二人でメイン盾の座を争ったら両方パーティから追放された件について
「アレクサンダー大王の攻撃は戦士のおまえでは受けきれない。メイン盾を降りろ」
「ナイトのてめぇは攻撃力が足りない。奴の再生能力を超える事ができないだろうが、てめぇこそ盾役を降りろ」
「またアイツらやってんな」っと弓使いは遠巻きに笑い
「好きにやらせておきなさいよ」っと回復術者子は呆れ顔になる。
「ナイト、戦士、お前ら両方クビな」っとサブリーダーの召喚術師が戦士とナイト両方を切り捨てた。
無常…なんたることか、これまでパーティの2枚盾が両方追放されることになった。
「「ええええええええ!?なんで?」」
「いやぁ、腕の良い暗黒騎士さんが志願してきてね。事前情報によるとアレクサンダーの攻撃はほら、魔法攻撃ばかりだから。ナイトは物理防御力高いだけでしょ?戦士は豆腐でお話にならないし、ということで君達両方いらないの」
「いや、待てよ。俺はナイトとして今までずっとダンジョンの攻略中はパーティを指揮してきたろ?いきなり別の盾役に全て任せちゃうわけ?」
「うん。正直言うと、連携の取れてない君達に合わせてると結構疲れるんだ。皆も陰ではそういってるし。だからこの際新しいリーダーとしてメイン盾を暗黒騎士子さんにやってもらおうと思ってね。彼女の腕が良いのは僕も回復術者子ちゃんも保証するし」
「いや、だったら戦士だけクビにしろよ」
「暗黒騎士子さんはどうしても暗黒騎士男さんと一緒じゃなきゃ嫌だってさ」
「はぁ!?」
「召喚術師、キサマァ裏切ったな!」激昂する戦士
「裏切ったとは人聞きが悪い。まぁ手切れ金で生活に困らない分のお金は上げるから。とりあえずこれで僕たちの関係は終了。元々打倒アレクサンダー大王でチーム結成してここまでやってきたわけだけど。君達に付き合ってたら何時まで経っても先に進めないからね」
ナイトの顔にべしっべしっと金貨入りの袋を複数投げつけられた。
ナイトが這い蹲って金貨袋を拾い集めている間に漆黒の甲冑を身に包んだ二人組みが現れる。
「あ、こんにちは皆さん。暗黒騎士子です。こちらは知り合いの暗黒騎士男になります」
「よろしく」 暗黒騎士男は一言言う。
「「おーよろしく~」」 戦士とナイト以外のPTが暗黒騎士達を一斉に歓迎する。
「「ちーくしょおおおおおお!覚えてろよ!」」っと敗走する二人組みであった。
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戦士とナイトは二人でラストダンジョン手前村の公園のベンチで座っていた。
「なぁ、戦士」
「なんだ。ナイト」
「俺ら、どうするよ」
「さあな。こんな最前線の村で、後衛なしでフィールドに出るだなんて自殺行為でしかないぜ」
「この村に骨でも埋めるか」
「アイツらがアレクサンダー大王の討伐に失敗したらこの村なんて即効で滅ぼされるぞ」
「そうだな。それより暗黒騎士子さん可愛かったな」
「死ね」
戦士の鉄拳がナイトの顔面にめり込む。
かと思われたが上段ガードを構えたナイトに隙はなかった。
その様子を見て戦士はチッと舌打ちする。
「甘いな。甘々だ。回復術者子ちゃんのとろけるようなヒールくらい甘いぜ。彼女のヒールは厚いがリソース管理が甘々だ」
「ほんとうぜぇなお前。言い方どうにかならないのか」
「戦士、お前のその刺さる口調だって色々損してるぜ?」
「うるせぇよ。性分だ。ったく、召喚術師の奴め、ナイトだけ追放するって算段だったのによ」
「召喚術師の奴は昔っから何考えてるのか分からない奴だよなぁ。まぁ、アイツがいきなりやる突拍子もない行動って最後には大抵正しくなるけどな。だからサブリーダーなんだし」
「…なぁナイト。お前まだ未練あるだろ」
「言うなよ。アレクサンダー大王に故郷を滅ぼされてから、奴をこの手で倒すのだけが俺の悲願だった。アイツらとだって何だかんだで上手くやってきたと思ってた」
「俺だってそうだ、てめぇが俺を戦力外だとか喚き散らしていきなり暗黒騎士を入れるとかぬかすからこうなったんじゃねぇか」
「お前が豆腐なのは事実じゃねぇかよ。今度ばかりは死ぬぞ?」
「うるせぇよ」
「……そうだな。本当の事を言うとな。お前の事が好きだったんだよ。それに、薄々分かっているんだ。俺等ではアレクサンダー大王に勝てないって事がな。だからお前だけには生きてほしくってな……」
「…!? いきなりそう言う事…言うんじゃねぇよ。馬鹿野郎が。俺だってそうだよ。だから……」
そう、戦士はビキニアーマーの女戦士だったのだ。
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「ねぇ、召喚術師。よかったの?」
「いいんだよ。あれで。戦闘中にあんだけイチャつかれてたらこっちも困っちまうんだよ」
「そうね。あそこで分かれるってのも辛いものね」
「気を張れよ。回復術者子。どの道最期の戦いだ。今回はナイトの指揮もない。僕が全体を見る」
「…ええ。お願い」
追放からのざまぁだと思った?
純愛ちゃんでした!
むしゃくしゃしてやった。反省はしている。
FF14やってる人なら何となく情景に心当たりがある人居るんではないだろうか。
いやらしい世界…いやらしい…