第2話 現実世界での家族①
この世界での幸せ
第2話
「じゃあ、また明日。」
「ああ、また明日。」
部活も終わり、鏡花と別れる。
『また明日』か…ちゃんと会えれば良いな…
「駄目だな、俺…」
余計な事を考え、余計にネガティブになる。とんだ悪循環だ…
「はぁ…ただいまぶっ!」
落ち込んだまま家の中へ入った瞬間、小さな塊がミサイルのごとく飛び付いてくる。
はぁ、全く…
「俺が帰ってくる度に飛び付くのは止めなさいって何度も言ったでしょ、詩織ちゃん。」
「えへへ、だってお兄ちゃんがカッコいいんだもん♪お兄ちゃんが悪いんだよ♪」
そんな訳の解らない理論を語る彼女は、俺の義妹の一人。高橋家の末っ子、三女の高橋詩織である。
そして、今のやり取りを見て解る通り…
「むぅ、またお姉ちゃん達とは違う女の匂いがする…。遊ぶのまでは良いけど、本気になったら浮気だからね!」
超絶なブラコン中のブラコンなのである。
というか、中1のコイツにそんな知識を植え付けた犯人は誰だ!?
「詩織ちゃんが誰からその知識を得たかを聞くのは後で良いとして、鏡花は唯の友達だよ。唯一無二のね。」
そう、この世界で唯一無二のだ。
最近、『アイツさえ居れば良いのでは?』と思う程なのだから、本当に俺は懐に入れてしまうと甘々になってしまうな。
「むぅ、今は信じてあげる。」
「信じてくれてありがとうな、詩織ちゃん。」
「ただし!」
と、ビシッと俺に向けて指を指す。我が義妹ながら、可愛いな…
「ただし?」
「私の頭をいつも以上に撫でて下さい!」
「それ位なら、喜んで。」
コイツ、俺に撫でられるの好きなんだよなぁ…
そんな彼女が俺に甘える姿を見て癒されている俺も、大概な程にシスコンなのかもしれない。いや、親も好きだからファミコンか?
そんな中…
「何故、玄関先でイチャイチャしているのですか?」
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その声が聞こえた瞬間、詩織は逃げ出す。そして、一人玄関先に残された俺は…
「で、申し開きは?」
「いつもの様に、甘えてくる詩織ちゃんを可愛がってただけです。」
と、正座させられた上に詰め寄られる俺。そんな詰め寄る彼女も俺の義妹の一人であり、次女の高橋沙織である。
「素直で宜しい…とでも言うと思いました?後で私の部屋ですね…」
「はい…」
俺は素直に頷く。今日の夕食当番は沙織なのだ。
下手な態度を取ったら、飯抜きとか普通にしてくるからなコイツ…
「本当に晩ごはん無しでも良いんですよ、剣兄さん?」
「いえ、滅相もありません。」
我が義妹ながら、怖いよ…。エスパーかよ…
「剣兄さん限定です。特別ですよ。」
うん、諦めよう。それが一番だ…
「はい、人生は諦めが肝心です♪」
はは、良い笑顔で言うね。
そんな沙織の事を可愛いと思う辺り、やはり俺も相当なシスコンなのだろう。
だからこそ…
俺がこの場に居る資格はあるのだろうか?
異世界メモ
ヒロイン候補? 高橋 詩織
性別 女
家族構成
父 母 姉1 姉2 義兄(剣)自分
自他共々認めるブラコン。
剣については『身内(姉達)に負けるのは良い、でも他人には負けられない』との事。
若干、ヤンデレの気が見え隠れしているが、姉達と比べれば可愛い物。
尚、義妹という一点を除けば、剣の好みにストライクである。義妹という一点を除けば、の話だが。