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魔族の騎士  作者: らつもふ
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蘇生

 屋敷と隣接するように、『蘇生の儀式』が行われる神殿が建てられている。

 神殿と言っても、31段もの階段の上に建てられた木造の小屋である。室内は正面に祭壇があり、祭壇の中央にしめ縄が巻かれた大きな水晶が中央に置かれ、両側に燭台が置かれており、水晶の手前には玉串が置かれていた。

 祭壇の前の床には白い布が敷かれており、その布には大きく六芒星が描かれていて、その6つの頂点には蝋燭が配置されていた。六芒星の中央にはフルプレートを外された黒焦げのソイマンが仰向けで寝かされており、体の中央……ヘソの辺りに神鏡がおかれていた。

 あとは巫女が神殿に入り、蝋燭に火を灯して儀式を執り行うだけであった。

 蘇生の儀式はなるべく急いで開始しなければならない。それが蘇生成功の確率に直結するからだ。

 従って、小梅ら御付き衆がここまで準備するのに30分も掛かっていない。

 ソイマンの変形した甲冑を外し、ここまで運び入れるのに時間を要したが、少なくとも御付き衆の仕事としては完璧に行ったと言え、小梅自身も満足する仕事だった。

 しかし……まさかの所で時間をロスしていた。

 廊下で待つ小梅の耳に、襖の向こう側の部屋から、皐月の声が響いてくる。

 「……だから、お願い!卯月!一緒に儀式を行って!?」

 皐月は、背を向けて床に座る巫女に向かって、必死に説得しているようだった。

 「だ・か・ら!どうして敵将……しかも、代行様を殺した張本人に対して儀式をしなくちゃダメなのよっ!?」

 両腕を組んでむくれるこの少女は、16歳の皐月よりも更に年下に見え、身長も140センチにも満たない幼女だった。しかし、この卯月の巫女は、神の生まれ変わりと呼ばれるほどの術者であり、全12人の巫女の中でも一番の能力を有した巫女であった。

 髪型は『おかっぱ』で、目はどんぐりのように大きかったが、瞳の色が左右で違う所謂オッドアイであった。

 術者としての能力は確かに最強レベルなのだが、如何せんまだ子供であるため、わがままが過ぎる所があった。

 「あの方は敵でありながら見習うべき所が多い名将で、時宗や影千代の強い推薦もあるのよ!?それに、彼を生き返らせることを条件に、敵には一時的に退いてもらったの!今更生き返らせない訳にはいかないのよ!?卯月の歳なら、私の言ってる事がわかるでしょう!?」

 「わかんなーい!」

 「卯月!」

 皐月は卯月の手を掴もうとするが、腕を引いてそれをスルリと避ける卯月。

 「あの人の命は、代行様よりも上だって言うの!?代行様……如月様はあたし達の親も同然のお方なんだよ!?それなのに……!」

 「そ ん な 事 は わ か っ て る わ よ っ ! !」

 皐月大きな声で怒鳴った。

 あまりの声の大きさに、卯月は無言のまま、目を丸くして皐月の顔を見上げる。

 「そんなこと……私だって……誰よりも、一番……わかってるんだから……」

 今度は小さな声で呟くと、涙を流し始める皐月。

 「……でも……ここにいる全員が死んじゃったら……何の意味も無いじゃない……」

 皐月はそう言うと、両手で顔を覆って泣き出した。

 さすがの卯月も悪い事をしたと思ったのか、皐月の袖を掴むと今にも泣きだしそうな顔で口を開いた。

 「……わかった……あたし、お姉ちゃんのお手伝いする……」

 これを聞いた皐月は、泣きながら卯月を両手で抱きしめた。

 「卯月……ありがとう……」

 二人は抱き合いながら声を出して泣いた。

 廊下で聞いていた小梅も、ついもらい泣きしていたが、すぐに涙を拭うと御付き衆に「巫女様がお出ましになるよ!」と言って神殿の入り口の階段に並ばせた。

 部屋から出てきた二人の巫女は涙で目を腫らしていたが、その表情はすでに儀式に向かう精悍な顔となっていた。

 二人の巫女は階段を上って行くと、入り口で御付き衆から鈴と火が付いた燭台を受け取り、神殿に入って行った。

 ここからは儀式が終り、再びドアが開かれるまでは、何人たりとも神殿に入る事は許されなかった。もしも、場の気を乱したり不要な音を出せば、それだけで術が失敗する可能性があるのだ。

 小梅は頭を下げて二人を見送ると、ドアがゆっくりと内側から閉められた。

 

 ……この後、神殿からは8時間にも及び、休む事無く、鈴の音が響いていたのだった……。

 

 ◆

 

 

