近くで喋らないでもらえますか?
100円ショップは今日も、違う顔色を見せる。
昨日とはガラリと変わり、毎日が発見だ。
こんなに大きな容器が100円とは、かなりお得だ。
これは、100円でポテチの袋が密封に近い状態に戻るのか。
毎日一緒に来ている友達は、お店にいるとき、いつも笑顔だ。
今も満面の笑みをして見ている。
「何かいいの見つけた?」
「はい。これ買いた・・・ごめんなさい」
声を発したのは、友達ではなくて左隣にいた女性だった。
「あっ、ぜひ買ってください」
「私、話し掛けるという行為に触れてしまうと、たとえ対象者が他人でも、返事や回答をしてしまうんです」
「そうなんですか。そういう癖なんですね」
「はい」
「では、僕たちはここで」
「はい。本当にすみませんでした」
「じゃあ、僕は買うものが決まったから、会計してきちゃうね」
「はい。じゃあ、外で待っててくださ・・・ごめんなさい」
「大丈夫ですよ」