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第1章 出会い~アドリアン

アドリアンside


 話は冒頭に戻る。

「僕と一緒に、庭の外を見に行かないか?」

 アドリアン・シャルマンは目の前の少女――蜂蜜のふるゆわっとした髪を持ち、闇にも染まらない鮮やかな緑色の瞳を持っていた――に心を奪われていた。

(やばい、めっちゃこの子好み。今すぐにでも持って帰りたいくらいだ)

目の前の少女が何かを言いかけたが、それを遮るように、

「名前は言わなくていい――あー、でも、言ってもらわないと、今後呼ぶときに『お嬢さん』って、連呼することになっちゃうな」

彼は暗闇であることに、自身が赤面したのを気づかれなかったと思った。

「ふふ、面白い方ですのね、リューバルトの大公様はかなり遊び人っていう噂なのに、そんな風に照れられることもあるんですね」

 少女は、緑色の瞳を細め、笑った。

「……俺のことを知っているのか…」

 アドリアンは少女の言葉に呆けた。

「ええ、だって、銀色の狼さんみたいな風貌をしていると聞いていたものですからね。こんな暗いところでも、星の光に反射している銀髪を持った男性はこの国にはいませんのよ?」

 少女は、アドリアンの目をまっすぐ見つめながら、答えた。

「私のことは、エルミールと呼んでください、アドリアン様」

 少女――エルミールはアドリアンに抱きつき、アドリアンはそんな彼女を抱き返した。

「私、行ってもいいのよ」

「へ?」

「…察しの鈍い方ね、あなたの問いに答えたんじゃない。『僕と一緒に、庭の外を見に行かないか?』って言う問いに」

 エルミールは少し拗ねた声をして見せた。

「え、いいの?」

 逆に最初に問いかけをしたアドリアンは戸惑っていた。


「ええ、いいわよ、だって私がいなくてもだれも気付い(・・・・・・)てくれやし(・・・・・)ないからね(・・・・・)。まあ、ばあやとクレルニー夫妻にだけは挨拶させてね」

 そう言い、思いっきりエルミールは背伸びをしてアドリアンに口づけた。

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