 『天地の塔』の大広間の中央に敷かれる絨毯の上には、いつもであればサタンの左隣に控えているアスタロトが跪いており、その背後には5色騎士団の黒の騎士マールシェ、白の騎士ザライドマセル、青の騎士コスメールの3名が畏まっていた。

 檀上の玉座にはサタンが座り、その右側にはベルゼブブが控えている。

 「それでは、アスタロト。先の東方人との戦争について報告せよ」

 「はっ」

 ベルゼブブに促され、アスタロトは返事をすると、その後を続けた。

 「我が軍はソイマン率いるアンデッドを中心とした先鋒隊と、アスモデウス率いる本隊が出撃しました。序盤、優勢に戦いを進めておりましたが、敵の術師がアンデッドを消滅させたため戦況はほぼ互角となりました。そこに本隊が到着し、アスモデウス自ら出撃したため我が軍が一気に優勢となり、勝利はほぼ手中に収めておりましたが………」

 「……おりましたが!?」

 サタンの整った眉がピクンと跳ね上がる。

 「はい……この場にアスモデウスの姿が無く、監視役の私がこうして報告している時点でご察しの事と思いますが、敵の術者は複数おり、アスモデウスはその術者によって全身を焼かれ、重体となっております」

 「ほほう……東方人は悪魔をも傷つける術を使うのか?」

 「その通りでございます。敵の術者が放った七色の光で、アスモデウスは全身を焼かれ、現在は地獄へ戻り治療に専念していますが、あの光で焼かれた箇所は全く治癒せず、激痛も和らぐことがありません。アスモデウスは一生、あのままの状態で生きることになります」

 「文字通り生き地獄か……で、戦況は?」

 サタンは特にアスモデウスの事は気にも留めていない様子で尋ねた。

 「はい。ソイマンはアスモデウスを助けるために決死の突撃を敢行し命を落としました。私はアスモデウスを回収し全軍を速やかに撤退させました。殿はボッシュが担当し、無事、退却が完了しております」

 団長であるソイマンが死んだと聞いて、アスタロトの後ろで控えていた人間の騎士3人が、動揺したのかガチャリと鎧の音を響かせた。

 「何と、アスモデウスの代わりにソイマンが………そうか、実に惜しい騎士を亡くした……」

 サタンはそう言って3人の騎士へ視線を送る。

 「勿体ないお言葉」

 3人の中では一番の年長者であるザライドマセルがそう言って頭を下げると、残るマールシェ、コスメールの二人も同時に頭を下げた。見た目には平静を装っていた3人だったが、カタカタと金属が震える音が聞こえる事から、かなりの悲しみと怒りに打ち震えている事が容易に想像ができた。

 「……それで、殿を受け持ったボッシュはどうした?」

 ベルゼブブがアスタロトに尋ねた。するとマールシェとコスメールがハッとした表情で顔を上げ、アスタロトの言葉に耳を傾けた。

 「はい。一度引き上げたようですが、ソイマンが持っていた特殊武器が敵の手に渡った可能性があるので、再度、敵との接触を試みたいと連絡が入りました」

 「特殊武器?……ああ、あの『悪魔殺し』と呼ばれる5色騎士団が使う武器か?」

 蠅王ベルゼブブが羽音を立てながら聞き返した。

 「その通りです。確かにあれが敵の手に落ちれば面倒な事になるかもしれません。よって、ボッシュの要望は了承することにしました」

 アスタロトが答えると、サタンが口を開いた。

 「あの武器を5色騎士団以外の者が使ったとて、効力は発揮されないのだがな………だが、人という種族には『形見』という風習があるらしいからな………今回はボッシュの好きにさせるがいい」

 「寛大なるご配慮、残された者たちは、より一層サタン様への忠義を誓う事でしょう」

 アスタロトはそう言うと頭を下げた。それに合わせて、全員が頭を下げる。

 「それでは、改めて東方人の討伐軍を編成する必要があるが……」

 ベルゼブブがそう言うと、長い銀髪を揺らしてザライドマセルが口を開いた。

 「その任、是非我らにお与えください!必ずや、敵を討ち滅ぼしてご覧にいれます!」

 そう言うと、マールシェとコスメールも鎧の音を響かせて頭を下げる。

 「お前たちの気持ちは何となくわかる。弔い合戦というやつだな?……いいだろう。ネビロス」

 「は、はい」

 突然ベルゼブブに呼ばれて慌てて返答する灰色のローブを着た老人姿の悪魔。彼こそがネビロスで、先の悪魔と人との戦いで、唯一生き残った『6柱』と呼ばれる重臣の一人だった。

