8話
鬼だ。いや、一言でいうならば鬼ババアだ。白装束に身を包み左手にピコピコハンマー。右手に鉈をもった鬼ババアがそこにいた。
一言でいうなら異様である。
くっ、あのピコピコハンマー。芸人でもないのに叩いて、被って、ジャンケンポン、とかやったらめっちゃおいしいとおもってしまう。そんな不思議な魔力をもっている。
そしてあの鉈。あれは伝説にきく某雛〇沢村の某キャラが使っていた鉈に似ている。
ま、まさか作ったのか。なんて奴だ。あんなもの見せられたら思わず『ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい』って連呼してしまいたくなる。
それと同時に私に劣るものの、みな歴戦(?)の猛者が簡単にやられたのも理解できた。
きっとあの鉈をみて謝ってるところに、ピコピコハンマーで気絶させられてのだ。
なんて酷い。そして恐ろしい奴だ。
まさに鬼ババアの所業だ。
知らず知らず無意識に喉を鳴らしながら唾を飲み込んでいた。
今、私にできることは戦略的撤退くらいしかない。
しかし部下を見捨てることもできない。
くっ、こういうところが自分の弱さ、と理解していてもなかなか治せないでいた。
ならば自分にできること、いかにして部下から奴を遠ざけるか、それしかない。
「キィーシッシッシッ。考えはまとまったかね、ゴミめ」
その言葉が引き金となり、私は靴に仕込んでいた煙幕を作動させる。
一瞬にしてあたり一面をもんもんと煙幕が包み込む。と同時にマシンガンで弾幕をはる。さらに音響爆弾を放った。低周波の甲高い音が響き渡るも、当然手応えはない。
そんなことははじめからわかっていた。
あくまでも牽制でしかない。
すぐに離脱。近くにとめてあった馬に飛び乗りダッシュ。
かなりのスピードがでてるが、やはり追跡されてる気配を感じる。
ふと振り返ってみて私は驚愕した。
鬼ババアはその自らの足で走って追いかけてきていた。
その姿はまさに鬼ババアの名に相応しい恐ろしい形相だった。
こうなれば、と私は近くの橋を渡りおえると同時に爆破した。
爆破といってもそもそもそんなに丈夫そうな橋ではなかったし、老朽化で使用禁止されていたはずだから破壊しても大丈夫。
これで追跡はできまい、と安心していると、今度は川のうえを走って渡ってきた。
なんてこったい。
次回に続く
オチをどうしよう?