よく知ってたな」



3億円の為、俺は話を合わせる道を選んだ。


「神様の居る家……悪くない。ちょっとお母さんに相談してくる」

「え……相談!?ちょっと待て鈴!!」


制止の声も聞かず勢いよく階段降りていく。

何を相談するつもりかは分からないが嫌な予感がして後を追いかける。

慌てて追いかけるも……時既に遅し。


「お母さん、『あいの巣』買ってもいい!?」


鈴、それ最初のやつに戻ってるよ。

しかも、それを聞いた鈴のお母さん、人にお見せできないレベル形相でこっち睨んでるし……。


そうか、また戦争か。そっちがその気ならこっちにだって考えがある。

覚悟を決め、鈴のお母さんの視線に抗うべくこちらも睨みを……を……効かせな〜い。


ごめんなさい無理です、今日の鈴のお母さんすげぇ怖いです。

蛇に睨まれた蛙はこんな感じなんだろう、自然の摂理には抗えないという大切な事を経験しました。


そんな実りのある一日は……まだ終わらない……。

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