 彼は『栄光の手』(『栄光の手』の説明は3話を参照下さい)の所持者を見分ける能力があり、この世界ではボッシュがその手の持ち主であると見抜いていた。

 ベルゼブブはネビロスに5色騎士団を率いて、東方人を攻め滅ぼすように命令した。

 すると、アスタロトが口を挟んだ。

 「アスモデウスの話によると、東方人らは東の海を渡った先にある島からやってきたようです……」

 この言葉を聞いてサタンがニヤリと笑った。

 「ふふふ。アスタロト、お前は死にぞこないの大陸の部隊は放っておいて、先に奴らの本国を叩くべきだと申したいのだな?」

 「御意」

 アスタロトも微笑みながら頭を下げる。

 サタンは立ち上がると下知した。

 「面白い。早速行動に移る。ベルゼブブ」

 「はっ!」

 「お前はレヴィアタンとネビロスを率いて、東方人の本国を滅ぼして参れ」

 「「御意」」

 三人の悪魔は同時に返答する。

 「バルベリスは5色騎士団を率いてボッシュと合流、生き残りの東方人を討て」

 「「御意」」

 バルベリスと3人の騎士は同時に返答する。

 「アスタロトは、ここに残りもう少し詳しく戦争の事を報告せよ」

 「御意」

 アスタロトは優雅に頭を下げる。

 「それでは行動せよ!」

 サタンの声が大広間に響くと歓声が沸いた。

 

 遂に悪魔たちは本気で東方人を滅ぼそうと動き出しのだった。

 

 ◆

 

 

 サラミス平原を3日もの間燃え続けた悪魔の炎は、突然天に昇るように消え去った。

 この頃には東方人の町は、延焼対策が万全となってなっていたため、むしろ、外敵を防ぐという意味では、いつもまでも燃えていてくれた方が良かったとの声もあったほどだった。

 二人の巫女によって、けが人はあらかた回復し、何とかこの日を迎えることになった。

 そう、赤の騎士ボッシュがやって来る日だ。

 肝心のソイマンはまだ目覚めておらず、皐月や時宗は心中穏やかではなかったが、とにかく出迎える用意を行っていた。

 皐月は煌びやかな着物に袖を通し、髪を下して着飾ろうとしていた。

 「巫女様!?」

 突然、小梅が部屋に怒鳴り込んできた。

 「あら、小梅、丁度良い所に来ました。ちょっと髪を梳いてくれませんか?」

 鏡の前で櫛を手にした皐月が、それを手渡す素振りをする。

 「巫女様!?」

 もう一度言う小梅。

 「どうしました、小梅?何を怒っているのですか?」

 きょとんとした顔で小梅を見る皐月。

 呆れ顔でため息をつくと、小梅は毅然とした態度で口を開いた。

 「巫女様、何を浮かれているのですか?」

 「う、浮かれてなどいません!ただ、賓客を迎えるに当たり、こちらもそれなりの……」

 「不要です!今回の会談はあくまでも戦争の延長線上のものです!仲の良い物同士が集まる会合ではないのですよ!?」

 「でも……」

 「不要です!巫女様にはいつもの巫女服を着ていただきます」

 「……」

 「不要です!!」

 「もう、わかりました!……わかりましたから、巫女服を用意して、髪を結って下さい!」

 「承知しました」

 小梅は頭を下げると、テキパキと支度を始めたのだった。

 

 一方、時宗・影千代・元親の3人は屋敷の大広間に集まっていた。

 「又二郎と国松は?」

 時宗が影千代に訊く。

 「ボッシュ殿を迎えに行かせた」

 「あの二人で大丈夫か?」

 「あいつらも立派な大人だ。特に問題は無いだろう……むしろ心配なのは別の所にある……」

 影千代はそう言うと、首を横に振った。

 時宗もすぐに察する。

 「ソイマン殿か……?」

 「ああ、そうだ。今、隣の部屋で卯月様の御付き衆に看てもらっていて、目覚めたらすぐに知らせるように言ってあるのだが、まだ何も……」

 「あれほどの状態からの蘇生だからな……」

 無理も無い、と言いかけた所で別の声が遮った。

 「伝令!ボッシュ殿がお見えになられました!現在、又二郎様と国松様がこちらへお連れしている所です!」

 「わかった!ご苦労!」

 玄関先で片膝をついて報告した者を労う時宗。

 すると影千代が大きな声で指示を出した。

 「重臣整列!御付き衆は巫女様をお連れしろ!我々に敵意が無い事知ってもらうために、全ての扉と襖を開け放て!」

 影千代の命で屋敷の扉は次々と開けられ、すぐに大広間の檀上に皐月の巫女と、卯月の巫女が姿を現し、向かって左側に並んで座した。

 重臣らは向かって左側の壁際に皐月の巫女、右側の壁際に卯月の巫女の重臣が並んでいた。

 向かい合うそれぞれの巫女に従う重臣たちは、あまり仲はよろしく無く、お互いをライバル視していた。

 右側に並ぶ卯月の巫女の重臣は二人しかいなかったが、その腕前は国の中でも知らぬ者はいないほどの強者だった。

 時宗は何気なくその二人に話しかけた。

 「先日の戦いではご苦労であったな?義光殿と小太郎殿」

 名前を呼ばれた卯月の重臣である義光は『剣聖』と呼ばれるほどの猛者で、使用する武器は大太刀で、その刀身は1.2メートルもあり、普通の者は抜刀するだけでも難しいと言われていた。

