永遠に似ている
永遠に似ている
忘れられないきみのことを思う。
できるだけ毎日、何度でも思い返すけれど、残像はずいぶん薄れてしまった。きみは遠くにいて、きっとあの頃とちっとも変わらない顔をして微笑んでいるのだろうけれど、ぼくにはもう見えない。
見えなくなってずいぶん経つ。
ぼくは大人になって、そのうちすっかり老人になって、きっとそれほど遠くもない未来に死んでしまうんだろう。子供のころは死が恐ろしかったけれど、最近はそうでもないかなって思わないでもない。
ただ、ひとつだけ。きみのことを忘れないまま死にたいなって思う。
幼かった頃のぼくときみは「ずっといっしょにいようね」と、壮大でささやかな約束をかわしたこともあったけれど、結局きみはぼくから遠く離れてしまった。あのときのぼくは「永遠なんてなかった」と、くやしくて地団駄をふみながら泣いたんだった。そう、永遠なんてなかったんだ。だいすきなひとはいなくなって、友情はこわれ、文明は滅んで、宇宙もきっと終焉を迎える。
でもね。ぼくは死ぬことができる。死ぬまできみのことを思い続けることができる。ぼくがきみのことを忘れなかったという事実は、僕の死により確定して、未来永劫もう変わることはない。ぼくはずっと、きみを好きだった。きみがいちばん大好きだった。
それは、人間が成し遂げられる仕事のなかで、いちばん永遠に似ているんじゃないかと思うんだ。