 「時宗殿、貴殿に労われる謂れはない」

 義光は表情を変えずに静かに言い返した。

 「まぁ、確かにそうかもしれないが、そんなに尖がる事もなかろう?」

 時宗は笑顔でそう言うと、義光の隣にいた小太郎が口を開いた。

 「貴殿らとなれ合うつもりはない」

 小太郎は忍者と呼ばれる忍びの者で、鎖帷子の上から濃紺の忍者服を着ており、頭部は頭巾を巻いていたため、表情はほとんどわからなかった。

 「そうかい。それは失礼した」

 時宗はそう言うと、影千代と目を合わせて首をすぼめた。

 皐月の巫女には5人の重臣がいるが、卯月の巫女には2人の重臣しかいない。

 これは、部隊の統率を義光の1系統のみで運用しているからである。小太郎率いる忍者軍団は遊撃隊として、敵のかく乱や情報収集を主に行っていた。

 東方人の本国は、巫女単位で国を統治していることもあり、重臣たちは自分がお仕えする巫女が一番だと考えており、他の巫女らを敵対視しがちだった。つまり、巫女同士が共闘することは稀であり、大陸遠征という特別な状況だからこそ実現したことだったのだ。

 しかし、重臣たちの思いと反して、巫女同士はとても仲が良く、巫女の長である『睦月の巫女』を中心に、よく協力して国を治めていた。

 そこへ又二郎の大きな声が大広間に響いた。

 「ボッシュ殿、只今ご到着!」

 又二郎が玄関で跪いて報告した。

 「お通しして下さい」

 皐月がすぐに返答する。

 すると、国松と共に真紅のフルプレートの甲冑に黒のマント、右手に鞘に納めた大剣を持ち、左手にはヘルムを抱えたボッシュの姿があった。

 「申し訳ありません、ボッシュ殿。この屋敷は武器を携行したまま入る事は出来ないしきたりとなっています。我々も帯剣しておりませんので、安心して私に武器をお預け下さい」

 隣にいた国松がそう言いながら両手を差し出し、剣を預かろうとする。

 「安心して……か。まぁ、いいだろう」

 ボッシュは大剣を国松に預けると、大広間へ歩を進めた。

 国松は大剣のあまりの重さに驚きを隠せなかった。こんなにも重たい剣を我が軍で使いこなせる者はいるだろうか……?これだけで、魔族の桁違いの強さが窺い知れる、と国松は感じていた。

 ボッシュが部屋に入ると、檀上の巫女と両端の重臣らは一斉に頭を下げた。ボッシュはその中を堂々と歩き、壇の手前で立ち止まった。

 「よくぞ参られました。ボッシュ殿」

 皐月が頬を赤くしながら何故か嬉しそうに言葉をかける。

 「魔族軍5色騎士団のボッシュ、約束通り参上した。早速だが、ソイマンに会わせていただこう」

 巫女を前に拝礼もせず、不躾な物言いのボッシュに、義光の顔色がサッと変わる。明らかにボッシュの態度が気に入らないのだ。

 「ボッシュ殿、申し訳ございません。ソイマン殿ですが、実はまだお目覚めになっておりません。しばしお待ち下さい……」

 「それは、まだ蘇生とやらが成功したかどうかわからない、という事か?」

 「いいえ!すでに元通りの姿で蘇っております!………ただ、まだお目覚めには至っておりません……」

 徐々に言葉が小さくなる皐月。

 「つまり、成功したのかどうかわからないという事ではないか。まさかとは思うが、本当は蘇生など行っていないのではあるまいな?」

 このボッシュの言葉に、横から割って入るように卯月が答えた。

 「天才と呼ばれるこのあたしが蘇生を行ったのだ。失敗などする訳がなかろう。しばし待てと言っておるのだ……」

 「ちょっと、卯月!ボッシュ殿にそんな口をきくんじゃありません!」

 皐月は右隣りに座る卯月の肩を掴んで叱った。

 「だって!あいつは敵で、ここは外交の場……であれば、立場は同じはずだよ?変にへりくだる必要なんて無いんだよ!?」

 「そ、それはそうだけど……」

 卯月の言葉に言い返せない皐月。

 「そこの子供は?」

 ボッシュは卯月を見て訊いた。確かにここは外交の場だ。だとしたら、どうして子供がこの場にいるのか?

 「あたしは12人の巫女の一人、卯月。子供だけれど、もう立派な巫女だから、あまり侮らない方がいいと思うよ?」

 そう言いながら、正面からボッシュを見つめる卯月。

 卯月はオッドアイの持ち主で、右目が透き通った青、左目が薄い黄色の瞳を持っていて、視線を交わすとその瞳に吸い込まれそうな感覚となり、そこに一種の催眠術を施すことで、相手を戦わずして屈服することができた。

 だが、ボッシュにはその効果が利いていないのか、全くそのような兆候は見られなかった。

 卯月は催眠術をかけるのを止めて口を開いた。

 「……なるほど。さすがは魔族軍の大将だけの事はある……ボッシュ殿、あなたを認めよう」

 「???」

 ボッシュは何が行われたのか自覚はなかったが、どうやらあの子供は自分の事を認めたらしい。だが、それはそれとして、あの子供が言う事はもっともであった。

 ボッシュは改めてこの場にいる者全員に向かって口を開いた。

 「確かにこの場はその子の言うように外交の場であり、両軍の代表者は対等であるという主張はその通りだ。そこで確認だが、そちらの代表者はその子供という事で良いか?」

 「あたしは子供じゃない!卯月だ!そして代表者でもある!」

 卯月はそう言うと胸を張った。

 「申し訳ありません、ボッシュ殿。代表者は私、皐月と隣の卯月の二名となります」

 皐月はそう言って頭を下げる。

 (だから、お姉ちゃん!代表者は軽々しく頭を下げちゃダメなんだよ!?)

 卯月が皐月の袖を引っ張りながら小声で言う。

 (うっさいわね!私たちはあの時、ボッシュ殿が退いてくれたからこそ、こうしてここに座っていられるのよ!?)

 負けじと小声で返す皐月。

 (お姉ちゃんはどうしてあの人の事になると、そうやっておかしくなっちゃうの?無駄に着飾ろうとしたり……)

 (おかしくはありませんっ!いたって正常ですっ!それに無駄とは何ですか!?無駄とはっ!?)

 (いいや、絶っっ対おかしい!……はっはーん!もしかして、お姉ちゃん……あのボッシュとかいう人の事が……)

 「違 い ま す っ ! !別にボッシュ殿の事が好きだなんて、そんな事ありません!………あっ………!」

 つい立ち上がって大声で叫んでしまった皐月は、その場で立ち尽くした。

 卯月は顔を逸らしてクスクス笑っているが、それ以外の全員が皐月へ突き刺さる視線を送る。

 「あわわ……」

 わかりやすいリアクションで慌てる皐月。顔は真っ赤となり汗が噴き出している。

 「申し訳ございません!ボッシュ殿!今のは無かったことに!」

 そう言うとその場に正座して深々と頭を下げる皐月。

 すると、今度はその場の全員が一斉にボッシュへ視線を送る。

 「は?」

 思わず間抜けな声を出してしまうボッシュ。

 ──ぶっちゃけ何が起こったのかよく理解できなかったので、今何か意見を求められても非常に困るのだが……?

 ボッシュは困った挙句、一言だけ言った。

 「そ、そちらは檀上の二人が代表者という事で承知した……」

 このボッシュの言葉に、皐月は安堵の色を浮かべ「ありがとうございます」と言って汗を手で拭った。

 そこへ別の女性の声が響き渡った。

 『急ぎご報告いたいます!』

 卯月の御付き衆の長である桜が廊下で両膝をついて頭を下げていた。

 「申せ」

 卯月が短く答えると、桜は大きな声で話を続けた。

 「ソイマン様、先ほどお目覚めになりました!」

 「おお、そうか!それでお体の具合は?」

 時宗が待っていましたとばかりに聞き返した。

 「お目覚めになられたばかりですので、ある程度、体の機能が落ち着くまでは気分は優れないと思いますが、時間と共に良くなると思われます。それよりも、現状が飲み込めず少し混乱しているようです」

 「それは仕方ないか……面会は少し落ち着いてからの方が良いかもしれぬな……」

 時宗がそう言った時だった。

 屋敷内に女性たちの悲鳴が響き渡った。

 『お待ちください!まだ横になられた方が……!』

 『どこに行かれるのですか!?誰か、止めて下さい!』

 『大人しく寝ていて下さい!』

 女の声が大広間まで聞こえてくるが、それがどんどん近くなっている。

 すると、白の寝巻姿の男がよろよろと廊下に姿を現した。

 すぐに桜が肩を貸そうとするが、それを跳ね除けて男が大広間に入ってきた。

 「団長……」

 ボッシュが言うと、それに反応するように男ははボッシュを見る。

 「……ボッシュ……ボッシュなの……か……?」

 そう言いながら、フラフラとボッシュへ歩み寄るソイマン。

 ボッシュも両手を前に出してソイマンへ近寄ると、その両肩を掴んでソイマンを受け止める。

 「団長……本当に……本当に、生き返ったのか……?」

 「生き返った?……先ほどの女もそのような事を言っていたが……ここはどこだ?……私はどうなったのだ?」

 ソイマンは少し取り乱しながら辺りをキョロキョロと見渡した。

 「団長!」

 「……!」

 ボッシュの言葉にハッとして我に返るソイマン。

 そこで背後から声をかける時宗。

 「ソイマン殿、時宗です……」

 その声に振り向くソイマン。

 「……戦場で戦った時以来ですな?」

 時宗がそう言いながらソイマンの傍までやって来る。

 「おお、時宗殿か?」

 二人は握手をすると、ソイマンは更に続けた。

 「ここは何処なのだ?私はどうなったのだ?どうして敵同士の二人がここにいる?」

 ソイマンは立て続けに質問する。

 「それでは現状についてご説明しましょう……」

 そう切り出したのは影千代だった。

 影千代と時宗は交代しながら、ここに至るまでの経緯を簡単に説明した。

 この時ソイマンは、黙ってその場に胡坐をかいて聞いていた。

 

 「……つまり、私は一度死に、巫女と呼ばれる術師によって蘇ったというのだな?」

 ソイマンは念を押すようにボッシュへ問う。

 「その通り。団長の命を懸けた行動のおかげでアスモデウス様のお命はご無事だった」

 「おお、それは本当に良かった」

 ソイマンからやっと笑みがこぼれた。

 そんなソイマンを見て、ボッシュも元気な気持ちになる。

 「私は団長を迎えに来たのだ。さあ、共に帰ろうではないか!」

 「ああ、ボッシュ。よく来てくれた……」

 ソイマンはそう言ってボッシュの腕を掴んで頭を下げた。

 そして再び頭を上げた時、ソイマンの表情が曇っている事に気が付いた。

 「団長、どうしたのだ?」

 ボッシュは怪訝そうな顔で訊いた。

 一刻も早く帰還して、無事な姿をサタン様にお見せすべきなのに、何を躊躇しているのだ?

 この時ボッシュは、何とも言えない不安が心を覆い始めている事に気づいていた。

 「ボッシュよ……」

 ソイマンは力なく話し始めた。

 「……私の思い過ごしかもしれんが、どうしても確認せねばならない事がある」

 「何でも言ってくれ、団長」

 ボッシュはソイマンの表情から恐怖や失望にも似たものを感じ取っていた。

 ──折角蘇生したと言うのに、どうしてそんな顔をしているのだ?団長!?

 ソイマンの両手は小刻みに震えており、それがボッシュにも伝わってきた。

 「……ボッシュ……私にメッセージを送ってくれ……何でもいいから……頼む……」

 ソイマンはボッシュが見た事が無いほど恐怖に慄いた表情をしていた。

 ただ事ではないと悟り、すぐにソイマンへメッセージを送るボッシュ。

 だが──。

 「……ボッシュよ。早く送れ、早く……!」

 「!?」

 ボッシュは唖然とした。

 ソイマンは尚もメッセージを要求した。

 しかし、ボッシュはすでに送っていた……もう何度も送っているのだ。

 ソイマンはそれをボッシュの表情から悟った。

 「……もう……送っているのだな……?」

 そう言うと、ソイマンはガクリと両手を床につけた。

 「こ、これは?どういう事だ?」

 ボッシュも何が起こっているのかわからなかった。

 その時、皐月が申し訳なさそうに口を開いた。

 「あ、あのう……もしよろしければ『メッセージ』とは何かを教えていただけないでしょうか?……もしかするとお力になれるかもしれませんので……」

 「……ああ、メッセージとは魔族間で意思疎通ができるスキルの事で、距離に関係なく会話する事が可能なのだ」

 ボッシュが早口で説明すると、皐月が神妙な表情となった。

 「……これは、もしかすると……」

 「ん?どうしたのだ?何かわかったのか?」

 ボッシュは皐月に視線を移して問う。

 こうなっては、敵も味方もない。現状を理解している人がいるのなら、誰でもいいから教えて欲しかった。

 「……その前に、あなた達魔族の人間について詳しく教えて下さい。あなた達は元から魔族だったのですか?」

 皐月の問いにボッシュは当然だ、と言わんばかりに口を開いた。

 「私達は生まれた時からサタン様に忠誠を誓い、魔族として生きてきたのだ。だからこそ、お前たち東方人と戦っているのではないか」

 「……いや、違う……」

 ボッシュの言葉に、ソイマンが力なく否定する。

 「……今から30年前……私達人間は……魔族と戦っていたのだ……」

 「何!?」

 ソイマンから想像もしなかった事を言われ、驚きの声を上げるボッシュ。だが、ソイマンは構わず淡々と話し続けた。

 「……人は神より『神の知恵』を授かり、『悪魔殺し』の武器を手に入れ、魔族を『天地の塔』に追い詰めた。だが、お前も知っている通り、あの塔は難攻不落であり、人は攻略の糸口を全く掴むことが出来ず、逆に反撃され人は滅ぼされようとしていた……その時、私は人の代表としてサタン様の御前に呼ばれ選択を迫られた。──名誉を重んじてこのまま滅ぶか、それとも恥を忍び種を存続するために魔族に降るか───私は魔族に降る事を選んだ。その時、私は血の涙を流ながら宣誓<ゲッシュ>した───これこそが今なお順守され続けている『血の盟約』なのだ……」

 「……団長が……悪魔と盟約を結んだというのか……」

 ボッシュは震える唇で呟いた。

 「その盟約の内容を教えていただけませんか?」

 皐月がソイマンへ尋ねる。

 ソイマンは頷くと話始めた。

 「盟約の内容は『この大陸に生を受けた人間は、大悪魔サタンに絶対なる忠誠を誓い、死ぬまでこれを違える事は許されない。サタンのために生き、魔族にために尽くすことを誓うものとする』……この盟約は絶対であり、ゲッシュした瞬間から適応され、人は魔族となりサタン様には逆らう事が出来なくなったのだ……」

 「ちょっと待て……!私のサタン様への忠誠は、作られたものだと言うのか!?ソイマン!」

 ボッシュはソイマンの両肩を掴み怒鳴った。

 「……否!断じて否だ!この忠誠心は、私の本物の心だ!」

 そう言うと、ボッシュは立ち上がった。

 「ソイマン!貴殿の今の発言は魔族として看過する事は出来ない!……この私と一騎打ちの勝負をしろ!」

 「ボッシュ……」

 ソイマンは少しうつむくと、すぐに顔を上げボッシュを見た。

 「……わかった。ボッシュ……勝負だ!」

 ソイマンは片膝に手を置き立ち上がると、二人は向かい合って睨みあった。

 それを見た皐月が慌てて檀上から飛び降りて二人の間に駆け寄ると、ボッシュを両手で抑える。

 「ちょ……ちょっと待ってください、ボッシュ殿!!」

 「どいてくれ。これは私達の問題だ」

 「その前に聞いて下さい!ソイマン殿の謎が解けたと思います!」

 「!?」

 ボッシュは戦おうとするのを止め、皐月の言葉を待つ。

 「ソイマン殿は、もう、魔族ではありません……一度死んだ時点で盟約から解放されたはずです」

 「そ、それでは、私はもう何者にも縛られていないと言うのだな!?」

 ソイマンはそう言いながら皐月に詰め寄る。

 皐月は「おそらく……」と前置きしてから更に続けた。

 「盟約では『大陸の人は死ぬまで盟約に従う事』となっています。つまり、一度死んだソイマン殿は盟約から解放されたため、魔族の力を失ったのだと思います。私達島の人間が、盟約の影響を受けていないのもこれで頷けます」

 「なるほど……全て納得した」

 ソイマンはそう言うと、両手を見ながら呟いた。

 「これで……私は30年もの呪縛から解放されたのだ……」

 その姿は喜び浸っているように見えた。

 そんなソイマンを見つめていたボッシュは、ゆっくりと口を開いた。

 「大陸の人間は、昔、魔族と戦っていた……。そして、敗れて魔族へ降った……。だが、仮にそうだったとして、それが何だと言うのか!?今の自分達のサタン様への忠誠心は本物であり、魔族のために戦うことに何の疑いも無い!所詮、ソイマンの話は過去のものだ!」

 ボッシュは叫んだ。どうしようもない怒りが込み上げてくる。

 「ソイマン!あなたの今の気持ちはどうなんだ!?また魔族として生きたいのであれば、再びサタン様と対面することで魔族に戻れるはずだ!今、一時的に魔族ではなくなったとしても、そんなものは関係ないじゃないか!?さあ、帰ろうソイマン!帰るんだ!」

 「ボッシュ!!」

 ソイマンは大きな声でボッシュを制すると、静かな声で続けた。

 「……私は知っているのだ……経験しているのだ……魔族に降る前の人の生活をな。昔は大陸中に人はいたのだ……今のように小さな村に押し込められた不自由な生活ではなく、本当の意味で自由で豊かな暮らしをしていたのだ……生まれながらにして魔族のお前には理解できないかもしれぬがな……」

 ソイマンはそう言うと、開け放たれた襖から外を眺めながら続けた。

 「……私は魔族となってからは魔族のために尽くしてきた。その気持ちは本物だ。だから私は命を投げ出してアスモデウス様をお救いしたのだ。……だが、今はもう魔族ではない。緑の騎士は死んだのだ。そして、束縛から解放され自由を手にしたのだ……また昔のように……」

 ボッシュは冷ややかな目でソイマンを見ながら口を開いた。

 「あんたは、盟約を結んだ当事者でありながら、残された人々を見捨て、自分だけ自由を謳歌しようと言うのか!?」

 「………すまない……」

 ソイマンは再びうつむいて黙ってしまった。

 ボッシュは何となく悟っていた……もう団長は戻って来ないだろうと……。

 「そうか……わかった……」

 ボッシュはそう言うと、くるりと背を向ける。

 「……今度会うときは敵という事で良いのだな?ソイマン」

 ボッシュの言葉に、ソイマンは喉の奥から絞り出すように一言だけ「……ああ」とだけ答えた。

 するとボッシュは頷くと、今度は皐月に向かって口を開いた。

 「皐月殿……すまないが、ソイマンが持っていた大斧を返してくれないか?私がここに来たのは、その武器を回収するためだ。これでサタン様から訪問の許可を貰っている以上、どうしても回収しなければならん」

 「ボッシュ殿……わかりました。又二郎、ソイマン殿の武器を持ってきて下さい」

 「しかし……!」

 又二郎は躊躇した。多くの血を流して勝ち取った戦利品なのに、こうも簡単に返すことは無いと思ったのだ。

 そこにソイマンが割って入った。

 「あの大斧は、5色騎士団以外の者には使いこなすことは出来ないものだ。『神の知恵』によって作られし武器は使う人を選ぶ。魔族ではなくなった私にあの武器を使われては危険だからな……回収するのは当然だろう……」

 「それに……」

 ソイマンの後に続くように皐月が口を開く。

 「……もしも大斧をお返ししなければ、ボッシュ殿はお立場が無くなってしまうため、無理にでも奪うしかなくなります!」

 皐月の発言に驚きの表情を見せたボッシュは、すぐに頭を下げて礼を言った。

 「皐月殿……私の心中を察していただき、感謝します」

 「い、いいえっ!全然です!当然の事をしたまでです!」

 皐月は顔を真っ赤にして照れながら両手を振る。

 「わかりました。今お持ちいたします」

 又二郎はそう言うとサッと部屋を出て行った。

 「これにて失礼する」

 ボッシュは歩き出そうとしたその時、一瞬、動きが止まった。

 ソイマンはそれを見逃さなかった。

 「……メッセージか?」

 ソイマンはボッシュの背中に話しかけた。

 「……ああ」

 ボッシュは短く答えると、再び歩き始めた。

 そのまま玄関へ出ると、国松がボッシュの大剣を両手で渡してきた。

 それを無言で受け取るボッシュ。

 すると国松の後ろから、又二郎が大斧を重そうに抱えながら廊下を小走りで駆けてくる。

 「はぁ、はぁ、大斧です。はぁ、はぁ、お受け取りを……」

 おそらく又二郎は全力で取りに行ったのだろう。肩で息をしていた。

 「すまない」

 ボッシュは短く礼を言ってから左手で軽々と受け取ると、振り返って皐月に話しかけた。

 「先ほど、この場所に対して攻撃命令が下された。悪魔バルベリス様と5色騎士団が東方人の相手となる。もちろん私もそこに合流する事になっている。今から2週間後になるだろうから、しっかり準備をしておくがいい」

 「そ、そんな重大な情報を私たちに教えても大丈夫でしょうか?ボッシュ殿の御立場が悪くなることは無いのでしょうか?」

 両手を胸の前で組んで心配する皐月。

 ボッシュは苦笑いしながら言った。

 「私がこの情報を流した所で、我々魔族の勝利は絶対に揺るぐことは無い。絶対にだ。それほどの戦力だと思って臨んでくれれば良い」

 「ご忠告、ありがとうございます」

 皐月は頭を下げる。

 ボッシュは踵を返すと、堂々と玄関を出て行った。

 そこへヒポグリフが舞い降りてきて、ボッシュを乗せると空高く飛び立った。

 皐月は外まで駆けだすと、しばらくの間ボッシュが消えた空を眺めていた。



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